大手銀行に断られた18歳。次にどこへ相談する?
銀行に断られた18歳。600万円を相談する3つの窓口と、回る順番
JKでもわかる起業のしかた|第3回
最終確認:2026年7月20日
この記事は、架空の18歳・ミオが、起業のお金と順番を学ぶシミュレーションです。
記載している事業内容、販売実績、開業費用、金利、返済額などは、考え方を説明するために設定した架空の数字です。
「違いは分かった。でも、結局どこへ行けばいいの?」
大手銀行から融資を断られたミオは、金融機関の違いを調べました。
銀行。
信託銀行。
信用金庫。
信用組合。
日本政策金融公庫。
信用保証協会。
名前は似ていても、それぞれ役割が違います。
日本政策金融公庫は、創業する人などへ直接融資する政策金融機関。
信用金庫や信用組合は、地域の小さな会社やお店に身近な金融機関。
信用保証協会は、直接お金を貸すのではなく、銀行や信用金庫などから受ける融資を保証する公的機関です。
ここまでは、第2.5回で理解できました。
でも、金融機関の名前を覚えただけでは、600万円は借りられません。
「最初は公庫?」
「信用金庫にも行く?」
「役所へ行けばいいの?」
「全部へ同時に申し込んでもいいの?」
ミオが次に決めるのは、
自分が、どこへ、何を持って、どの順番で相談するか
でした。
この記事を読み終わると分かること
この記事では、次の内容を整理します。
ミオが相談する3つの窓口
相談と正式申込みの違い
公庫と信用金庫の使い分け
相談前にそろえる7つの資料
窓口で最初に話す内容
複数の金融機関へ相談するときの注意点
物件契約と融資相談の順番
ミオが7日間で行うこと
読み終わる頃には、
「明日、どこへ何を持って相談するか」
を決められる状態を目指します。
ミオの現在地を確認する
まず、ミオの計画を整理します。
開業予定地
原宿周辺
事業内容
テイクアウト中心の小さなタピオカ・ティー専門店
開業に必要な総額
800万円
自己資金
200万円
不足額
600万円
販売テスト
180杯用意して、168杯販売
平均価格
650円
1杯当たりの材料・容器代
190円
月26日営業で、軌道に乗った後の目標
1日110杯
600万円を年2.5%、7年間で返す場合の試算
毎月約7万8,000円
ミオには、自己資金と販売記録があります。
思いついただけではなく、実際に行動した証拠もあります。
しかし、まだ不足しているものがあります。
物件初期費用の正式な資料
内装工事の見積書
冷蔵庫や製氷機などの見積書
創業計画書
月ごとの売上と経費の予測
売上が予定の70%だった場合の対策
飲食店営業許可に関する事前確認
この状態で、別の金融機関へ行き、
「600万円貸してください」
と同じ話を繰り返しても、結果が変わるとは限りません。
相談先を変える前に、
相談内容も変える必要があります。
先に結論:ミオが検討する3つの窓口
ミオが検討する主な入口は、次の3つです。

1.無料の創業相談窓口
役割は、事業計画の穴を見つけること。
基本的には、ここから直接600万円を借りるわけではありません。
2.日本政策金融公庫
創業する人や小さな事業者などへ、事業資金を直接融資する政策金融機関です。
3.地域の信用金庫・信用組合
地域の事業者に融資を行います。
金融機関独自の融資だけでなく、自治体や信用保証協会と連携した制度融資を扱う場合もあります。
ここで、最も大切なことがあります。
相談と申込みは、同じではない
相談は、
「自分の場合は、どんな制度が候補になるのか」
「申込み前に、何を準備すればいいのか」
を確認する段階です。
正式申込みは、
必要書類を提出し、融資の審査を受ける段階です。
学校にたとえるなら、
相談は進路相談。
正式申込みは入学試験です。
進路相談をしたからといって、必ずその学校を受験する必要はありません。
同じように、公庫や信用金庫へ相談したからといって、その場ですぐ正式に申し込む必要はありません。
