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念願のトレーナーデビューから見えた景色

 先日、長年の夢だった自閉症支援のワークショップ(トレーニングセミナー)のトレーナーを務めてきました。自閉症支援のワークショップとは自閉症のある方を支援するために必要な知識や技術を、実際の演習や体験を通して学ぶ場です。座学だけでなく、自閉症のある方を支援のモデルとして参加して頂き、ロールプレイ、グループワークなどを取り入れ、「理解する」から「実践できる」へつなげることを目的としています。
 思い返せば約10年前、初めて受講生として参加したあの日から、いつか自分も伝える側に立ちたいと密かに目標にしていました。私自身、初めて参加したワークショップセミナーの衝撃が、その後の仕事や学びの方向性を大きく変えてくれた経験があります。その学びがあったからこそ、今の自分がある!そう言えるほどの出来事でした。
 その後は自閉症支援の現場で日々奮闘する中、アセスメントや構造化支援など根拠ある支援方法の重要性を肌で感じ、その効果を目の当たりにしてきました。そして今回、ついにトレーナーとして、次世代の支援者たちに知見を伝える機会をいただけたこと、本当に光栄でした。もちろんプレッシャーは大きく、準備の段階から緊張は続きましたが(笑)それ以上に「学びを届けられる喜び」「つながりをつくれる光栄さ」を強く感じました。
 この記事では、トレーナーとしての2日間を振り返りながら、セミナーの意義や効果、そしてそこから見えてきた「学びを現場へつなぐ」ことの大切さについて綴ってみたいと思います。4780文字で作成しています。

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「伝える」ことで整理される自分の知識

 トレーニング初日の朝、前日も別の研修に参加して色々と考えていたこともあり、会場に向かう時には胸の鼓動が普段より早いのを感じていました。これまで現場で培ってきた経験や知識を、限られた時間でどう伝えるか。受講生の皆さんにとって本当に役立つ学びを提供できるか。プレッシャーは想像以上でした。
 1日目は「どのように評価の視点を持つか」と「どのように評価を現場に生かすか」ということでした。様々な方略は、知識として学ぶだけでなく、実際の現場で活用できてこそ意味があります。そのため、打ち合わせの中では具体的な事例を交えながら、アセスメントの視点とアセスメントの結果を支援にどう落とし込むか、構造化をどうデザインするかといった点を重点的に解説しました。
 今回のワークショップでは、自立課題を通して評価、構造化、再構造化を学んでいくプログラムです。モデルの方とのお話を通じて、自分の頭の中が少しずつ整理されていくのを感じました。受講生の皆さんの疑問や質問に答える中で、私自身の知識や理解も深まっていくような感覚です。これは、一方的に知識を伝えるだけではない、双方向の学びの場だからこそ得られる貴重な経験でした。私自身は「どう伝えるか」「どう受け取ってもらえるか」を意識し続けていたように思います。話しているうちに、自分が本当に大切にしている視点や、これまでの経験から得てきた知見が自然と浮かび上がってくる。緊張しつつも、そうした発見がとても新鮮でした。
 初日を終え、受講生の皆さんを見ているとお互いに話も弾み、明日に向けた前向きな話し合いをされていたので、きっと素敵な学びの1日になったのではないかと感じました。そして私自身も、トレーナーとしての役割の重要性と、伝えることの奥深さを改めて実感した1日でした。「アウトプットする」という行為が、実は自分自身の学びを深める最高の機会だったことに気づかされます。

学びと実践をつなぐために

 2日目は、受講生の皆さんが実際の現場に学びを落とし込むための具体的な方法をお伝えすることに重点を置きました。私が常々感じているのは、「学びと現場が離れてはいけない」ということです。私の書いているnoteを見て頂けたらわかるかと思いますが(笑)どれだけ素晴らしい知識やスキルを学んでも、それが現場で活用できなければ意味がありません。
 これは私が福祉の現場に携わる中で痛感してきた課題です。研修を受けて知識を得ても、現場に戻ると「忙しさ」や「慣習」に飲み込まれ、学びが置き去りにされてしまうことが多い。だからこそ、受講生が「どうすれば活用できるのか」を自分の言葉で整理し、自分の事業所でのイメージで持ち帰ることが大切だと考えました。
 この思いを胸に、具体的な事例を交えながら、持ち帰ってからそれぞれの現場で実践できるヒントを伝えることを心がけました。強度行動障害のある方への支援で悩んでいる受講生、コミュニケーション支援の方法を模索している受講生、夜間支援で構造化を考えている受講生。それぞれの立場で活用できる視点を提供できるよう努めました。
 そして何より2日間を通じて、モデルとして参加してくださった方の存在は本当に大きかったです。気さくでありながら真剣に、時に笑顔を交えながらも集中して取り組む姿は、受講生にとって最高の学習材料となりました。実際の支援場面を想定したロールプレイでは、その方の自然な反応や素直な疑問が、受講生たちの理解を一層深めてくれました。理論だけでは伝わらない、生きた学びがそこにはありました。私自身も、受講生の皆さんが真剣に議論し、アイデアを出し合っている姿を見て、今回のセミナーの意義を強く感じました。

