#140「つけめん 大盛り」【博打打ちアマジの朝食】
……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
試合中、街の交通量は激減した。これほどわかりやすいものかと思うほど、車の通行は少なく、バスに並ぶ列も、普段の出勤するような人がほとんどいない。いざ乗ってみると、高齢者ばかりで、学生もほぼいない。
用事を済ませた後、スウェーデン戦が終わっていたのを確認した。逆に街には人が溢れかえった。静かだけど、大きいじわじわとしたカロリーみたいなものを、日本から感じる。

昼食後に出勤なのか、あちこちの行列がすごくて、食べる場所を二転三転して、彷徨うも見つからない。どうにか最後の最後で辿り着いて、私は自然に大盛りのボタンを押していた。台風や地震、気圧が大きく変わる時は、私の体調もよくない。すんなり体に吸収されそうなものを、いっぱい食べたかったという内なる声がボタンを押したに違いない。しかし大盛りを食べれるのか不安もあった。胃の調子がそれほど良くないと思っていた。そこそこの混み具合で、それほど待たずに座れたのも大きい。
テキパキと調理されていくのを眺めていると、浜崎あゆみが流れている事に気がつく。夏っぽいな、ジメジメしているが、もうすぐそこに夏が来ている事を自覚する。
到着したら、余計な小細工はいらない。勝手知ったる青葉のつけめんで、遠慮はいらないだろうと、麺を持ち上げ浅く浸して一気にすする。
浮いた油の熱さと、適度に締められて冷えた麺のコントラストがいい。うまい。丼の麺の量をみて、もちろんファーストコンタクトの感触から、これはいけると確信する。少し不安だった私の胃袋が大丈夫と私に言うようだった。
ズバズバとすすっていく。隣では今日のサッカーの話から次回のブラジル戦や他のチームの展望なんかを話している。ブラジルには楽勝だという頼もしい言葉も聞こえるが、果たしてどうか。
私の方は楽勝にゲームを進めて、丼の底が見えたところで、チャーシューを食べる。ホロホロなのに、脂っぽくはなく、あっさり、でもちゃんと味がする。もうちょっと欲しいと思うくらいが、一番美味しいのかもしれない。
つけ汁が麺と同じ温度になっているので、とっぷりとつけて少し置いてからすする。気持ちの問題だが、少し味を吸わせて強くしたかった。
最後の麺を食べたら、私は割スープせずにつけ汁を飲んで、終わりにした。
……朝食は「朝、人を良くする」と書く。
会社最寄りに着くと、一気に大雨が降っていて、降るだろうとは思っていたのでゲリラではないが、どうしてこの人たちは傘を持っていないのだろうか、とだけ不思議に思った。