先に候補を確認する。
資料を直す。
条件を比較する。
その後、正式な申込みを考える。
この順番です。
「最初に公庫、その後に信用金庫」が絶対ではない
創業融資には、全員に共通する一つの正解ルートがあるわけではありません。
事業内容。
開業予定地。
必要金額。
自己資金。
これまでの経験。
物件契約の時期。
自治体の制度。
これらによって、向いている相談先は変わります。
そのため、ミオの場合は、
無料相談で計画を確認する
↓
公庫へ創業融資の相談をする
↓
出店予定地の信用金庫・信用組合へ、制度融資を含めて相談する
↓
条件と進め方を比較する
↓
正式な申込み先と借入計画を決める
という流れで進めます。
これは、すべての人に共通する正式な申込順ではありません。
ミオのように、
創業前
金融機関との取引実績が少ない
事業計画がまだ完成していない
600万円の創業資金を検討している
という人が、無駄な申込みを減らすための現実的な進め方です。
第1の窓口:無料の創業相談
「お金を借りたいのに、融資をしない相談窓口へ行く意味があるの?」
ミオは、そう思いました。
でも、計画が完成していない状態で正式に申し込むより、先に第三者へ見てもらった方が、計画の穴を見つけやすくなります。
東京都には、TOKYO創業ステーションなど、創業相談や事業計画書の作成、資金調達に関する相談を受けられる窓口があります。
東京都以外で起業する場合も、次のような場所を調べます。
都道府県や市区町村の創業相談窓口
商工会議所
商工会
よろず支援拠点
自治体が認定している創業支援施設
無料相談で確認するのは、
「自分は融資に通りますか」
ではありません。
相談員が、融資審査の合否を決めるわけではないからです。
確認するのは、次の内容です。
800万円の使い道に漏れがないか
自己資金200万円の説明方法
600万円という借入額に無理がないか
1日110杯の売上根拠が弱くないか
運転資金240万円が適切か
どの融資制度が候補になるか
物件を契約する前に何を確認するか
申込みまでに何をそろえるか
悪い相談のしかた
「600万円を借りたいです」
「どこなら簡単に借りられますか」
「審査に通りやすい書き方を教えてください」
これでは、事業の中身が分かりません。
よい相談のしかた
「原宿周辺で、テイクアウト中心のタピオカ店を計画しています」
「開業総額は800万円で、自己資金200万円を用意しています」
「不足する600万円について、創業融資を検討しています」
「販売テストでは、180杯中168杯を販売しました」
「正式に申し込む前に、売上根拠と運転資金の考え方を確認したいです」
「私の状況では、どの相談先や制度が候補になるでしょうか」
借りられる場所を探すのではありません。
今の計画で、何が足りないかを探します。
第2の窓口:日本政策金融公庫
無料相談で計画を整理したミオは、日本政策金融公庫へ相談することにしました。
日本政策金融公庫には、新たに事業を始める人や、事業開始後おおむね7年以内の人などを対象とする創業向けの融資があります。
創業期の人は、過去の営業実績や決算書がありません。
そのような人も対象に含めて、創業計画書や自己資金、経験、資金の使い道、返済可能性などを確認します。
ただし、
「創業者向けだから借りやすい」
「国の金融機関だから通る」
という意味ではありません。
創業者向けの入口があることと、
審査に通ることは別です。
公庫で確認されること
なぜこの事業を始めるのか
これまでどのような経験をしてきたのか
自己資金をどう貯めたのか
800万円を何に使うのか
商品を誰に、いくらで売るのか
毎月何杯売る計画なのか
売上の根拠は何か
600万円をどう返すのか
売上が少なかった場合はどうするのか
公庫が確認するのは、
夢が大きいか
ではありません。
計画を実行し、返済を続けられる可能性があるか
です。
18歳だから、すべて不利なの?
