虫嫌いの私が、築130年の古民家を買った理由。一年の振り返り。
東京から見える富士山。
最近の暖かさもあってか、山頂の雪が少しずつ減ってきているのが分かります。
松本では朝晩まだストーブが恋しかったのに、東京へ戻ると少し汗ばむくらい。
同じ日本なのに、こんなにも季節の流れが違うんだなと感じます。
こんにちは、ともです。
今日は、そんな季節の移り変わりを感じながら、「心笑」で過ごしたこの一年を振り返ってみようと思います。
長い話になるかもしれませんが、のんびり読んでもらえたら嬉しいです。
今年のGWは、ただ「楽しかった」で終わる時間ではありませんでした。
「これから心笑をどんな場所にしていきたいんだろう」
そんなことを、みんなで自然と話していた気がします。
そもそも、こんな日が来るとは思っていませんでした。
始まりは、本当に小さなことです。
ただ、「体に優しい野菜を食べたい」。
「自分で野菜を作れないかなと?」
そんな時、飛行機の窓から見えた日本アルプスの景色に心を奪われ、松本の友人の綱島さんを訪ねました。※綱島さんは、後に一緒に古民家を購入することになる友人です。

スモッグに包まれがちなソウルの景色を抜け、機内から見えたアルプスの山々は、息をのむほど美しく見えました。
そのコントラストに、思わず心を突き動かされるように、
「ここへ降りたい」
そんな衝動が、ふいに湧き上がったのを今でも覚えています。

早速、キャンプ道具を持って松本にいる綱島さんに会いにいきます。






そして気付けば、綱島さんと一緒に、築130年の田畑と山林付きの古民家を購入していました。
自分でも、この展開は予想外でした(笑)。
古民家は、屋根も床も傷みが多く、片付けも山積み。
一般的に見れば、「なぜそこを?」と思われるような家だったと思います。
でも、不思議と惹かれてしまったんです。


一年経っても、まだまだ処分できてないのが現状です💦


再利用できないかと考えましたが、、、、


不思議と惹かれたこの古民家。
「ここで何か始めたら、きっと面白いことが起きそう」そんな感覚がありました。
古民家を買う前の私は、東京で無農薬野菜や平飼いの卵を取り寄せながら生活していました。
食べるものを変えたことで、驚くほど体調が変わり、「食って本当に大事なんだな」と実感していました。
その頃から、「安心安全で体に優しい野菜を作れたら」と思うようになりました。周りにも畑が欲しい欲しいと言うようになりました。
周りからは、
「虫が苦手なのに畑!?」
「本気なの?」
なんて笑われました(笑)。

でも、原発事故やコロナ、世界情勢。。。
ここ数年、自分たちの暮らしが、外側の出来事に大きく左右されていく感覚も、私が古民家を購入するための背中を押しました。
「苦手だからできない」ではなく、自分の手で少しでも暮らす力を持ってみたい。
そんな思いもありました。
そして、もうひとつ。
大切な友人との別れです。
仕事に追われ、食事も後回しになりがちだった友人に、私はよく話していました。
「いつか古民家を買ったら、自然の中でゆっくりできる場所を作るからね。体に優しい野菜も育てるから」そんなことを話していた友人がいました。
でも、その友人は体調を崩し、病院へ行った時には、すでにステージ4のがんでした。
あまりにも突然で、早すぎる別れでした。
だから今でも時々思うんです。
もっと早く、心が休まる場所を作れていたら。私も欲しい。
少しでも体に優しい食事を届けられていたら。
何か違ったのかな、と。
だから私にとって「心笑」は、ただの古民家ではありません。
完成された場所でもないし、便利な場所でもありません。
壁も傾き、床も傷み、直してもまた次の問題が出てきます。

人生初体験です💦
でも、そんな不完全さも含めて、不思議と愛着を感じています。
今年のGWは、そんな古民家で「居酒屋 心笑」を開きました。
囲炉裏を囲みながらご飯を食べ、初対面の人同士が自然と笑い合う。
気付けば、何時間もゆっくり話していました。
「なんだか落ち着く」
「また来たい」
そんな言葉をいただけたことが、本当に嬉しかったです。

