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旅のススメ③

旅のすすめ③

世界一周で気づいた、本当の旅の価値

「世界一周に行ってみたい。」

そんなことを思ったことがある人は、多いのではないでしょうか。

私もその一人でした。

学生の頃から漠然と憧れていました。

でも、「いつか行きたい」という夢は、そのまま何もしなければ一生実現しません。

私が世界一周へ出発したのは、フリーランスとして仕事をしていた頃。

プロジェクトとプロジェクトの間に、まとまった時間ができました。

「このタイミングを逃したら、もう一人で世界一周なんてできないかもしれない。」

そう思い、思い切って航空券を予約しました。

振り返ると、あの決断は人生の中でも特に良い決断だったと思っています。



行ったことがない場所へ行く

世界一周を計画する時、自分の中で一つだけルールを決めました。

「まだ行ったことがない地域を優先する。」

それまでに南米やアメリカ大陸、アジアはある程度旅をしていました。

だから今回は、あえてそれらの地域を外しました。

最初の約1か月は、友人たちと現地で合流する旅です。

タイでは友人と再会し、現地の屋台を巡りました。

モロッコでは別の友人と合流し、迷路のような旧市街を歩きました。

スペインではまた別の友人と待ち合わせをし、久しぶりの再会を楽しみました。

旅は一人でも楽しいですが、「現地で友人と会う」という旅のスタイルも、とても好きです。

普段はそれぞれ違う人生を歩いている友人たちと、世界のどこかで待ち合わせをする。

それだけで、その街が少し特別な場所になります。

友人たちと別れた後は、一人で東ヨーロッパを巡りました。

国境を越えるたびに、街並みが変わる。

言葉が変わる。

食べ物が変わる。

文化が変わる。

日本では県境を越えてもここまで大きくは変わりません。

だからこそ、「世界は本当に広いんだな」と何度も感じました。

その後はニューヨークへ渡り、高校時代の修学旅行で訪れた場所を歩き直し、カナダを巡り、最後はハワイを経由して日本へ帰国しました。

ちなみにハワイに寄った理由は、「どうしても行きたかったから」ではありません。

ハワイ経由の航空券が、一番安かったからです。

旅というのは、「行きたい場所」だけではなく、「どう移動すれば時間もお金も有効に使えるか」を考えるゲームのような面白さもあります。



あえて行かなかった場所

世界一周なのに、行かなかった地域があります。

それが、中東やアフリカの一部です。

理由はシンプルでした。

当時の私は、「いつかアメリカで働きたい」と考えていたからです。

国によっては、渡航履歴があることでアメリカ入国時やビザ申請時に追加の確認を受ける可能性がある、という話を耳にしていました。

もちろん、すべてのケースで問題になるわけではありません。

それでも私は、将来の選択肢を狭める可能性があるなら、そのリスクは取らないと決めました。

その代わりに東ヨーロッパを中心に回りました。

今振り返ると、この判断は間違っていなかったと思っています。

その後、本当にアメリカで働くという夢を実現することができたからです。

旅は「今」を楽しむものですが、時には「未来」のために行き先を選ぶこともあります。



世界一周で学んだ、お金の使い方

世界一周で一番学んだことは、お金の使い方でした。

私は旅に出る前、

「このお金が全部なくなっても、日本に帰れば生活を立て直せる。」

そう思える金額だけを旅行資金にしました。

投資している資産には手を付けません。

生活費も残しました。

その上で、「このお金は人生経験のために使い切る」と決めたのです。

この考え方をしたことで、旅が大きく変わりました。

学生の頃は、少しでも安くするために夜行バスへ乗り、長距離列車に揺られ、丸一日かけて移動することもありました。

もちろん、それはそれで楽しい思い出です。

でも世界一周では、必要なところでは飛行機を使いました。

飛行機を使えば数時間で着く場所を、二日かけて移動する必要はありません。

その分、現地で過ごす時間が増えます。

疲れも減ります。

もう一つ観光地へ行けます。

