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淡い色彩が、私の人生を照らしてくれた。フォロンとの旅|あべのハルカス美術館

大阪・あべのハルカス美術館で開催の「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展(4月5日-6月22日)

展覧会のメインビジュアルの可愛さと、柔らかな色彩に引き寄せられて会場に
そこで私を待っていたのは、フォロンと共に、人生を見つめ直す“空想旅行”でした。

ジャン=ミッシェル・フォロン(1934~2005年)は、20世紀後半のベルギーを代表するアーティスト。雑誌、ポスターなどのグラフィックアートから、ドローイングや水彩、版画、オブジェ、アニメーションまで多彩な才能を発揮する。自らを“空想の旅への案内人”と名乗っていた。今回の展覧会は日本で開催される30年ぶりの大回顧展で、約230点の作品が展示されている。

フォロンが使用していた名刺
「空想旅行エージェンシー」と書かれている

フォロンとの空想旅行

さぁ、旅を始めましょう。

《無題》1974

人生は、行き先知れずの旅である。

思った通りにはならないし
思って見なかったことにもなる

だから人生は不安だったり
時に楽しみだったりもする。

そんな人生の旅路が一本道なら
ただ導かれるままに、決められた道を歩めばいい

《無題》1968

でも実際には、別れ道の連続だ。

今日、着る服は?
何を食べる?
どの本を読み、何の音楽を聴く?
どこで働き、誰と暮らす?

私はいつも無数の選択と向き合っている

《あらゆる方へ》2004

選べる道が多いのは幸せなことだ
より良い未来につながる希望がある

でも選択肢が多すぎるのも考えものだ
何を選べば良いのか、さっぱりわからない。

新聞、テレビ、ラジオ、SNS、ウワサの類まで…
溢れかえる情報に困惑しながら、私は見えざる力に選ばされている。

《悲鳴》1972

そして選べる自由はまた、選んだ責任も重くする。
もう誰のせいにもすることもできない

いっそ選べない方が「楽」なのか
そう感じることもある
決められたことをそのままに

いずれにしても誰かの意思に支配され、動かされている。

選べる希望と、答えの見えない不安、
私はいつも、その曖昧な境界線を行きつ戻りつ惑い続ける。

《森》不詳

人生は時に重大な決断を迫られる
ひとたび間違うと、取り返しがつかないこともある

《深い深い問題》1987

正しい道を選ぶには、知識と経験が必要だと言う。
そこで私は、学んで賢くなろうとする。

《無題》1970

だが、人生は時に残酷だ。
より良く生きるための知識や経験が、
“正しい”選択を邪魔することもある。

考えに考え抜いた決断が
望まぬ結果となった時、
悲しくて悔しくて
もうこの先を歩むことも、
道を選ぶことも投げ出して
消えてしまいたくもなる。

《見えない存在》1990

そんな時は、少し寄り道してみよう
まだ知らぬ世界を求めて軌道を外す
そこには見たこともない景色が広がっているかも知れない
その出会いは、私の閉じかけた眼を開き、生きる糧となるだろう。

《発明》1982

人生とは、行く先知れずの旅である。

時に孤独なことがあるだろう
時に生きる目的を見失うこともあるだろう

《無題》制作年不詳

でも、答えはいつもシンプルだ
いつかたどり着く地平に思いを馳せ
ありのままに穏やかに、そして人に優しく生きていきたい。

《ひとり》1987

人生は別れ道の連続だ
でも、彼方からこちらを振り返ると、
実は1本道なのかも知れない。

どんな結果も、選択もそれが私

「今」は過去の積み重ねでしかない
どちらの道を選ぼうとも、行き着く先はきっと決まっている
それが“運命”と言うものか
そう思えば、どのような選択も正解なんだと思えてくる。

《道》1980

いつか私の命に終わりが見えた時
自分の歩んだ道を振り返り
何だかんだと「良く生きた」と思えれば、私の一生は幸いである。

《映画「裸の愛」ポスターのための原画》1981
《遠い国からあなたへ手紙をしたためています》1972

*私の個人的な感想によるストーリーです。


フォロンの作品には、彼に大きな影響を与えた画家、マグリットの現実と空想の境界を曖昧にする世界観も垣間見られます。

しかしフォロンは、空想の世界だけに生きたわけではありません。戦争や公害など、人間の不合理や理不尽、残虐性にも目を向けます。

《『世界人権宣言』表紙原画》1988

それでもなお、その独特の柔らかい色彩で、詩のように情緒豊かに語りかけているように感じるのです。「人生は、美しい」と

《いつもと違う》1976

今回の展覧会でフォロンの作品と向き合い対話することで、迷いに満ちた今の私に、安らぎと希望の淡い光がさす思いでした。


会場に「マルセル・ブルースとに質問帖とフォロンの回答」という展示がありました。いくつかの質問の中から、私が最も気に入った回答をご紹介します。

光る穴を覗けば、中にフォルンの回答が記されている


あなたもフォロンの案内で、空想の旅に出て見ませんか?

《月世界旅行》1981

「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展
会場:あべのハルカス美術館
(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
期間:2025年4月5日− 6月22日
時間:火-金 10時-20時/月土日祝 10時-18時
入館料: 一般 1,900円、大高生 1,500円

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