最近では、信州大学の前田さんが畑づくりに続いて田んぼも始めてくれたり、野草を使ったお茶づくりが始まったり。
少しずつ、みんなの「やってみたい」が形になってきています。
それでも、「心笑」はまだまだ完成にはほど遠い場所です。
でもだからこそ、関わってくれる人たちとの時間や思いが少しずつ重なって、この場所にゆっくり色が増えていく。
そんな変化も、今は楽しんでいます。
「心笑」という名前には、綱島さんの“心が笑う場所。またここへおいで”という思いが込められています。
気が向いた時にふらっと来て、火を囲んだり、景色を眺めたり、ただのんびり過ごしたり。
帰るころに、「なんだか少し元気になれたな」と思ってもらえる。
そんな場所にも、少しずつ育っていけたら嬉しいです。
数年前の私は、まさか自分が畑を耕し、囲炉裏を囲みながら、誰かに「また来たい」と言ってもらえる日が来るなんて、想像もしていませんでした。
飛行機の窓から見た景色がなかったら、もう少し違った人生を送ってたかもしれません。人生、本当に何が起きるか分かりません。
でも最近は、その“分からなさ”こそが、人生の面白さなのかもしれないと思っています。
そして、一歩前に足を踏み出してみると、不思議と何かが動き始める。
それが、この世界の摂理なのかもしれません。







ホコリに覆われ、動きません。動くかもわかりません。

でも買ってしまったのだから、あとはもう前に進むしかありません(笑)。




昨年の五月、古民家「心笑」の前にある畑は、「前田実験場」として、さまざまな野菜の栽培方法を試す場所になりました。
土の状態、水はけ、気候との相性。 実際に手を動かしながら、この土地に合う育て方を少しずつ探ってきました。
その実験で見えてきたことを活かしながら、今年もまた、この畑で野菜づくりを始めます。
うまくいったことも、失敗したことも、この土地から教わった大切な経験です。




昨年は、そんな生命力に驚かされながら、少しずつヨモギを摘み、ヨモギ茶として楽しんでいました。
そして、古民家のお風呂も綱島さんが直してくれました。
今年は摘みたてのヨモギを浮かべた「ヨモギ風呂」も楽しめそうです。
川のせせらぎを聞き、山の香りに包まれながら入る昭和のお風呂は、不思議と体だけではなく、気持ちまでゆるめてくれそうです。

昔はここに野菜などを保管する場所だったようです。意外と深い。

せっかく見つけた、心笑の小さな洞穴(むろ)。
昨年、地元の赤ワインを二本買い、そのうち一本は洞穴の中へ。
もう一本は、古民家でそのまま常温保管してみることにしました。
気がつけば、洞穴に入れてからもうすぐ一年。
温度や湿度がゆるやかに保たれるこの場所で、ワインにどんな変化が生まれたのか。
今度、みんなで飲み比べをしてみたいと思っています。
「これで味が変わるの?」なんて笑いながら、囲炉裏を囲んで感想を言い合う。
そんな時間も、心笑らしい楽しみ方かもしれないです。

昨年、獣が屋根裏に入り込み、天井を踏み外して部屋へ落下。
部屋中を走り回ったあと、最後は開いた穴から帰っていったようです。
東京暮らしではまず味わえない出来事ですが、これもまた、古民家ならではの体験なのかもしれません。
人生で初めての体験というか戸惑う状況。
でもそのぶん、人間だけがこの土地に住んでいるわけではない、自然の中で暮らしていることを、こういう瞬間に実感します。
天井の補修や獣が天井裏に入らないようにも対策もしました。



長い年月、ほこりをかぶりながら、静かに時が止まっていた古時計。
古民家の片隅で眠るように置かれていましたが、前田さんが丁寧に磨き、修理までしてくれて、再び時を刻み始めました。
くすんでいた木の艶も戻り、振り子の音が古民家に響くたびに、まるでこの家そのものが息を吹き返したような気持ちになりました。
古くなったから手放すのではなく、手をかけながら、もう一度息を吹き込んでいく。心笑では、そんな時間や関わり方も大切にしていけたらと思っています。

