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NRI vs 野村総研以外のシンクタンク系コンサル比較

「シンクタンク系コンサル」と聞くと、多くの人がまず思い浮かべるのが野村総合研究所(NRI)だろう。就活生からは「文系総合職の憧れ」、ビジネスパーソンからは「調査から実行支援まで幅広い」というイメージを持たれることが多い。しかし日本には、NRI以外にも金融グループを母体とした強力なシンクタンク系コンサルがいくつも存在する。三菱総合研究所(MRI)、日本総合研究所(JRI)、大和総研(DIR)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)、みずほ系のリサーチ機関、NTTデータ経営研究所――。これらは「シンクタンク発コンサル」という共通の出自を持ちながら、強み・社風・案件の性質がまったく異なる。今回は就職・転職を考えている人はもちろん、発注側としてどこに相談すべきか迷っているビジネスパーソンにも役立つよう、NRIとその他のシンクタンク系コンサルを徹底比較する。

そもそも「シンクタンク系コンサル」とは何か

外資系戦略コンサル(マッキンゼー、BCGなど)や総合コンサル(アクセンチュア、デロイトなど)と違い、シンクタンク系コンサルは「調査研究」を出自に持つという点が最大の特徴だ。もともとは政府や金融グループのために経済・産業動向を調査するリサーチ部門としてスタートし、そこから企業向けの経営コンサルティング事業へと発展してきた歴史を持つ。

そのため、シンクタンク系コンサルには次のような共通の強みがある。

• データ・統計に基づく「地に足の着いた」提言ができる
• 官公庁案件(政策提言、白書作成、実証事業など)に強い
• 金融グループを母体とするため、金融・公共分野の知見が厚い
• 外資系戦略ファームに比べて中長期的な伴走支援が得意

一方で「泥臭い調査には強いが、パワーポイントの美しさや提言のシャープさでは外資に一歩譲る」という評価も業界内ではよく聞かれる。この共通の土台を踏まえた上で、各社の違いを見ていこう。

NRI(野村総合研究所)の特徴

NRIは日本初の民間総合シンクタンクとして1965年に設立された会社が源流であり、業界内では別格の規模を誇る。売上高、社員数ともにシンクタンク系では圧倒的なナンバーワンで、コンサルティング部門とITソリューション部門(システム開発・運用)の両輪経営が最大の特徴だ。

NRI出身者がよく語る言葉に「現地現物」というキーワードがある。机上の分析だけでなく現場に赴いて徹底した事実確認を行い、それに基づいて問題解決を行う姿勢を重視する社風があるとされ、経営層だけでなく現場の担当者レベルまで巻き込んで合意形成を図り、「絵に描いた戦略」で終わらせない実行力を大切にする文化があると言われている。

強みを一言でまとめると、

• 流通・小売、金融、公共分野に強い総合力
• ITと戦略を接続できる「絵を描いて実装まで持っていける」体制
• 圧倒的な採用力・ブランド力による優秀な人材の集積

弱みとして挙げられるのは、規模が大きいがゆえの部門ごとの縦割り感や、大企業らしい意思決定の遅さだ。「NRIブランド」に安住せず尖った提案を出せるかは部署やチーム次第、という声も聞かれる。

三菱総合研究所(MRI)の特徴

MRIは三菱グループのシンクタンクとして、科学技術・エネルギー・環境分野などの理系領域に強みを持つことで知られる。理系出身者が多く、テクノロジーに強いシンクタンクという評価が業界内で定着している。

政策提言から企業向けコンサルティングまで幅広く手掛けており、組織設計、人材戦略、人的資本経営に関するコンサルティングも提供している。クライアントの持続的な企業価値向上を目指す支援スタイルが特徴だ。

MRIとNRIの違いをシンプルに言うなら、「NRIは金融・流通に強い文系的総合力」「MRIは科学技術・公共政策に強い理系的専門性」という棲み分けになる。就活生の間でも「文系ならNRI、理系・研究志向ならMRI」という語られ方をすることが多い。社風面では、MRIの方がアカデミックで落ち着いた雰囲気、NRIの方がビジネス色・体育会色が強いという声もある。

日本総合研究所(JRI)の特徴

JRIはSMBC(三井住友フィナンシャルグループ)系のシンクタンクだ。民間企業向けの人的資本経営をテーマとしたコンサルティングに注力しており、経営戦略と組織・人材開発の両面からのアプローチを特徴としている。