終了後の気付き

 たくさんのことが盛り込まれたあと、2日間のトレーニングセミナーが無事に終了しました。モデルの方の気さくな様子と温かさ、そして真剣さが、受講生の学びをさらに深めてくれたことは間違いありません。受講生の皆さんからは「具体的な事例が多くて分かりやすかった」「たくさんの気付きがあった」といった嬉しい感想をいただくことができました。
 支援を学ぶ場において、モデルとなる当事者の存在は不可欠です。知識やスキルは大切ですが、それ以上に「目の前の方とどう関わるか」が支援の本質だからです。その方の気さくな人柄やリアルな反応が、受講生にとって何よりの教材となりました。
 また、私自身も「伝える役割としての第一歩」を踏み出すことができました。これはゴールではなく、ようやくスタートラインに立ったという感覚です。2日間を通じて、受講生の皆さんの熱意に触れ、私自身の学びも深まりました。特に、「支援の現場で『できること』を増やすために今日の気づきをどう形にするか」という問いは、今後の私の活動を考える上で非常に重要な視点となりました。今後も経験を積み、より多くの人に学びを届けられるように成長していきたいと感じています。

ワークショップセミナーの意義を整理する

1. 体験型学習の重要性
 今回のトレーニングセミナーを通じて改めて感じたのは、座学だけでは限界があるということです。これは私が学んできた文献でも明らかにされています。実際に手を動かし、アセスメントツールを使い、構造化のアイデアを形にする。この体験型の学習こそが、現場で使える実践力を育てます。受講生の皆さんが、最初は戸惑いながらも、徐々に自信を持って課題に取り組む姿を見て、ワークショップ形式の研修の価値を実感しました。

2. 仲間との学び合い
 
もう一つ印象的だったのは、受講生同士の学び合いです。グループワークでは、それぞれの現場での経験や悩みを共有し、互いにアドバイスし合う姿が見られました。異なる施設、異なる立場の支援者が集まることで生まれる化学反応。これは個人学習では決して得られない貴重な財産です。トレーニングセミナーは、知識を得る場であると同時に、支援者のネットワークを構築する場でもあると痛感しました。

3. 知識を「使える知恵」に変える
 専門書を読んだり、オンラインで講義を視聴したりするだけでも知識は身につきます。しかし、それを「使える知恵」に変えるためには、実際に手を動かし、試行錯誤することが不可欠です。トレーニングセミナーは、参加者が自ら体験し、疑問をぶつけ、講師や仲間と対話することで、知識を自分の血肉にするための絶好の機会を提供します。

支援者を支援する

 10年以上の現場経験を通じて、私は多くの支援者の悩みや葛藤を見てきました。「どうすれば利用者さんに伝わるのか」「なぜ行動障害が起きるのか」「家族にどう説明すればいいのか」。これらの切実な問いに対して、今後は、先輩としてこれらの現場の声を受け止め、実践可能な形で解決策を提示する。それが私の新たな使命だと感じています。
 今回のトレーニングセミナーを終えて、強く感じたのは「知識の循環」の重要性です。私が10年前に受けた学びが、現場での実践を経て深まり、今度は次の世代に伝えられる。そして受講生の皆さんが、それぞれの現場で実践し、新たな気づきを得て、またそれを共有する。
 この循環こそが、自閉症支援の質を向上させ、より多くの方々のQOL向上につながるのだと確信しています。

おわりに:第一歩を踏み出して

 ワークショップセミナーのトレーナーとしての2日間は、私にとって忘れられない経験となりました。2日間のセミナーはあっという間に過ぎていきました。緊張、不安、喜び、発見──さまざまな感情が渦巻きましたが、終わったあとに残ったのは「やってよかった」「次につなげたい」という思いでした。支援の現場には、まだまだ課題が山積しています。しかし、その中で一人ひとりが「できることを増やす」一歩を踏み出すことができれば、現場は確実に変わっていきます。今回の経験を通じて、私自身もまた一歩を踏み出しました。これからも現場での実践を大切にしながら、より多くの支援者の方々と学び合い、支え合える関係を築いていきたいと思います。
 それは、自閉症の方々が、その人らしく、安心して生活できる社会の実現に向けてです。根拠ある実践(構造化支援)の普及と、支援者の専門性向上に微力ながら貢献していく所存です。もし、施設での構造化支援の導入、職員研修の企画、個別ケースへのコンサルテーション等でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。一緒に、より良い支援の形を考えていきましょう。
 10年前の受講生だった私が、今トレーナーとして立っているように、今回の受講生の中からも、きっと次世代のトレーナーが生まれることでしょう。その日を楽しみにしながら、私自身も学び続け、伝え続けていきたいと思います。支援の輪が、ゆっくりと、でも確実に広がっていくことを信じて。この記事を読んでくださった支援者の皆様、保護者の皆様、そして自閉症支援に関心を持つすべての方々へ。皆様の日々の実践が、誰かの明日を変える力になっています。共に学び、共に成長していきましょう。

 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。皆様の「スキ」や「フォロー」、SNSでの「シェア」が励みになります。よろしければ、関係者の方にもご紹介いただければ嬉しいです。よろしくお願いいたします。

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