正直、古民家を買った頃は、雨漏りや片付けに追われる毎日でした。
直しても、また次の問題が見つかる。そんなことの繰り返し。
それでも綱島さんと、「こんな二拠点生活を続けていたら、いつかテレビ局の人が“面白いですね”って来るかもしれないね」なんて、冗談まじり(本気半分)で話していたことがありました。
すると、古民家を購入してから3か月後。
ありがたいことに、実際にテレビ局の方が「心笑」を取材してくださる機会がありました。
まだ何も完成していなくて、むしろ直している途中の古民家での二拠点生活。
古い家と向き合いながら暮らしている様子に興味を持っていただけたんだとか。とても嬉しかったです。






普段はカメラを向ける側なので、いざ自分が撮られる立場になると、もう緊張してしまって(笑)。
何を話していたのか、自分でもよくわからなくなるくらいでした。
それでも、古民家での暮らしや、二拠点生活のことを温かく取り上げていただき、本当にありがたい時間だったなと思っています。
みんなにとって、昨年の夏はとても良い思い出になりました。
そして同時に、「思っていたことは、ちゃんと形になっていくんだ」という、小さな手ごたえを感じられた時間でもありました。
テレビの中で話していたことも、気がつけば少しずつ現実になり始めています。
まだまだ途中ですが、言葉にしたことを、一歩ずつ形にしていく。
そんな「有言実行」の積み重ねを、これからも大切にしていきたいと思えた機会でした。

綱島さん。次はBBCの取材を受けたいと短冊に書いてました(笑)

今年は、「心笑」でもお米作りが始まりました。
田植え前の田んぼを眺めながら、風に揺れる青々とした稲の景色を思い浮かべています。
まだ慣れないことばかりで、全てが手探りの日々ですが、いつか私たちの田んぼも、こんなふうに美しい緑で満たされたら嬉しいなと思っています。

「心笑」のご近所に古民家を購入したジェシーさん夫妻のパーティーに、参加させてもらいました。
古民家を通じて出会う人たちは、本当に個性豊かで面白い方ばかりです。
最初は右も左も分からなかった土地ですが、こうして食事を囲んだり、声をかけてもらったりする中で、少しずつ地域とのつながりも増えてきました。
気づけば、「遊びにおいで」と声をかけ合える関係ができていたことが、とても嬉しく感じています。



使っていない畑が草だらけになっていたので、「ここを少し整えて、のんびりできる場所にしよう」と思い立ち、草刈り機で一部を刈ってみました。
……が、夏の日差しを甘く見ていました。
座って10分もせずに終了。
さすがに真夏の直射日光は厳しかった。
「山だから涼しいだろう」と油断していたことに反省するのでした💦



履き心地はとても良いです。

直った古時計は、時々ねじを巻いてあげる必要があります。
少し手間はかかりますが、そのひと手間があるからこそ、不思議と愛着も湧いてきます。
静かな古民家の中で、コチ♪、コチ♪、と時を刻む音を聞いていると、時間の流れがゆっくりになったような不思議な感覚になります。


「いつか心笑でも馬耕ができたら」
そんな思いから、昨年は実際に馬耕体験もしてきました。
機械とはまったく違い、土の感触や馬の呼吸を感じながら進む時間は、今この瞬間を生きている。そう強く感じられる時間でした。
マインドフルネス的な。
便利さや効率だけではない、人と動物、そして自然がゆるやかにつながっていく感覚。
昔の人たちは、こうして自然のリズムと寄り添いながら暮らしていたのかもしれないと感じられました。
速さを求める毎日とは違う、「ゆっくり進む豊かさ」が、ここにはありました。
いつか「心笑」の畑でも、その景色を見られたらと思っています。



なかなかの美味でした。


夜になると、鹿達が古民家の近くを歩き回っています。その数、25頭程。
奈良の鹿さんのように人に慣れているわけではなく、こちらの鹿は野生。警戒心がとても強くて、動きも驚くほど俊敏。
中には、私より体が大きい立派なオス鹿もいるのですが、実はかなり怖がり。
いつだったか、私の姿に驚いて慌てて逃げようとした結果、勢いよく何度も柵にぶつかって、こちらが「大丈夫!?」「ごめんね」と心配になるほどでした💦