18歳のミオには、長い職歴や経営実績がありません。
これは、説明しなければならない弱点です。
一方、現在の日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、女性や35歳未満の人などは、特別利率の対象項目に含まれています。
ただし、
18歳だから融資される
という意味ではありません。
特別利率の対象になることと、融資審査に通ることは別です。
ミオが説明するべきなのは、若さそのものではありません。
飲食店で働いた経験
接客やドリンク提供の経験
200万円を貯めた履歴
3回の販売テスト
800万円の使い道
売上が少ない場合の対策
若さを強みに変えるには、
若いから応援してください
ではなく、
若くても、ここまで準備しました
と説明する必要があります。
第3の窓口:地域の信用金庫・信用組合
ミオが次に調べるのは、原宿周辺を営業区域とする信用金庫や信用組合です。
信用金庫や信用組合は、地域の中小企業や小さなお店に身近な金融機関です。
金融機関によっては、次のような選択肢を扱っています。
金融機関独自の創業融資
信用保証協会の保証を利用する融資
東京都の制度融資
区市町村の融資あっせん制度
日本政策金融公庫との大きな違いは、
公庫が直接融資するルート
だけでなく、
金融機関、自治体、信用保証協会が連携するルート
があることです。
制度融資を簡単に説明すると
自治体
創業者向けの制度を用意し、利息や保証料を支援する場合がある
信用金庫・信用組合・銀行
ミオへお金を貸す
信用保証協会
その融資を保証する
ミオ
借りた金融機関へ返済する
信用保証協会が、ミオへ直接600万円を渡すわけではありません。
保証が付いても、返済しなくてよくなるわけではありません。
東京で創業する場合の注意
東京都の創業向け制度融資には、創業前の申込区分として、
個人で始める場合は1か月以内
会社を設立する場合は2か月以内
に東京都内で創業する具体的な計画を持っている人を対象とするものがあります。
すでに創業している場合は、創業から5年未満など、別の対象区分があります。
ここで重要なのは、
制度を早く知ること
です。
まだ何も決まっていない段階では、創業時期の条件に入らない可能性があります。
反対に、何も確認せず物件を契約すると、融資の見通しが立つ前に家賃や初期費用が発生します。
だから、
物件
融資
許認可
開業日
を、別々に考えてはいけません。
信用金庫へ確認すること
出店予定地が営業区域に入っているか
創業前でも相談できるか
独自の創業融資を扱っているか
自治体の制度融資を扱っているか
信用保証協会を利用するのか
自治体の紹介やあっせんが必要か
必要な書類は何か
公庫へ相談中でも相談できるか
申込みから融資まで、どのような手順になるか
限度額ではなく、必要額を相談する
制度の説明を見ると、
融資限度額
という大きな数字が書かれています。
しかし、
限度額まで借りられる
という意味ではありません。
ミオに必要なのは600万円です。
制度の上限がそれより大きくても、
できるだけ多く借りる
理由にはなりません。
確認するのは、
いくらまで借りられるか
ではなく、
600万円が本当に必要で、返せる計画になっているか
です。
ここまでの結論
ミオが検討する3つの窓口は、次のとおりです。
無料の創業相談窓口
計画の穴と、利用できそうな制度を確認する場所。
日本政策金融公庫
創業者などへ事業資金を直接融資する政策金融機関。
地域の信用金庫・信用組合
地域の創業融資、保証付融資、自治体の制度融資などを相談する金融機関。
そして、ミオの場合の進め方は、
相談窓口で計画を確認する
↓
公庫へ相談する
↓
地域金融機関へ制度融資を含めて相談する
↓
条件と手続きを比較する
↓
借入総額と使い道を一致させる
↓
正式な申込先を決める
です。
ただし、ここまでは入口の話です。
実際に相談するとき、
何を持っていけばいいのか。
最初に何と話せばいいのか。
公庫と信用金庫をどう比較するのか。
複数へ相談してもよいのか。
ここから、ミオが実際に動く手順へ進みます。
【ここから有料部分】
まず作るのは、A4用紙1枚
ミオは、いきなり分厚い事業計画書を完成させようとしませんでした。
