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景色になる日|春の京都を着物で歩く

桜はまだかと、春めいた着物で友人とふたり、京都の街をうろうろと。

白川にかかる橋の上で、ふたり写真を撮り合いっこしていると、
優しい外国人観光客に
「撮ってあげるよ」
と連写されまくる。
その次には
「一緒に撮ってくれ」
とポーズを決めたお兄さんと、肩を並べて写真に収まる。

着物で観光名所を歩く日本人は、
さながらテーマパークのキャラクターのようだ。
旅の景色を見に来た人たちの、一枚の思い出に、私たちもそっと入り込んだ。

憧れの骨董屋さんへ。

今日の私たちは最強の魔除けを持っている。
「山葡萄のかごバッグ」。
着物を好きになると、いつかはたどり着きたいもののひとつだ。
どんな装いにも、どんな季節にも、静かになじむ。

これを持って正絹の着物で歩いていると、
わかる売り子さんは安易には近づいてこないし
邪険にもされない。

普段は敷居の高い骨董店にもえいやっと入ってしまう。
目的のお店だけでなく、お隣のお店にも、お向かいのお店にも。

私たちは京都のまちを見て、楽しんでいるつもりなのに、
山葡萄のかごバッグを持ち、正絹の着物で歩く私たちを、
京都のまちが見ている。

いやん、こわい。

でも、そんな京都のそぞろ歩きも、悪くない。

さて、この日のメインは南座で歌舞伎。
映画『国宝』で知られた演目『曽根崎心中』を若手の歌舞伎役者が演じる。
若いふたりが、若い考えで走るその姿を見てみたい。
映画の効果は凄まじく「満員御礼」の札がかかる。

いつもよりずっと観客が若い!
物販にも力がある!

いつもの『曽根崎心中』をよりコンパクトにわかりやすく演出を変えてあった。
みんなが聞きたいあのセリフまで、できる限り最短で行きたいよね。

幕が下りても、京都の一日はまだ終わらない。

次は衿屋さんへ。

ちょっとした帯揚げや帯締めの色がすてきなこと!
あえて同じ色ではなく、濃い薄いでまとめると引き締まるなど
色合わせの妙を教えていただく。
ほかにも歴史の話など話が弾む。

ここでも魔除けの効果が出ていたのかもしれない。

春の京都は、見に行く場所でありながら、
こちらもまた景色になる街だった。

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