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一次産業をつなぐ人|秋田県鹿角 合同会社トライズ 山口秀幸

実家が農家で、小さい頃からよく手伝いをしていました。

でも当時は、「将来は絶対に農家にはなりたくない」と思っていました。農業は大変なわりに、決して裕福とは言えないイメージが強かったんです。
そんな自分が今、「合同会社トライズ」を立ち上げて農業を生業にできているのは、「今になってわかる」魅力にたくさん気づくことができたからです。

トライズは、役員3名・正社員3名の会社です。繁忙期には、外注さんやパートさんも含めて14〜15名ほどの体制で動いています。
主にお米をつくりながら、枝豆や大玉トマト、ミニトマト、蕎麦なども手がけています。

農業経営は、まずトラクターやコンバイン、ビニールハウスといった設備投資からはじまります。そのため、2022年に会社を立ち上げた最初の1〜2年は赤字でしたが、3年目でようやく、安定した黒字経営に持っていくことができました。

これまでは農協さんとの取引がほとんどで、あとは地権者さんに収穫物でお支払いをする形でしたが、2024年からは、直接のお取引先も少しずつ増やしはじめています。
米不足や米騒動の影響もあり、ありがたいことに新たな引き合いが増えました。3年目の若い会社にとっては、大きな追い風になっています。

米づくりで一番おもしろいと感じているのは、「正解がない」ところです。
たとえば、苗を植える前の土づくり。人の手ですべてをコントロールできるわけではなく、土の中にいる微生物たちの見えない力によるところが大きいんです。

「どうしたら、もっと微生物が活発に動いてくれるのか」
「どうすれば、より豊かで肥沃な土になるのか」

勉強と実践を繰り返しながら試行錯誤しているところです。もともと畜産関係の会社で働いていたこともあり、その経験が堆肥づくりや土づくりにも活きています。

地元の一次産業を支えたい。農地を保全したい。その気持ちが原動力になっています。
この地域は限界集落で、年々、担い手のいなくなった農地が増えています。そんな中でも、「地元で働きたい」「農業をやってみたい」という若い人もいます。一方で、農業は始めるための初期投資が大きく、ハードルが高い。だからこそ、自分たちがその“受け皿”になれたらと思っています。

農地や農業法人の“継業”という形で、農地の保全につなげていきたい。それも、「これまでと同じ農業」ではなく、ドローンや合鴨ロボットなどを取り入れた「スマート農業化」を進めていくことも大切です。重労働をする体を張った農業ではなく、テクノロジーの力も借りながら、続けられる農業にしていきます。

受け継いだ農地で、しっかり作付して、きちんと維持管理していく。
その姿を見せていくことが、この土地で育った自分にとっての恩返しにつながるんじゃないかと思っています。

cometen|米と米のまわりを伝える活動。
『cometen』 owner main editor 優 / yu


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