最初に作ったのは、
自分の事業を1分で説明できるA4用紙1枚
です。
ミオの事業概要1枚
事業内容
テイクアウト中心のタピオカ・ティー専門店
開業予定地
原宿周辺
主な顧客
10代後半から20代の来街者
近隣の学生
近隣で勤務する会社員
主力商品
タピオカミルクティー
平均価格
650円
1杯当たりの材料・容器代
190円
開業に必要な総額
800万円
自己資金
200万円
融資相談額
600万円
販売テスト
3回実施
180杯中168杯を販売
創業当初の想定販売数
1日80杯
軌道に乗った後の目標
1日110杯
営業日数
月26日
600万円の返済試算
年2.5%、7年間の場合
毎月約7万8,000円
売上が予定の70%だった場合
勤務時間を販売数に合わせる
売れない時間帯を見直す
広告費を見直す
商品数を絞る
予備資金を使いながら毎週改善する
相談したい内容
600万円という借入額に無理がないか
運転資金240万円は適切か
売上予測の根拠が弱くないか
物件契約と融資申込みの順番
自分が利用できる制度
A4用紙1枚の目的は、きれいに見せることではありません。
相談相手が、
何を始めるのか
いくら必要なのか
どこまで準備しているのか
何を相談したいのか
を短時間で理解できるようにすることです。
相談前にそろえる7つの資料
1.事業概要1枚
先ほどの内容を、A4用紙1枚にまとめます。
2.創業計画書の下書き
空欄があっても構いません。
なぜ始めるのか
どんな経験があるのか
誰に何を売るのか
いくら必要なのか
毎月いくら売るのか
を書きます。
書けない項目があれば、そこが相談する場所です。
3.自己資金を確認できる通帳
現在の200万円だけでなく、
アルバイト代の入金
毎月の貯蓄
大きな入出金
現在の残高
が分かるようにします。
相談直前に突然200万円が入っている場合は、その理由を説明できるようにします。
4.物件・工事・設備の資料
物件の家賃や初期費用
内装工事
水道・電気工事
冷蔵庫
製氷機
シーラー
レジ
看板
棚や備品
について、できる限り見積書を集めます。
「たぶん800万円」
から、
「この見積書を合計すると800万円」
へ変えます。
5.販売テストの記録
販売した日
販売場所
天気
販売時間
価格
用意した数
売れた数
売れ残った数
人気商品
購入者の反応
写真
を、1枚に整理します。
6.毎月の収支予測
売上だけでは足りません。
材料・容器代
家賃
人件費
水道光熱費
広告費
決済手数料
消耗品
保険
支払利息
まで入れます。
さらに、
借入金の元金返済
ミオの生活費
税金
も含めて、現金が足りるかを別に確認します。
7.予定より売れなかった場合の計画
1日110杯ではなく、
80杯
70杯
55杯
だった場合も計算します。
そのとき、
何を減らすのか
何を残すのか
何か月続けられるのか
を決めます。
金融機関が見たいのは、
絶対に外れない予言
ではありません。
計画から外れたときに、数字を見て修正できる人かどうか
です。
ミオが7日間で進める相談準備
1日目
事業概要1枚を作る
完璧な文章は必要ありません。
数字と事実を、1枚に集めます。
2日目
開業費用を見積書に変える
800万円を、
物件
工事
設備
備品
開業準備
運転資金
に分けます。
3日目
通帳と販売記録を整理する
自己資金200万円を貯めた流れと、販売テスト168杯の記録をまとめます。
4日目
無料の創業相談を予約する
相談したいことを、3つに絞ります。
600万円の借入額
1日110杯の売上根拠
物件契約と融資の順番
5日目
日本政策金融公庫へ相談する
持参するものは、7つの資料です。
正式申込みではなく、
申込み前に足りないものを確認したい
と伝えます。
6日目
出店予定地の信用金庫・信用組合へ相談する
自治体の制度融資や、信用保証協会を利用する融資について確認します。
7日目
公庫と地域金融機関の違いを比較する
比較するのは、金利だけではありません。
対象条件
必要書類
借入額
返済期間
据置期間
保証料
保証人
手続きの流れ
物件契約との順番
融資までに必要な準備
開業後の相談のしやすさ
を比べます。
公庫と信用金庫、どちらが正解?
