「もっと寄り添って」と言われて、心が折れそうなあなたへ。映画から考えたこと。
今日の支援、本当にお疲れ様です。先日、一本の映画を観てきたんです。『ひゃくえむ。』という、陸上競技の映画でした。100mという、たった10秒ほどの瞬間にすべてを懸ける選手たちの物語です。この映画は、私が大好きな陸上競技の100mの映画ということだけで見に行ったのですが、ただのサクセスストーリーではなく、泥臭くて現実的。努力しても報われない現実、他人との比較の中で自分を見失う苦しさ、それでも「走る」という行為をやめられない人間の内面が描かれていました。
「速く走ること」ではなく、「どう向き合うか」。勝敗の先にある、人の生き方を問うような映画でした。100メートルという短い距離を、主人公がどう生きるかという「哲学」の物語だったように思います。観終わったあと、胸の奥に静かな熱が残りました。それは中学、高校時代の陸上競技部で、ただ一人で黙々とトレーニングしていた自分を思い出したからです。
それくらい私の青春時代の話を少しするとともに、さぁどのように自閉症の話に持って行こうか…悩みながらの記事です(笑)気軽にぜひご覧ください。今回は3953文字で作成しています。
▼ひゃくえむの漫画はこれ!
▼公式LINEを始めました!
公式LINEに登録することで、noteの最新情報や研修情報をシェアします。また、会員特典としてnote記事の自閉症スペクトラム、自閉症支援の方向性、組織についての音声概要をプレゼントします!聞きながら学びを深めたい方には最高かと思います😊ぜひ登録をお願い致します。
▼メンバーシップ▼
過去の有料記事もこれからの有料記事も全部見れるようにしています。また、メンバーシップ限定の音声要約、月一のまとめも公開しています。今後は、メンバーシップ限定の30分の無料個別相談やコンサルテーション割引など順次整備していきますのでぜひご参加下さい。
「冷たい」と言われた支援者の迷い
映画を見ていると当時していたことが頭に浮かんできました。私の場合は走る、ウエイトをするなどの以上に時間を割いていたことがあります。それは自分の動きをビデオで確認し、コンマ1秒を縮めるためにフォームを分析したことです。そして、有名な速い選手を追いかけ、本やテレビを見て理論を学び、実践する。これをただトレーニングするよりも多くの時間を割いてきました。映画を見ながらなんだかそんなことを思い出しながら胸が熱くなったと同時に、ハッとしたんです。
「あぁ、支援の現場でずっと同じことをやってるな」って。
もちろん、陸上選手のように速く走るわけじゃありません(笑)。今は、福祉の現場で自閉症の方々と向き合っています。日々、行動を観察し、行動を分析し、人を含めた周囲の環境を整え、ご本人を理解していく。どれも自閉症支援を学んできた支援の内容です。それが、高校時代に周りの速い選手のフォームを必死で真似していた自分と、不思議なほど重なって見えたんです。
でも、この科学的な姿勢は時として現場では思わぬ壁にぶつかることがあります。良かれと思って、ご本人の行動を冷静に観察し、その背景にある理由をチームやご家族、関係者に伝えただけなのに、
「〇〇さんの分析は、なんだか冷たい」
「もっと気持ちに寄り添ってあげてほしい」
「声掛けをたくさんしたらわかるから」
「そんな理屈じゃなくて、人間味のある関わりをして」
「みんな一緒に楽しんだ方がいい。笑顔が少ない」
…なんて言われて、グサッときた。そんな経験、あなたにもありませんか?正しいことをしているはずなのに、なぜか理解されない。むしろ、人間味がないとまで言われる。あの、胸がキュッとなるような、もどかしくて、ちょっぴり孤独な感じ。私もそんなことの連続でした。むしろ今もそうかもしれません汗。自分の無力さに、何度も心が折れそうになりました。
私は、冷たくしているつもりなんてありません。むしろ誰よりも真剣に、相手の行動を理解しようとしていたつもりでした。でも確かに、表面的には「寄り添っていないように見える」のかもしれない…それは、必要以上に言葉をかけず、黙って観察すること、個別に自立的に行動してもらうこと、口頭指示よりも本人が分かるやりとりも多いからです。
冷たさではなく、専門的な対応の一つ
高校の頃の自分は、強豪でもなく、目立つ選手でもありませんでした。部員は10人にも満たず、環境も全く整っていません。だから、私は「速い人を観察する」ことから始めました。テレビでフォームを繰り返し見たり、本を読んで理論を学んだり。他校の選手に練習方法を聞いて、ノートにメモをとった。一人で他校の練習に参加したり、自分のペースで練習に参加したり、色々と考えて考えて練習してました。
例えば、当時は走り込み、全力で何本も走ることが必要だと言われていましたが、ペースが遅くても正しいフォームが乱れないことを重視しました。つま先で強く蹴って走ると言われていたところを身体の前で接地をして押す感覚だけで、重心を乗せ込み移動させることを中心に走っていました。筋力をつける部位も動ける筋肉、股関節が育つようにハードル走を取り入れたり、砲丸投げをしたり、色んなトレーニングを取り入れていました。
