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「幸福論」になるまで — ④

『「THE THREE HAPPINESS 精神科医が見つけた3つの幸福」(樺沢紫苑・飛鳥新社)』を読んで

<幸福の正体>

脳内物質、100以上あるがコントロールできないあるいは解明されていないものが多い、うち主要な3つが「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」

以下、優先順位順に

「セロトニン」/ Beの幸福
心身の健康の幸福(生物系)

「オキシトシン」/ Beの幸福
つながりと愛の幸福(社会系)

「ドーパミン」/ Doの幸福
成功・お金などの幸福(獲得系)

<幸福の性質>

1)「なる」ものではなく「ある」もの (BeとDo)
2)「結果」ではなく「過程」
3)Doは減るがBeは減らない
4)DoとBeの掛け算で複数同時に分泌 (ex. 成功×感謝)


<How to セロトニン 7つ>

1)朝日を浴びる/リズム運動/咀嚼
2)当たり前系有り難さに気づく
3)病気の予防(生活習慣/早期発見)
4)「今」にフォーカス(過去は後悔/未来は不安)
5)自己洞察(起床瞑想/マインドフルネス朝散歩/プチ幸福アウトプット)
6)就寝前15分3行ポジティブ日記
7)オンとオフの収支を合わせる(休息=充電)

<How to オキシトシン 7つ>

1)スキンシップ/人とのポジティブな交流/親切・感謝/ペットと交流
2)自分を中心に仲間との関係を構築し怖がらずにリアルで交流し続ける
3)人間関係を作り育てる勉強をする(家族・友人・職場等全部で5人程度)
4)人に親切にしてそれを数える
5)人に感謝してそれを数える
6)植物・ペットを育てる(ex. ガーデニングで死亡率減少)
7)他人を信頼してコントロールできない問題を切り分ける

<How to ドーパミン 7つ>

 ※ ポジ:成長の原動力/ネガ:依存症の原因
1)お金や物を使うときそれに感謝する
2)制限することで長く楽しむ(「もっともっと」にならないように)
3)毎日の自己成長を味わう
4)何らかチャレンジする
5)自己肯定感をUPさせる(人との繋がり/自己成長)
6)損しない範囲で人に与える
7)楽しさを見つけられる仕事をする


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 幸福感を感じている人間の状態を実現すべく、実際的な方法がたくさん書かれていて勉強になった。全部は無理だけど、セロトニン対策を中心にいくつか実践してみたいと思う。ここに書かれているHow to を日常的に実行することができる人は、きっと「私は幸せだ」という認識を持ちながら日々暮らすことができるのだろう。それが、面白いかは別として。花を美しいと思って眺めることが、友人と楽しくお酒を飲むことが、こうして一生懸命何らかの文章を書くことが、私の脳内物質の塩梅をよくして幸福感を感じるための命の営みである、とは、私は思わないけれど。「こうすれば幸福になれる」と言うことの難しさは、こういうところにあるのだろう。

幸福=生きる目的
幸福=脳内物質塩梅

と論じるならば、

生きる目的=脳内物質の塩梅

なのか、という。そうだとすれば、たとえば「ウォーキング・デッド」みたいな世界観で、人間とゾンビを分けるものは、何だろう。極端だけど。そこに差異があると思っているのは幻想だよと指摘されれば、すみません、と言うほかないが。

 本書を読みながら、終始うっすらと気になったことがある。宗教者ならではの偏った考えかもしれないが、幸福が問題となるのは、しばしば自身の幸福についてなど到底考えが及ばない場合ではないだろうか。「私は今不幸である」、「幸福ではない現在から抜け出したい」と考えることができれば、脳内物質の具体的な飼い慣らし方を知ることは有意義に思える(私もしばしば「なんか日光浴びたい」と思うことがあって、きっとセロトニンが足りないんだ!と知ることができたし)。「〇〇という状態は幸福ではない」と規定し、その状態を淘汰しようとすることが幸福なのだと断じることができれば、この世はもっとずっとシンプルで、わりとみんな幸福になるだろう。そうはいかないところに、何冊もの「幸福論」が生まれる。身体の一部を失ったとき、予期せぬかたちで家族を失ったとき、「幸福とは何か」の問いに応えるのは、「脳内物質」という言葉ではないのではないか。

 幸福であるために健康は重要だが、病人は不幸なのか。どう頑張っても思うような人間関係を築くことができないのは、努力の不足なのか。最も大切な人を失ったとき、「なぜ私なのか」という問いがやまないとき、脳内物質のコントロールをあてにすることはできるのか。「それができれば苦労はせん」というのは甘えで、幸福はやはり、獲得すべき対象なのか。


2025年11月に予定しているトーク&ライブ『犀の角・第四夜「幸福論」』に向けて、幸福について考えているプロセスを記述しています。

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