英語でコミュニケーションをとると、結局日本を知ることに戻る
「原爆投下について、あなたはどう思う?」
これが、私が日本の歴史を学びなおすきっかけになった質問でした。
大学生の頃、私はカンボジアでアンコールワットを巡る現地発着のツアーに参加しました。リーダーはオーストラリア人。他にもイギリス人カップルやアメリカ人大学生など、さまざまな国の人たちが集まっていました。
昼は遺跡を巡り、夜はみんなで食事をしたり、お酒を飲んだりして過ごします。そんなある夜、アメリカ人大学生の参加者からこう聞かれました。
「原爆投下について、どう思ってる?」
私は答えられませんでした。
理系学生だった私は、歴史が得意ではありません。原爆が第二次世界大戦の最後に広島と長崎へ投下されたことは知っていました。しかし、そこに至るまでの経緯や背景についてはほとんど知りませんでした。当然、自分の意見もなかったのです。
外国人と英語で話すためには英語力が必要だと思っていました。でも、実際には、それ以上に「自分の国について知っていること」が必要だと痛感しました。
帰国後、その体験を友人に話したところ、一冊の本を勧められました。
小林よしのり氏の『戦争論』です。
この本を読んで、私は初めて「物語としての歴史」に触れたのです。
それまで学校で学んだ歴史は、私にとって年号や出来事の羅列でした。でも、『戦争論』には、人々の感情や当時の国際情勢、なぜそのような選択がされたのかというストーリーが描かれていました。
学校では教わらなかった大東亜戦争に至る経緯を知り、当時の日本人がどのような状況の中で生きていたのかを考えるようになりました。少なくとも、私が知っている誠実で勤勉な日本人が、ただ軍部の暴走だけで理由もなく戦争を始めたわけではないのだ、と感じました。
もちろん歴史にはさまざまな見方があります。
でも、この本をきっかけに私は日本の歴史に興味を持ち、日本の歴史や神話についての本を読むようになりました。そして知れば知るほど、日本はとても特異で興味深い国だと感じるようになっています。
長い歴史の中で培われてきた文化や価値観
自然への畏敬の念
共同体を大切にする感覚
目立たないところで誠実に役割を果たそうとする人々
そうしたものに触れるたび、日本という国への愛着が深まっていきました。
英語を学ぶ理由は人それぞれです。
仕事のためかもしれないし、海外旅行のためかもしれない。
私の場合、英語は結果的に日本を知るための入り口にもなりました。
外国の人と話すと、日本について質問されます。
そのたびに、自分は日本のことをどれだけ知っているのだろうと考えさせられます。
英語で世界とつながろうとすると、日本を知ることに戻ってくる。
だから私は今でも、日本の歴史や文化について学び続けています。
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