旅において、お金は贅沢をするためだけのものではありません。

時間を買うためのものでもあるのです。

これは、世界一周で得た大きな学びでした。



食事は、その土地でしか完成しない

旅好きの友人が、昔こんなことを言っていました。

「景色なんて、最悪写真で見られる。

でも、その土地で食べる料理だけは、その場でしか味わえない。」

当時は、「なるほどね。」くらいにしか思っていませんでした。

でも旅を重ねるうちに、その言葉の意味がよく分かるようになりました。

例えば、タイのシンハービール。

タイで飲むシンハービールは、本当に美味しい。

暑い気候の中で飲むあの一杯は、驚くほど飲みやすく感じます。

ところが日本へ帰って飲むと、

「あれ?こんな味だったかな。」

と思うことがあります。

きっとタイの気候に合わせて造られ、その暑さの中で飲むからこそ、一番美味しく感じるのでしょう。

同じことをアメリカでも感じました。

私は日本では、ほとんどコカ・コーラを飲みません。

でもアメリカへ来ると、不思議と飲みたくなるのです。

乾燥した空気。

強い日差し。

広い道路を長時間運転した後。

そんなタイミングで飲むコーラは、本当に美味しい。

もちろん、味自体は日本のコーラと大きく変わらないのかもしれません。

でも、その土地の気候や空気、雰囲気も含めて、「美味しい」という体験になるのだと思います。

だから私は、旅では食事を大切にしています。

その土地でしか味わえないものには、できるだけお金を使いたい。

食事は、旅の満足度を何倍にもしてくれるからです。



若い旅と、大人の旅

私は学生時代、バックパックを背負って旅をしました。

お金はありませんでした。

だから節約ばかりでした。

でも、それが楽しかった。

一方で、社会人になってからは、お金を貯めて旅をするようになりました。

飛行機を使う。

美味しいレストランへ行く。

少し良いホテルへ泊まる。

すると旅の楽しみ方が、まったく変わりました。

どちらが正解という話ではありません。

学生だからこそできる旅があります。

社会人だからこそ楽しめる旅もあります。

だから私は、もし若い人がこの記事を読んでいるなら、「お金がないから」と旅を諦めないでほしいと思います。

そして社会人の方には、「時間も旅のコストなんだ」ということを伝えたいです。



気づけば59か国になっていました

気づけば、私が訪れた国は59か国になっていました。

59か国も旅をしたと言うと、

「旅行が趣味なんですね。」

と言われます。

でも、私が好きなのは、国の数を増やすことではありません。

その土地でしか見られない景色。

その土地でしか感じられない空気。

その土地でしか食べられない料理。

その土地で出会った人。

そして、旅をするたびに少しずつ変わっていく自分。

その積み重ねが、結果として59という数字になっただけです。



だから私は、旅を勧めたい

旅をすると、世界が広がる。

そう言う人は多いです。

でも私は、少し違うと思っています。

旅で広がるのは、世界ではありません。

自分の選択肢です。

海外で働いてみたい。

英語をもっと勉強したい。

違う文化の中で暮らしてみたい。

そんな気持ちは、旅に出なければ生まれませんでした。

もしあの時、香港への一人旅をしていなかったら。

もしニュージーランドでホームステイをしていなかったら。

もし世界一周を諦めていたら。

今、私はアメリカで暮らしていなかったかもしれません。

人生を変えたのは、大きな決断ではありません。

「ちょっと行ってみようかな。」

そんな小さな一歩でした。

だから私は、旅を勧めます。

学生なら、少し不便なバックパック旅行でもいい。

社会人なら、お金を貯めて、時間を買う旅をしてみてもいい。

どちらも、その時にしかできない旅です。

もし今、「いつか旅行に行きたい」と思っているなら、その”いつか”を”今度”に変えてみてください。

10年後、20年後に振り返った時、その旅があなたの人生を変えた原点になっているかもしれません。

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