コラム:「腐るお金」が生み出す地域循環 – CoCoコインの仕組みと感動
「お金が腐る?」そう聞くと、ほとんどの人が驚くだろう。お金は貯めるもの、増やすもの。そう信じて疑わなかった私自身、この仕組みを取り入れようと考えたとき、資本主義の常識がいかに深く根付いているかを実感した。しかし、この「腐るお金」こそが、地域経済を活性化し、人々のつながりを強くするカギになるのではないか——そう確信している。
CoCoコインは、新宮CoCoスクエア内で使える地域通貨であり、3カ月ごとに失効する仕組みを持つ。つまり、貯め込むことができず、使わないと消えてしまうのだ。しかも、その失効したコインの80%が、利用者の消費額に応じて再分配される。
この仕組みを取り入れようと考えたとき、私が思い出したのは「お金は使われてこそ価値がある」というシンプルな原則だった。お金を持っているだけでは、何も生み出さない。だが、流通すれば、そこに経済活動が生まれる。誰かが使うことで、別の誰かの収入になり、それがさらに別の誰かへと循環していく。このシンプルな動きを、強制的に加速させるのが「腐るお金」の仕組みなのだ。
しかし、この話をすると、多くの人が「それって損じゃないの?」と疑問を持つ。確かに、使わずに放っておくと価値がゼロになる。しかし、そもそもお金は使うためにあるものではないか? ただ貯めているだけでは、地域に何も還元されない。失効してしまうぐらいなら、少しでも使ったほうが得になる。だからこそ、CoCoコインを持っている人は、積極的に地域での消費を考え始める。
たとえば、ハンドメイド作家の商品を買ったとする。そのお金が作家の手元に入り、彼女は新しい材料を仕入れる。その材料を売ったお店も利益を得て、また別の消費につながる。そして、もし一定期間内に使われなかったコインがあれば、それはまた利用者に再分配される。こうして「お金が地域内で回り続ける」仕組みが生まれる。
この仕組みを実際に運用してみると、思った以上に人々の行動が変わることに驚いた。「せっかくだから使おう」と思う人が増え、「せっかくなら誰かの役に立つものに使いたい」という意識が芽生える。実際に、地域のイベントでの消費が増えたり、作家同士がコインを使ってお互いの作品を購入し合ったりと、経済活動が活発になっていった。
さらに、面白いことに、「使えば使うほど戻ってくる」という現象が起きた。期限が切れたコインが再分配されるため、積極的に利用した人ほど、次の利用のためのコインを手にすることになる。つまり、「お金は貯めるよりも、使ったほうが増える」という逆転の発想が生まれるのだ。
それでも、まだまだ多くの人にとって「腐るお金」の概念は理解しにくいようだ。やはり私たちは、金融資本主義の中で「お金は貯めてこそ価値がある」という価値観を深く刷り込まれている。だが、もし「お金は使うことで価値を生む」と考えられるようになったら、社会の仕組みは大きく変わるのではないか。
この小さな取り組みが、地域経済の新しい形として広がっていけばいい。お金は、貯めるためにあるのではなく、使うことで誰かを幸せにし、それが巡り巡って自分に戻ってくる。そんな新しい経済の在り方を、CoCoコインを通じて少しでも体感してもらえたら嬉しい。
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