【内部相談窓口の作り方:後編】相談窓口の担当者は最低2人!選んではいけない人の特徴も解説
こんにちは、非営利組織とコンプライアンス研究会の代表世話人を務める弁護士・塙 創平(はなわ そうへい)です。
すこやかな職場づくりには、しっかりと機能する相談窓口の設置が重要です。前回は「相談窓口をどこに置くか」を解説しましたが、この記事では、担当者の人数や人選のポイントについてお伝えします。
まだ【前編】を読んでいない方は、先にそちらを読むことをおすすめします。
復習を兼ねて、相談窓口担当者の候補を挙げます。主に次の方々です。
(1)リスクマネジメント部門
(2)内部監査部門
(3)人事や総務の方
(4)社外役員
それでは、みていきましょう。
内部の相談窓口担当者の人数

ずばり、内部の相談窓口担当者は、2人以上をおすすめします。さらに、同じ部署の2人ではなく、異なる部署の2人がいいでしょう。
ただし、2人以上をおすすめする理由は実は、“話し合って、相談窓口として対応してほしい”ということではありません。
むしろ、担当者間で「緊急対応」なる話し合いを持つと、事なかれに拍車がかかり、みなが無責任になるだけでうまくいかないことも多いので気をつけましょう。そのため、相談窓口担当者は、基本的には独任制(1人で単独で意思決定して、次の対応へつなげる立場)であることが望ましいと思います。
コンプライアンス違反はとにかく迅速な対応が求められる場面が多いので、話し合う時間があればそれよりも次の対応へとつなげていきましょう。
理由1. 相談者が窓口担当者を選べる
私が2人以上をおすすめする最大の理由は、相談者が、"自分に都合のいい担当者"を選べるようにするためです。前編でご紹介したとおり、どこの部署に相談窓口を置くかによって、担当者に一長一短があるため、誰に相談しやすいかは、相談者にとって異なります。
ですから、相談者に対し、"選択肢を提供する為"と、"安全に配慮しながら対応をすすめる為"には、2人以上が望ましいわけです。
さらに、2人以上となれば、両性ともに相談窓口担当者とすることが可能になります。ことセクシャルハラスメントについては、異性に話すことに抵抗を感じる場面が多いので、両性ともに相談窓口担当者としましょう。
理由2. 対面での聴き取りは複数人の同席が必要
さらに、対面での聴き取り(一次調査)については、2人以上で臨むことが望ましいという点でも、相談窓口担当者は少なくとも2人いる必要があります。
言った言わないを含め、聞き取り調査で何か問題が起きた際、相談者のことも、担当者のことも守ることにつながります。
組織の規模の都合上、どうしても窓口担当者を1人しか置けない場合の面談では、利害関係がないことを確認した上で、信頼のおけるしかるべき立場の人(たとえば総務や人事)の人に同席してもらうようにしましょう。
一次調査の進め方についてはこちらの記事で解説しています。
このように、相談窓口担当者は、「組織(担当部署)ではなく個人を決めること」が必要です。つまり、窓口担当者が頻繁に変われば変わるほど育成コストがかかります。
長く勤めたくなる・離職したくない「すこやかな職場づくり」が、ここでも大切になってくるわけですね。
相談窓口担当者の選び方は消去法で

窓口を設置する部署が決まり、人数も決まった。
では、誰を選ぶか?という点です。もしかしたら、組織によってはここが一番難しいかもしれません。
まずは、逆説的ですが「ハラスメントに関心があり、率先して対応したがる方を内部の相談窓口担当者にしないように」気を付けてください。
笑えない話ですが、組織内でハラスメントの加害者としてよく名前が挙がる幹部が、内部の相談窓口担当者という事例に、実によく出会います。
正直、ハラスメントに関心(というか自覚)があり、場合によっては自身を通報させないために、相談窓口担当者になっているのではないか、と疑う程です。「うちの組織もそうだ!」と思う方も多いのではないでしょうか。
ハラスメントに対する考えや判断にバイアスがかかる人が相談窓口担当者をしていると、相談窓口を置いていることが逆の効果、つまり組織がハラスメントを容認しているというマイナスのアピールになってしまいますので、気をつけましょう。
また、特にハラスメント対応は守秘義務が重要なので、「この人に話したら、明日には全員に知られているのでは」という人も、もちろん適性がありません。
この2点に特に気をつけて、あとは「迅速に対応できそうか?」「自分で考えて動けるか?」など、職務との適性を考えていけば、おのずと適任者が見えてくる組織が多いのではないでしょうか。
また、もし上記の注意事項にあてはまる人が担当者になってしまった場合でも、担当者が2人いれば、相談者は、問題のある相談窓口担当者を回避できます!
万が一相談窓口担当者2人ともがそんな人なのであれば、それはもう組織の抜本的な改革が必要です。
あなたが事業主ならば今は潰れる前の段階だと危機感を持ち、決死の覚悟で組織改革を考えた方がいいですし、従業員ならば転職を視野にいれることをおすすめします。
ただし、着任時点では問題のなかった人でも、環境の変化(プライベート含む)により、ハラスメントをする一面が出てくることはあります。
自分自身にうまくいかないことが多くイライラしていると、他人にも優しくできなくなったり、時代の変化についていけなくなってきたりするのは、どんな人でも同じです。
そのため、一度選んだらあとはおまかせではなく、担当者の交代を含む定期的な見直しは必要です。
相談窓口担当者は2人以上かつ消去法
相談窓口担当者は少なくとも2人必要ですよとお伝えする意味がおわかりいただけたでしょうか。
相談者が担当者を選べる
聴き取り調査は複数人が同席するのが原則
担当者は、本人の適性に応じた消去法で決める
相談者が相談しやすい、生きた内部相談窓口があることで、みなが安心して働ける組織になります。
いじめと同じで、「トラブルが起きない」職場はありえません。
起きることを前提として、いかに早く芽を摘めるかが大切です。そのための第一歩である内部相談窓口を整えていきましょう。
次回は、内部相談窓口を設置・機能させるだけのゆとりがない組織や、もっと風通しの良い体制を作りたい組織におすすめの、外部相談窓口の設置についてお伝えします。お楽しみに。
