#52「つけめん 大盛り」【博打打ちアマジの朝食】
……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
早い桜は咲いていて、春の実感がする。ちょっと有名な桜並木のそばに住んでいるが、そっちはまだこれからという感じであったが、駅にあるちょっとした桜が少し咲いて、花びらを少し散らしていた。
早いものでもう三月だ。上着なしでもいいだろうが、帰りはまだ少し寒い。

……久々に青葉が食べたくなった。春を感じているからだろうか。なんとなくだが、足が向いた。今日は日曜であちこちの行列は長いが、覚悟して並ぶ。幸い青葉はタイミングも良く、3人くらいの待ちだった。
呼ばれて座ると割とすぐ届いた。ゆず唐辛子ももらう。
先に麺だけを数本すする。つるつるの細麺は、麺の味もうまい。きっちりしめられていて、適度な弾力もいい。小麦が香るのが少し感じられて、冷たいのに温かい気持ちになる。
つけ汁にトプッとつけて、すする。酸味が利いて、味も濃い。スープの美味しさよりも、つけ汁用の味が勝ってしまうのは仕方がないのだ。ただ微かにグッとくる旨味だけは逃さないように、目を閉じて鼻の奥で感じる。浮いた唐辛子が邪魔をしてくる事もあるが、それはそれで美味しい。刺激は後半の楽しみでもある。
一回すすったら、咀嚼しながら、もう一口を汁につけておく。止まることなく食べ続けるのも、青葉のつけめんの味わい方の一つだと信じている。つけ汁が温かいうちは、その温かいのを楽しまないといけないので、ここは休んでいる場合ではない。
動物のコクと魚介の香りが混ざり合って、なんとも言えない味が私の鼻腔、口腔内、食道から胃までを征服していく。
麺を半分くらい食べて、スープが冷たく感じるような頃に、私はゆず唐辛子の力を借りる。少し汁に溶かす。あとは箸で摘んで、麺に絡めて一口ずつ楽しむ。
不思議なもので、明太子のような味を感じる。刺激と塩味の先にある、あの温かく優しい香りというか、ゆずの香りがそうなんだろうかと、戸惑いながらも楽しんでいく。
うまいなぁとじんわり感じるの比例して、私の額から汗が滲むのを感じる。チャーシューも少しだがこのあたりから食べ始める。最後はナルトを一枚パクリと食べて終わる。
すべてを食べ終えて、私はスープ割りもせずに、つけ汁飲む。すでにスープはうすくなっている。ここで割りスープを頼めば、もう少し味わいが違うのかなとも思ったが、飲み干してしまっていた。
……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
昨日と今日はつながった一日なのに、月が変わるとこうも雰囲気が変わるのかとも思う。歩く人の数も増えて、往来からもこれから春だなと感じる。