お正月には、馬場さんが藁を使って正月飾りを作ってくれて、「心笑」の玄関を優しく彩ってくれました。
手作りの藁飾りには、既製品にはない温かさがあり、古民家の風合いとも馴染みます。
「ああ、こういうお正月っ本当にいいな」と感じます。
都会で過ごしていた頃には気づかなかった、手仕事で迎える正月の尊さのような気持ちを教えてもらった気がします。


自然がつくり出した不思議な形に、寒さも忘れて思わず見入ってしまいました。



このお餅は、綱島さんご家族の手作り。
ひと口食べた瞬間、「やっぱり手作りは違うなぁ」と感じる美味しさでした。
やわらかさの中にしっかりお米の甘みがあって、つい何個も食べてしまいそうに。
こうして、誰かが手間をかけて作ったものを囲んで食べる時間そのものが、とても贅沢なんだなと思います。

冬の朝。
目を覚まして温度計を見ると、室内はまさかのマイナス6度。
「外じゃなくて、室内で!?」と、思わず温度計を二度見する寒さ。
そんな中、ご近所のジェシーが、石油ストーブ用の灯油を一緒に買いに行ってくれて、本当に助かりました。
冬の寒さは厳しいけれど、人の優しさは、ストーブみたいに心をじんわり温めてくれます。
最初は、「隙間風が吹き込む標高850mにある里山の古民家で、本当に冬を越せるのだろうか…」と思っていました。正直怖かった。
でも実際に滞在してみると、石油ストーブとこたつ、それなりに温かい服装で防寒をすれば、意外と快適に過ごせることが分かりました。
「これなら一年、365日古民家生活もいける」そんな自信がついた「心笑」の冬でした。


東京の桜が終わると、心笑では、ようやく桜が満開を迎えます。
同じ日本なのに、季節がゆっくり追いかけてくるようで、不思議な気持ちになります。


傷んでたしまった畳は、松本のクリーンセンターへ運んで処分してもらいました。
処分費用はおよそ4,000円。古民家暮らしは、こうした片付けや修繕費も、少しずつ積み重なっていきます。

古民家を購入した頃は、雨漏りした屋根、山積みの片付け、あちこちに必要な修繕。
正直、一年後に自分たちが田んぼに立ち、お米作りを始めているなんて、想像もしていませんでした。
「まずは寝泊りできるようにしないとね」と笑いながら、ひとつずつ直していく毎日。
そのひとつずつの積み重ねのなかで、古民家「心笑」の景色も、そこに流れる時間も、ゆっくり変わっていった気がします。

綱島さんと私、おっさん二人だけでは、ここまで来られませんでした。
「面白そうだね」「やってみたい」と関わってくれる人たちとのご縁が少しずつ重なって、今の「心笑」ができてきたのだ確信しています。
とはいえ、まだ完成にはほど遠い場所です。
でも、だからこそ面白いのかもしれません。
「心笑」では、便利さだけではない、どこか懐かしい昔の日本の時間を大切にしていきたいと思っています。
火を囲んだり、自然を眺めたり、川や風、鳥の声に耳を澄ませたり。
今の暮らしの中で、少し忘れがちな「ゆっくり流れる時間」も、ここで楽しんでもらえたら嬉しいです。
気が向いた時にふらっと来て、肩の力を抜いて過ごせる。
「また来たいな」と思ってもらえる場所にも、少しずつ育っていけたらと思っています。





床下から偶然見つかった、まさかの掘りごたつ。
最初は「これなに!?どう使うの?」という状態から、お正月に綱島さんが「ここで餅を焼こう」と言い始めたことで、一気に楽しい場所へ。
今では、火を囲みながら自然と人が集まる、みんなのお気に入りの場所になりました。


いつか「心笑」のお茶も販売できたらと思い、少し気が早いですが、さっそくロゴも作ってしまいました✨
こうして形にしてみると、「本当にできるかも」と、少しずつ夢が現実に近づいていく気がしています。✨

これからも、心笑はマイペースで、松本の「サグラダ・ファミリア」みたいになるかもしれませんが、少しずつ少しずつ進んでいきます。
もしまた、ふと「心笑」を思い出した時は、このnoteを見に来ていただけたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
素敵な一日を!!
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築130年の古民家再生、馬と暮らす畑づくり。
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