きものが連れてきたご縁
洋服に飽きていたわたしに、きものは思いがけない世界を連れてきた。
それは、和の文化が好きな友人が
「ちょっとセールがあるから寄りたい」
と気軽に着物のセールに誘ってくれたことで始まった。
きもの初心者のわたしは、まったく良いカモで
あれよあれよという間に色無地一式を購入。
「1枚くらいあってもいいか」
と帰宅して夫に報告すると
「ええやん」
実母に電話すると
「ええやん」
義母に報告すると
「わたしのもあげる!」
と、意外なくらい周りに賛成票が集まった。
着付け教室に通うといい仲間に出会えて、
講師の資格を取るほどのめり込んだ。
次に和裁教室での出会いで仲間が増え
「きもの部」なるグループが誕生。
気がつけば、きものは飽きた洋服の代用品ではなく、
人とのご縁を連れてくるものになっていた。
年齢も職業も違う仲間が「きものが好き」で繋がって
旅行に行ったり、山に登ったりと
どこか似た感性を持つ仲間の集まりになった。
あるとき泊まった温泉宿で、グループの最年長のお姉さんが
「こんなこともあるんだね」
としみじみこぼしたのを忘れない。
大人になってから、こんなに頻繁に、
こんなに深くお付き合いする友人ができたことは
人生の宝物ではないかと思う。
きものをまとって、ちょっと背伸びしたレストランで食事をする。
すると、いつもよりちょっといいサービスを受けることがある。
一枚のきものから始まったご縁が、いまのわたしの日々にやさしい色を添えている。
