仕事の設計①【まえがき】
まえがき
子供たちに、いつも言われていた言葉がある。
「お母さん、またパソコンで遊んでる。」
……遊んでるんやない。仕事してんねん。
悔しかった。だから、60歳の誕生日に決めた。
国家資格を取って、びっくりさせてやろう、と。
ITパスポート。3回落ちた。頭から火が出るかと思った。
でも、取れた。正直、自分でもびっくりした。
「有言実行のつもりやったけど、ほんまに取れるとは……。」
これが、この本を書いた私という人間だ。
小学5年生から、働いている。
最終学歴は高校だ。学歴にこだわりはない。でも、子供たちには大学へ行ってほしかった。
だから、ずっと掛け持ちで働いた。
朝から本業。子供が寝たら内職。夜はスナック。週末は皿洗い。
最大で、4つ同時に仕事をしていた時期もある。
テレワークなんてない時代。朝に取りに行って、夜に納品する。
オフコンを家に置かせてもらって、ずっとキーパンチャーをしていた。
子供たちは今も、キーボードのポコポコという音で安心するらしい。(笑)
今でこそ「副業」は当たり前になったが、あの頃はそんな言葉すらなかった。
ただ、子供のために、できることを全部やっていただけだ。
職種は数えきれない。
キーパンチャー。事務員。経理。営業管理。総務。製造。物流。化学分析。製品安全。
飲食店、スーパー、溶接……溶接は小学生の頃の話だが。
今はデイトレードも3年目だ。(笑)
職種が多いのは、副業だらけだったからだ。
どこへ行っても、気づけば「仕事の流れ」を見ていた。
なぜここで止まるのか。なぜここで間違えるのか。どうすれば、もっとうまく回るのか。
それが、私の癖だった。
私は人間観察が好きだ。
よく人を見る。不思議と、何を考えているかわかってしまう方だと思う。
疲れるけれど、これは仕方がない。
人を見る力と、構造を見る力は、実は同じ力だと今は思っている。
人を見る。その人が何を必要としているかわかる。
構造を見る。データが何を必要としているかわかる。
どちらも「表面じゃなくて、中身を見る」ことだ。
だから私は、システムを作る前に、まず人を見た。
画面ではなく、仕事を見た。プログラムではなく、流れを見た。
それが、この本で伝えたいことの全てだ。
私が最初に触れたコンピュータは、画面すらなかった。
せん孔テープ。紙に穴を開けて、データを入力する時代だ。
そこから、フロッピーディスク、Windows 3.1、そして今のWindows 11まで。
このすさまじい進化を、ずっと横で見てきた。
パソコンが大好きだ。これからどうなっていくのか、ワクワクしている。
63歳になった今年、AIの力を借りてPythonで機械学習を作った。
LINEスタンプも作った。作詞作曲もした。この本も書いた。
できるんです。自分の能力以上のことが。
この本を書くきっかけになった会社では、大きな事故があった。
業務中に、4トントラックが衝突してきた。
キーボードが叩けなくなった。でも、これしかないと思って続けた。
しばらくして、今度は水素電池が爆発した。
現場が全部、燃えた。さすがに怖くなった。
そのとき、今の会社の人が声をかけてくれた。
「危ないから、うちへおいで。」
3年間、オファーし続けて、待っていてくれた。
今月、リハビリの先生から「制限なし」のお墨付きをもらった。
リハビリと針の治療は、もう4、5年になる。
この本は、そんな状態で書いた。
苦しい時こそ、笑いなさい。
それが、私が子供たちにずっと言い続けてきた言葉だ。
笑えないくらい苦しい時でも、笑った。笑えば、なんとかなった。
だから今も、笑っている。
この本で伝えたいことは、一つだ。
AIがプログラムを書く時代になった。
だからこそ、人間に残る仕事がある。
構造を考えること。業務の流れを設計すること。データがどう動くかを描くこと。
それは、学歴とは関係ない。現場を知っている人間の方が、本質をつかむのが早い。
実際、博士号を持つ優秀な方々に「構造」の話をしたとき、全員「???」の顔になった。
でも、学歴のない現場のたたき上げの方々は、すんなり理解してくれた。
仕事は知っていても、構造を知らなければシステムは作れない。
そして、構造を見る力は、人を見る力と同じだ。
人が見えない人には、構造も見えない。
これはチャンスだと思っている。学歴がなくても、現場を歩いてきた人間には、見えるものがある。
孫は今、学校でプログラムを習い、プログラムの塾に通っている。
その子たちが大人になる頃、AIはもっと賢くなっているだろう。
でも、「人が何に困っているか」を考える力は、人間にしかない。
その力を持った人間が、これからの会社と社会を作っていく。
私はそれを、次の世代に残したくて、この本を書いた。
技術書ではない。成功譚でもない。
学歴がなくて、ひがんでいる人にこそ、読んでほしい。(笑)
そして、孫たちへ。
心結 結ら
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静かな気づきを、これからも言葉にしていきます。
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