そのルール、誰のため?
ランチ中に聞こえた「小さな支配」
出張先でお昼に美味しいものを食べる、ビジネスマンである筆者の楽しみの一つです。
先日、30分ほど並んでようやく人気店のカウンター席に座り、絶品のランチをゆっくり味わっていました。
隣にはOLらしい3人組の女性。50代の上長風、30代の中堅お局風、20代の新入社員風という組み合わせでした。
聞くともなく聞こえてきた会話の中身は、はじめは自分たちが頼んだ定食の感想を言い合っていただけなのですが、急に衝撃的な一言が耳に入ってきました。
「お休みとるのは良いんだけど、その前後にTeamsに一言入れるようにしてくれると、みんな嬉しいんだよね。」
「休む前の日は、『明日お休みいただきます。』休んだ翌日は、『昨日お休みいただいてありがとうございました。』ってね。」
発したのは真ん中にいた中堅お局風女性。言われた新入社員風女性は、「すみません、以後気をつけます…」と謝る一方、隣で聞いていた上長風女性は何も言わずに頷くだけ。あの新入社員風女性さん、せっかく並んで食べたランチ、美味しくなかっただろうなぁ…
そのルール、必要ですか?
職場にはさまざまなルールがあります。経営陣が然るべき意思決定を経て定めた、組織の運営に必要な内規から、『コピー用紙は使い切った人が補充しましょう。』といった、みんなが気持ち良く働くための職場のオウンルールまで。
でも、必要性も根拠もない「勝手ルール」を生み出し、それを他人に強要する行為は、ただのハラスメントでしかありません。
「みんなが嬉しい」という謎の情緒論。「勝手ルール」は、いつも「私たちのため」とか「みんなのため」といった言葉で正当化されがちです。
でもその実は、「私たち」や「みんな」ではなく「自分が気持ち良くなるため」にすぎない。
こうやって「勝手ルール」を他人に押し付ける人は、自分が他人をコントロールできると無意識に思い込んでいます。
しかも、そんな自分を「みんなのために正しいことをしている」と信じて疑わない。
だからこそタチが悪いのです。
自分の「勝手ルール」を正義かのごとく振りかざし、従わない人を「気が利かない。」と責め立てる。
まるで、誰かの心を縛ることが仕事だと勘違いしているかのようです。
周囲に与える影響に無自覚で、自分勝手な善意を武器にしてしまう。
こういう「ルールメーカー」は、組織にとって害悪でしかありません。
経営者の想いを壊す人たち
社員に定着してもらい、自社で長く働いてほしいと思う経営者は社員の働きやすさを重視します。「風通しの良い職場」を目指して仕組みを整えます。
でも、現場にこうした「勝手ルール」を押し付ける人がいれば、その努力は簡単に台なしになります。
働きやすさは、制度だけでなく「人」がつくるもの。会社の仕組みや制度は、どこまでいっても「人」によって活かされるものです。
その「人」を活かすには、お互いを尊重すること、そして時々自らを振り返って、「自分の常識は他人にとっての非常識かもしれない。」と気付くことが欠かせません。
ランチは、是非リピートしたいほどの絶品でした。
でも、あの謎ルールだけは、もうお腹いっぱいです。