全員に共通する正解はありません。
公庫が候補になりやすい人
創業前または創業して間もない
金融機関との取引実績が少ない
創業向けの直接融資を相談したい
設備資金と運転資金をまとめて相談したい
信用金庫・信用組合が候補になりやすい人
出店予定地が具体的に決まっている
自治体の制度融資を検討したい
信用保証協会を利用する融資を検討したい
開業後も地域の金融機関と関係をつくりたい
将来の追加融資や経営相談も考えている
ミオは、公庫と信用金庫のどちらかを、名前だけで選びません。
自分の計画に合う制度と手順を比較してから決めます。
公庫へ最初に伝える言葉
悪い伝え方
「18歳でも借りられますか」
「600万円貸してください」
「販売テストで売れたので、絶対に成功します」
よい伝え方
「原宿周辺で、テイクアウト中心のタピオカ店を開業する計画です」
「開業総額は800万円で、自己資金200万円を用意しています」
「不足する600万円について、創業融資を相談したいです」
「販売テストでは、180杯中168杯を販売しました」
「ただし、イベント販売と実店舗の継続販売は条件が違うと考えています」
「現在、創業計画書、見積書、月別収支を準備しています」
「正式な申込み前に、不足している資料と売上根拠を確認したいです」
若さを隠す必要はありません。
若さだけを売りにもしません。
できることと、足りないことの両方を正直に話します。
信用金庫へ最初に伝える言葉
「原宿周辺で、小規模な飲食店を開業する計画です」
「開業総額は800万円で、自己資金は200万円です」
「不足する600万円について、創業融資を検討しています」
「御庫では、創業前の相談や、自治体・信用保証協会と連携した制度融資を扱っていますか」
「出店候補地は、御庫の営業区域に入っていますか」
「正式な申込み前に、対象条件、必要書類、申込みの順番を確認したいです」
相談で必ず聞く10の質問
1.私の状況では、どの制度が候補になりますか
2.創業前でも相談・申込みができますか
3.物件を契約する前に、どこまで準備が必要ですか
4.必要な見積書は何ですか
5.自己資金は、どの期間の履歴を確認しますか
6.販売テストは、どのようにまとめればよいですか
7.600万円のうち、設備資金と運転資金をどう分けますか
8.売上予測の根拠として、何が不足していますか
9.公庫やほかの金融機関へ相談している場合、どう伝えればよいですか
10.正式申込みから融資まで、どのような手順になりますか
ただし、
この10問を一方的に読み上げる
のではありません。
最初に自分の計画を1分で説明したうえで、必要な質問をします。
複数の金融機関へ相談してもいいの?
複数の窓口へ相談すること自体はできます。
ただし、
相談
と、
正式申込み
は分けて考えます。
相談段階では、候補制度や必要書類、条件を確認します。
正式申込みへ進む場合は、
ほかの金融機関への相談・申込状況
必要資金の総額
借入予定の総額
借りたお金の使い道
を正直に伝えます。
悪い進め方
公庫へ600万円を申し込む。
信用金庫にも600万円を申し込む。
両方へ、ほかにも申請していることを伝えない。
これでは、合計1,200万円を何に使うのか説明できません。
よい進め方
開業総額は800万円。
自己資金は200万円。
不足額は600万円。
公庫と信用金庫へ相談中。
正式に借りる総額は、600万円を基準に検討している。
このように、事業全体の数字を一致させます。
複数から借りる形を検討する場合も、
どの費用を
どの金融機関から
いくら借りるのか
を明確にし、すべて正直に伝えます。
同じ設備代を、複数の借入へ重ねて入れてはいけません。
銀行に断られたことは、話すべき?
ミオは、大手銀行に断られたことを隠した方がよいのか迷いました。
しかし、次の相談では、事実を簡潔に伝えます。
「最初に大手銀行へ相談しましたが、創業前で営業実績がなく、一般的な事業融資としては難しいという回答でした」
「その後、創業者向けの相談先を調べ、見積書、販売記録、返済計画、売上が少ない場合の対策を整理しています」
重要なのは、
断られたことがないように見せること
ではありません。
断られた理由を理解し、何を直したか
です。
物件契約を急ぎすぎない
融資相談では、開業予定地や物件の資料を求められることがあります。
しかし、融資の見通しが立つ前に正式契約すると、融資が実行されなくても、家賃や初期費用が発生する可能性があります。
飲食店では、さらに保健所への確認も必要です。
物件を契約する前に確認すること
必要な設備を置けるか
給排水や電気容量は足りるか
飲食店営業許可の条件を満たせるか
希望する工事を行えるか
融資が遅れた場合の対応
契約解除やキャンセルの条件
工事開始日と家賃発生日
開業予定日
「この物件を逃したら終わり」
という焦りだけで契約しません。
物件、融資、工事、許認可、開業日を、一つの予定表にします。
窓口で聞かれやすい10の質問
質問1
なぜ、この事業を始めるのですか
質問2
飲食店で、どのような経験がありますか
質問3
自己資金200万円を、どのように貯めましたか
質問4
なぜ原宿周辺なのですか
質問5
なぜ800万円必要なのですか
質問6
販売テストの購入者は、友人や知人が中心ではありませんか
質問7
1日110杯売れる根拠は何ですか
質問8
雨の日や冬の売上はどう考えていますか
質問9
600万円を、どう返しますか
質問10
予定の70%しか売れなかったら、どうしますか

ミオは、回答を丸暗記しません。
すべての質問に、
数字
その根拠
予定より悪かった場合の対応
をセットで説明します。
ミオが選んだ次の一手
ミオは、最初から一つの金融機関に決めませんでした。
まず、無料の創業相談で計画の穴を確認する。
日本政策金融公庫へ、創業融資の相談をする。
同時に、原宿周辺を営業区域とする信用金庫へ、制度融資の条件を確認する。
見積書と創業計画書を直す。
借入総額と使い道を一致させる。
条件と手続きを比較して、正式な申込み先を決める。
相談先を増やすことが目的ではありません。
自分の計画に合う入口を選ぶことが目的です。
あなたは、どこから始める?
