日本の桜のイメージがシフトする
染井吉野から神代曙に。そして!
山桜、霞桜、大島桜、江戸彼岸、丁字桜、寒緋桜。日本各地には9つの原種が交雑して100種類以上の桜が野生化しています。加えて、人の手で交配された里桜が200~300種類もあると言われています。ただ、我々が圧倒的に目にすることが多いのはソメイヨシノ(染井吉野、学名 Prunus yedoensis)で、気象庁の桜の開花宣言の対象も、各地のソメイヨシノであることが多くなっています。

ソメイヨシノは1900年ごろに駒込の植木屋で誕生した品種で、若木のうちから一斉に満開の花が咲くことから人気となりました。戦後復興の中で全国で植樹が進み、卒業式~入学式といったシーンで目にすることも多く、我々日本人にとって「桜と言えばソメイヨシノ」です。
ただ、2000年代に入った頃から、老化と病気により伐採されることが増加。桜というのは、交配して種で増えるのは稀れで、挿し木で増やされるクローンです。ソメイヨシノの木々の遺伝子は全く同じため、1つの病気で壊滅的なダメージを受け易いと言えます。

そういった桜も、交配や突然変異により新種の桜が生まれることがあります。その1つがジンダイアケボノ(神代曙、学名 Cerasus spachiana)で、ソメイヨシノと同じルーツを持ちつつも、米国で交雑する中で生まれた桜です。
ジンダイアケボノは、元々は『登録品種』(詳細は後述。著作権登録のようなもの)でしたが、2017年に登録期間が切れ、流通量も増えてきています。また病気にも強いという特徴もあり、ソメイヨシノに代わって全国に拡がりつつあります。
ソメイヨシノと同じように、一斉に綺麗な花を咲かせますが、ソメイヨシノよりもピンク色が強く、花が散り始める前に新緑の芽が出始めるという特徴もあります。我々が抱く桜のイメージも、少しずつシフトしていくのかもしれませんね。

足元で、紅白の花を咲かせるという、まったくの新しい種類の桜が熊本城二の丸で発見されたというニュースも入ってきています。熊本城には多くの種類の桜が自生・植樹されており、偶然に交配したのか、突然変異なのか、まだ背景はよく分かっていないようですが、なんともめでたい彩りの桜です。こちらも、全国に拡がっていき、私たち日本人の桜の花のイメージも変わっていくのかもしれません。
熊本市では、この新種の桜の名前を2026/4/19までの日程で募集していますが、私の一押しは『二の丸桜』!
熊本城のサクラについて / 熊本市公式サイト

農林水産省の『登録品種』と『海外持ち出し制限』
この熊本の新種の桜は、『登録品種』として登録される可能性もあると考えています。いや、登録すべきなのでしょう。
『登録品種』というのは、新種の野菜・果物・花木などの開発者・発見者の権利を守るもので、農林水産省において登録が認められると、25年間、商業利用における権利が守られることになります。少し前に、人気のぶどう(シャインマスカット)が中国に流出して年間100億円ほどのビジネス機会が失われたこともあり、日本の農業界で認識が拡がり、法律(種苗法)も厳格化されました。『海外持ち出し制限』の制度も強化されました。
先に触れたジンダイアケボノのケースでは、1991年に『登録品種』の申請が行われ、2017年まで生産者の権利が保護されていました。福岡で開発されたいちご(あまおう)の『登録品種』の期限は2025年で切れてしまい『一般品種』になってしまいましたが、今も『海外持ち出し制限』の対象となっています。
熊本の新種の桜も『登録品種』としておくことで、熊本の生産者の権利が守られます。『海外持ち出し制限』の対象としておくことで、紅白といった派手な彩りが好きな外国人が日本国外に持ち出すことも“基本的”にはできなくなるということです。

熊本人の心意気
乗換案内サービスのジョルダンの調査によると、花見の人出予想ランキングは以下のようになっています。
お花見人出ランキング|花見特集2026
1位 上野恩賜公園(東京) 約400万人
2位 新宿御苑(東京) 約192万人
3位 井の頭恩賜公園(東京) 約109万人
こういったランキングの上位は、首都圏のスポットで占められることが多く、地方在住者にとって、あまり面白いものではありません。
そこで最後に、お花見予算ランキングを見て、スカッとしておきたいと思います!
お花見予算は年々上昇、過去7年で最高額を記録 | Weathernews Inc.
1位 秋田 4,303 円
2位 熊本 3,680 円
3位 奈良 3,622 円
:37位 東京 2,755 円
注記
ヘッドラインの写真は、熊本城のオフィシャルHPより
『登録品種』については、農林水産省の説明資料を参照
