見出し画像

#94「つけめん 大盛り」【博打打ちアマジの朝食】

 ……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
 いつもより少し遅く出てしまった。寝坊ではないが、どうにも動けなかった。体調が悪い自覚はないが、眠い。これはこの朗らかな天気のせいにしたい。
 外に出て陽の光が気持ちよく、このままどこかで寝っ転がって、昼寝でもしたいと思ってしまう。その前に食べるなら、何がいいだろうかと考えながら、電車に揺られた。窓からの日差しが背中を温めて、心地よく、眠くなっていた。

青葉 つけめん 大盛り ¥1070-

 流石の日曜であちこち行列だが、まるで私を待つようにタイミングが合った青葉でつけめんにした。不思議だった。誘われるようだった。
 急に吹く春風のように、到着は早かった。いつも通り、大盛りはたっぷりでまたいい。麺だけを2本すすってみる。きっちり締められ、冷えていて、その奥感じる味が温かい。温度ではなく香りが温かいのだ。
 春だな、そう思って汁につけてすする。思ったよりも油っこいのがまたいい。冷えた麺にスープと油がまとわりつき、冷たい麺と熱々の汁とその味のコントラストが心地よくうまい。
 スープの良さは表立っていないが、きっちり味付けられた濃い汁の中で下から支えている。ゆず唐辛子や、酢の酸味、カエシの甘く強い味を一つにまとめてくれているからか、香る微かな旨みが心地よい。まだまだ麺は多い。それでも今日は漬け起きせずに、軽めのスタイルで頂いていく。
 汁が冷めてくると、表面に白く油が形を作り始める。これもまたいい。纏わせるように、今度は麺をしっかりつけて混ぜて絡める。この時にやっとメンマやネギなんかも意識して食べる。
 チャーシューも好きだが、量は少ない。大事に、ここぞというところで、つまんで肉を感じる。柔らかく、箸で持っても崩れるチャーシューの肉感は、まるで初恋のようだ。
 昨日、JRAは青葉賞で、私の本命馬が3コーナーあたりで故障を発生し、競走中止となり、予後不良となってしまった。馬券はいいとして、なんとなく後味の悪い結果となってしまい、切なさも感じた。いつぞやの青葉賞を勝った馬もダービーで心房細動だったかで、そのまま春の風になってしまった。
 なんとなくそんなことも思い出して、すすってるうちに丼は空になっていた。まるで春の風のようだった。
 ……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
 一度お冷で口をリセットして、割スープをせず、そのまま汁を味わう。麺を大量につけて薄く冷たくなった汁は、キリリとしていて、目が覚めるような春の風だった。

いいなと思ったら応援しよう!