当時の練習の方法や走り方から違いがあったので、先生や周囲からは「異端児」として見られていました。今考えると先生たちから考えると部活動も教育の一環だったために怒られていたことは理解できます(笑)
さてそれを振り返ると、それはまさに「行動分析」と「科学的根拠のある実践」だったということです。支援現場でやっていることと、何も変わりません。
つまり、私にとってこの対応は冷たさではなく、誠実さの表現の一つでした。相手の「なぜ」に向き合うために、焦らず、感情を挟まず、見続けること。そこからご本人の特性に合わせてやりとりして支援をすること。それが私の寄り添い方だったんです。
「寄り添い」の視点を変える
私たち支援者が、仕事をする上で大切にしている言葉の一つが「寄り添い」だと思います。でも、この言葉は時として、私たちの誤解にもなることがあると考えています。
「寄り添わなきゃ」
「気持ちを分かってあげなきゃ」
「もっと何かをしてあげたい」
そう思うあまり、私たちはつい、相手の言葉をすべて受け止め、感情にひたすら同調することだけが「寄り添い」だと思い込んでしまいがちです。果たして寄り添うとは、相手と同じ気持ちになることでしょうか?泣いている人と一緒に泣くことでしょうか?もちろん、共感の言葉やサポートは大切です。
でも、もしご本人が自分の感情や状況をうまく言葉にできない方だったら?もし、言葉とは裏腹のサイン(行動)を示していたとしたら?ご本人が自立するタイミングにたくさん介入していたら?
私の経験からの視点
例えば100mで11秒の壁を切りたいと願う選手がいたとします。その選手に対して、コーチはただ「頑張れ!」「君ならできる!」と声をかけるだけでしょうか? きっと違いますよね。ストップウォッチを片手にタイムを計り、ビデオカメラでフォームを隅々まで撮影し、様々なデータを多角的に分析するはずです。
「君のスタート時のブロックの蹴り出し角度が高いからあと2度だけ低くしてみようか」
「後半、少し顎が上がって力が入っているから、腕の振りをもう少しコンパクトに意識してみよう。その方が、力が地面に効率よく伝わるはずだ」
このように、具体的な事実に基づいて、ご本人が目標に近づくための「地図」を一緒に作ってあげる。感情論だけでなく、科学的な視点を持って、課題解決の伴走者となる。これって、私たちの支援と全く同じじゃないか、と私は思うんです。本当の「寄り添い」とは、感情の波に一緒に溺れることではないと考えています。
ご本人が言葉にできない「しんどさ」の正体を、行動というサインから一緒に見つけ出し、「こうすれば、もっと楽になれるかもしれない」という具体的な道を照らしてあげること。一緒にそのスキルをトレーニングしたり、活用できるようにしたりすること。これが寄り添いの一つの形だと、思っています。
では、この「冷静な観察」と「温かい支援」を両立させるには、具体的にどうすればいいのでしょうか?これらの、より実践的なノウハウや具体的な事例については、以下のような有料記事(またはメンバーシップ)で詳しく解説しています。
映画を見終わって。
映画を観終わったあと、私はもう一度、100mを走ってみたいなぁと思いました。勝ちたいとか、速くなりたいとかではなく、ただ「もう一度、あの感覚を味わいたい」と。ちなみに私は「異端児」と言われながらも高校、大学と全国大会に出場したんですよ!!懐かしい気分になった不思議な映画でした。
もし、かつての私のように、日々の支援の中で「自分のやり方は正しいのだろうか」と迷い、時に孤独を感じている方がいるなら、ぜひ思い出してください。あなたの冷静な視点は、冷たさではありません。ご本人と誠実に向き合おうとする、専門性の証です。ぜひメンバーシップで様々な有料記事へアクセスしてください。
▼メンバーシップ▼
過去の有料記事もこれからの有料記事も全部見れるようにしています。また、メンバーシップ限定の音声要約、月一のまとめも公開しています。今後は、メンバーシップ限定の30分の無料個別相談やコンサルテーション割引など順次整備していきますのでぜひご参加下さい。
皆様の「スキ」や「フォロー」、SNSでの「シェア」が励みになります。よろしければ、関係者の方にもご紹介いただければ嬉しいです。ぜひコメントを残してくださいね!よろしくお願いいたします。
Collaborate LAB
いいなと思ったら応援しよう!
この記事が現場のヒントになれば嬉しいです!自閉症支援ヲタクの研究を応援してくださる方、サポートをお願いします!いただいたご支援は、ヲタクのガソリン(コーヒー代)や最新の専門書代、図解作成のAIツール維持費に全額投資し、さらに良質な記事として皆様に還元します!