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聞き慣れない言葉という花

大阪生まれ、大阪育ちのわたしは、いまだに「えっ! それって大阪弁なの? ほかの地域では通じないの?!」と驚くことがある。

東京に住んでいたころ、「ほかす(=捨てる)」が通じなかった。職場で「あの紙切れ、ほかしてしまいました」と言ったところ、相手に「保管してあるなら大丈夫よ」と返され、初めて気づいた。

大阪に本社があった会社を合併してできた企業だったため、社員には関西出身の方が多く、ずいぶん助けていただいた。

「あ、その言葉、東京じゃ通じへんで」

何度もそうやって教えていただいたのだ。

しかし、それでも「明日のパン」が関西人しか使わないフレーズであるとか、「遠慮のかたまり」という言葉に詰まったおかしみが通じないとか、新しい気づきがまだまだたくさんある。

また、ちょっと違ったところで言うと、大阪人は「ガーッと」「グワァーッてなって」といった表現を多用する。

「そこの道をガーッてまっすぐ進んだら、大きな通りにドーンと突き当たるから、右にシャッと曲がって……」みたいな道案内によく出くわす。みんな親切で教えてくれているのだけれど、関西人以外の方はびっくりするかもしれない。

かく言うわたしも先日、「もうストレスで『イー!』ってなって……」と東京出身の友人に話したところ、不思議な顔をされてしまった。

「その『イー!ってなる』ってよく使うけど、どういう感じ?」

え、通じないの? なんとなくは伝わっているものの、「ストレスがピークに達して自分でも感情を制御しきれなくなった状態」を意味することはわかってもらえていなかった。

ライターとして仕事をするなかで、「『イー!』ってなって……」と書く瞬間はほぼ確実に訪れないため、気づかなかった。

けれど、方言の面白さはここに潜んでいるのだろうと感じることもある。

「ねえねえ、それってどういう意味?」と、揶揄ではなく率直に聞いてみると、言葉の奥深さが花開きはじめる。花の香りにつられて、「じゃあこれってどういうニュアンス?」などと尋ねたらもう沼にはまっている。

その土地でしか使われない言葉に出会うとき、一つところに暮らしていたのでは得られないときめきに手が届く。

常々、こんなふうに思っているわたしなので、最近知り合った九州出身の友人から興味深い表現が飛び出てくるのを、今か今かと待ち構えている。


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