JRIはリサーチ部門とコンサルティング部門に加えて、SMBCグループのシステム開発機能も担っており、金融機関グループらしく金融機関向けDXや地方創生案件に定評がある。給与水準や働きやすさの面でも大手シンクタンクの中では評価が高い部類に入るとされ、大和総研としばしば比較対象になる。

大和総研(DIR)の特徴

大和証券グループのシンクタンクである大和総研は、証券・資本市場領域のリサーチに圧倒的な強みを持つ。経済調査や株式市場分析といった「本業のリサーチ」の質の高さに定評があり、そこから派生する形で企業のシステム開発・コンサルティング事業を展開している。

年収水準、福利厚生の手厚さについては業界内でも高評価で、大手金融機関のグループ会社としての安定性が魅力として語られることが多い。一方で、年功序列的なカルチャーが色濃く残っているとの指摘もあり、若手のうちから裁量を持って動きたい人にはやや窮屈に感じられる場合もあるようだ。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)の特徴

MURCはMUFGグループの一員で、その成り立ちは複雑だ。三和銀行と東海銀行の合併に伴い2002年にUFJ総合研究所として発足し、その後三菱東京UFJ銀行の成立に伴って2006年にUFJ総合研究所・ダイヤモンドビジネスコンサルティング・東京リサーチインターナショナルの三社が合併して現体制となった経緯を持つ。

MUFGグループの一員として、中堅企業を中心に組織人事コンサルティングを提供しており、経営ビジョン実現に向けた人材マネジメントの追求をミッションとしている。規模としては1,400人ほどが在籍しており、NRIやMRIに比べるとコンパクトな組織だが、中堅・中小企業向け支援や地域金融機関との連携案件に強みを持つのが特徴だ。

みずほ系のリサーチ・コンサル部門の特徴

みずほフィナンシャルグループのシンクタンク機能は、統合や名称変更を経てきた歴史があり、現在の呼称にはやや複雑な経緯がある。みずほフィナンシャルグループのシンクタンクとして、中小企業から大企業まで幅広い規模のクライアントに対応しており、銀行系ならではの幅広い業種・企業規模へのカバレッジが特徴だ。三菱UFJ系・SMBC系と並ぶメガバンク系シンクタンクとして、公共政策や金融機関向けのコンサルティングに強みを持つ。

NTTデータ経営研究所の特徴

これまで紹介してきた金融グループ系とは毛色が異なるのがNTTデータ経営研究所だ。情報通信産業から派生したシンクタンクであり、通信・ICT分野の知見を活かしたデジタル戦略コンサルティングに強みを持つ。金融グループ系のシンクタンクが「安定性・堅実さ」を売りにするのに対し、NTTデータ経営研究所はテクノロジー起点の変革支援を得意とするポジショニングだ。

早見表で見る各社の違い

就職・転職、あるいは発注先を選ぶときの視点 

ここまで見てきたように、シンクタンク系コンサル各社は「金融グループ系 vs 通信グループ系」「文系総合力 vs 理系専門性」「大規模総合力 vs 特化型の強み」という軸で棲み分けている。就職・転職を考える人にとっては、次のような問いを自分に立ててみるとよいだろう。

• 幅広い業界・大規模案件に関わりたいか、特定分野を深めたいか(NRIかMRI・JRIか)
• 金融機関向けの仕事に強い関心があるか(JRI・大和総研・MURC・みずほ系)
• テクノロジー起点の変革支援に惹かれるか(NTTデータ経営研究所)
• ワークライフバランスと年功序列的な安定を重視するか(大和総研などメガバンク系)

発注側としてコンサルを選ぶ場合も同様で、「調査ベースの説得力ある提言が欲しいのか」「実装まで一気通貫でやってほしいのか」「特定業界・特定機能への深い知見が欲しいのか」によって最適なパートナーは変わってくる。NRIの総合力は魅力的だが、案件の性質によっては専門性に特化した中堅シンクタンクの方がフィットすることも少なくない。

まとめ

NRIは規模・ブランド力・総合力で頭一つ抜けた存在だが、「NRIか、それ以外か」という単純な二項対立で捉えるのはもったいない。MRIの理系的専門性、JRIや大和総研の金融知見、MURCの中堅企業への機動力、NTTデータ経営研究所のデジタル変革力——それぞれのシンクタンク系コンサルには、母体となった金融グループや事業領域に根ざした固有の強みがある。

就活・転職であれ発注であれ、「シンクタンク系コンサルはどこも似たようなもの」と一括りにせず、各社の出自と強みを理解した上で選ぶことが、後悔しない選択につながるはずだ。この記事が、シンクタンク業界を理解する一助になれば嬉しい。

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