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あの貯水池の妖精さんたちは今日も話しているだろうか

お久しぶりのトレッキング。
今回は近場の西宮は甲山へ。

車で横を通り過ぎること幾星霜。
ずっと気になり続けてきた「北山緑化植物園」を目指して仁川から登る。


地元のみなさんが和気藹々と
広い急な斜面の花壇の手入れをしているなーと思っていたら、
そこは阪神・淡路大震災で地すべりが起きた現場だった。
資料館で模型を見ながら、その足元に今も続く対策を知る。
見えている景色の下の別の物語を目の当たりにして衝撃を受けた。


歩みを進めると、甲山森林公園。
親子連れがピクニックしていて、時間がゆったり流れている。
まあるくそびえる甲山を背景に、彫刻の道、クスノキ並木、愛の像と噴水が直線に並ぶ景色は壮観。
展望台から生駒山から甲子園までを見渡せて、気分爽快。
東屋もあちこちにあって、お弁当を食べるのにもちょうどいい。


鐘を覗き込むTちゃん

すぐそばの神呪寺(かんのうじ)も見晴らしが最高。
お参りにきた人たちも展望&休憩スペースで風に吹かれてぼんやり。
ここでは鐘撞きを体験。
撞いたあと、鐘の外と内の音の響きが違うことを初めて体感した。
内の方が大きい音がするのかと思いきや、意外にも内は静かで、外側に大きく響く構造。
「道成寺の安珍さんは意外と静かなところにいたのだな」と歌舞伎の演目を思い出した。


北山貯水池もゆったりと作られていて、東屋で家族がお弁当を広げていたり
おじさん2人組が楽しそうにおしゃべりを続けていたり。
このおじさんがとてもいい雰囲気で、この場所には昔から住んでいる妖精がいると言われても、素直に信じてしまいそうだった。
あまりに平和な風景で、
二人がずっとよもやま話をしているのを眺めていられる。



そしていよいよ北山緑化植物園に到着。
ちょっと疲れたので、山荘にて抹茶をいただく。
この山荘への導入の石の光や苔の美しさがたまらない。
植物園の底力を感じた。

小さな滝のあるお庭を拝見しながら、
ひんやりグリーンティーと上生菓子のセットを選ぶ。
見た目に涼やかで、心にも風が吹き抜けていくよう。

温室は南国の香りのなか学生がスケッチ、
イングリッシュガーデンはベンチにおばさまたちが談笑、
季節のあじさい園はカメラを構えたおじさんがいて、
桂の木からは甘い香りが漂う。
気がつけば、ずいぶん長い時間をそこで過ごしていた。



ずっとずっと来たかった植物園がこんなに素晴らしいところとは。

この日は
「ずっとここにいたい」
と思う場所ばかりだった。

季節もよかったのかもしれない。
歩くたびに風が抜け、
見上げるたびに緑が揺れていた。

日々の忙しさに負けそうなとき、
「あの貯水池の妖精さんたちは今日も話しているだろうか」

そう思い出せる風景が、ひとつ増えた。


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