創業計画書がまだない
無料の創業相談から始めます。
事業概要と見積書がある
公庫と地域金融機関へ、申込み前の相談をします。
出店予定地が決まっている
その地域を営業区域とする信用金庫・信用組合と、自治体の制度を調べます。
必要資金がまだ曖昧
正式な申込みより、見積書の取得を優先します。
売上が予定の70%だった場合を計算していない
借入相談前に、悪い場合の収支を計算します。
複数の金融機関へ相談している
相談・申込状況と、必要な借入総額を正直に伝えます。
今日やることは、一つだけ
次の中から、一つだけ選んでください。
無料の創業相談窓口を一つ調べる
日本政策金融公庫の担当支店を調べる
出店予定地の信用金庫を一つ調べる
A4用紙1枚の事業概要を書く
物件・工事・設備の見積書を一社へ依頼する
最初の連絡では、完璧に説明する必要はありません。

「創業前で、正式な融資申込みの前に相談したいです」
「必要な資料と、候補になる制度を確認したいです」
ここから始めれば大丈夫です。
正しい順番は、審査を通す裏技ではない
無料相談へ行った。
公庫へ相談した。
信用金庫にも相談した。
それだけで、融資が決まるわけではありません。
金融機関が見るのは、
自己資金
経験
必要資金
売上の根拠
返済可能性
予定から外れた場合の対策
です。
正しい順番とは、審査を簡単にする裏技ではありません。
自分に合う入口を選び、
必要な材料をそろえ、
同じ数字を、
自分の言葉で説明することです。
銀行に断られた。
だから終わり、ではありません。
違いを知る。
計画を直す。
相談する。
比較する。
正式に申し込む。

ミオが変えたのは、夢ではありません。
入口と、説明と、順番です。
起業は、才能じゃない。
順番です。
次回:銀行に断られた18歳が、公庫の創業計画書を全部埋める
相談先を整理したミオ。
次に必要なのは、日本政策金融公庫へ提出する創業計画書です。
なぜ、この事業を始めるのか。
これまで、何をしてきたのか。
誰に、何を、いくらで売るのか。
何に800万円を使うのか。
600万円をどう返すのか。
次回は、ミオの数字を使い、創業計画書を最初から最後まで埋めます。
読み終わる頃には、
自分の計画書へ、何を書けばよいのか
が分かる状態を目指します。
この記事で参考にした主な公的情報
日本政策金融公庫
新規開業・スタートアップ支援資金
創業融資のご案内
融資のお手続き
TOKYO創業ステーション
創業相談
事業計画書作成相談
融資相談
東京信用保証協会
東京都制度融資「創業」
創業保証のご案内
東京都創業NET
東京都内の創業支援・融資制度
この記事は、架空の人物と事業計画を用いた学習用のシミュレーションです。
実際に利用できる制度、対象条件、金利、保証料、返済期間、必要書類、審査結果は、地域、申込時期、事業内容、申込者によって異なります。
記事内の相談順は、ミオの状況をもとにした一例です。
すべての創業者に共通する正式な申込順ではありません。
申込みや契約を行う前に、日本政策金融公庫、金融機関、信用保証協会、自治体、管轄の保健所などの公式情報を確認してください。
この記事は、融資や審査通過を保証するものではありません。
