ゲー選かけ流し(追憶編) vol.18 『龍虎の拳2』
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。今回は『龍虎の拳2』。

筆者が最も推している格ゲーシリーズの2作目について、その特徴をまとめていく。
<筆者の『龍虎の拳2』プレイ状況>
・アーケード版で全キャラ1クレジットクリア済み
・隠しボスはリョウを使用し、アーケード版で1クレジットクリア済み
・本作のプレイ時間:(推定)50時間
前作の設定をきっちり引き継いだストーリー
初代『龍虎の拳』の選評でも触れた通り、本シリーズはストーリー性を強く押し出した格闘ゲームである。

そのスタンスは続編である本作でも例外ではない。本作ではメインキャラを全員1人用モードで使用できるようになり、各キャラクターの目的や思惑が明らかになっていく流れ。また、対戦前にはキャラ同士の掛け合いを堪能することもできる。

ユリ参戦は本当に度肝を抜かれた。
前作のように、ユリがさらわれるといった緊迫した状況こそないものの、莫大な賞金が懸けられた異種格闘技大会「ザ・キング・オブ・ファイターズ」を巡り、各キャラの思惑が交錯する描写は当時としても見応えがあった。
さらに、『餓狼伝説』でも語られる「ザ・キング・オブ・ファイターズ」の存在によって、『龍虎の拳』と『餓狼伝説』の時系列や世界観の関連性が明確になる点は、本作最大の見どころ。

タクマと対峙する人物とは…?
『龍虎の拳』シリーズの歴史を描く“縦の繋がり”に加え、他作品との“横の繋がり”が垣間見えるという意味でも、本作はシリーズの中でも重要な立ち位置の作品であると言える。
新規より踏襲を選んだ各種システム
前作『龍虎の拳』は、後の格闘ゲームの礎となる数々のシステムを生み出した点が最大の功績であった。前作の選評でも触れたが、ここでもおさらい。
<システム>
・ズームイン/ズームアウト演出
・超必殺技(伝授)
・隠し必殺技
・ボーナスステージによるステータス強化
・気力ゲージによる必殺技性能の変化
・気力溜め/挑発

<演出>
・ダメージによる見た目の変化(顔が腫れる)
・ダメージによる疲労の蓄積(ガードの構えが下がる:隠し必殺技の発動条件)
・脱衣KO(!!)

本作はこれらのシステムをほぼ漏れなく踏襲しており、当時エポックメイキングだった要素を再び堪能できる。一方、新たに追加されたシステムはほぼ無く、投げに対する受け身アクションの追加くらい。
また、既存システムが大きくリファインされて使い勝手が向上した、という感覚も希薄で、プレイフィールは前作とあまり変わらない。
強いて違いを挙げるなら、
攻撃の強弱がボタンを押す長さで変わる(ワールドヒーローズと同様)こと、必殺技が格段に出しやすくなったこと、そして脱衣KOが全キャラに適用されるようになった(!?)くらいだろうか。

ポリコレ界隈より遥か先を行っている。
新規性を追求するよりも、前作の特徴をそのまま活かしつつ、対戦ツールとしての遊びやすさを底上げする方向に舵を切ったと筆者は解釈している。
バラエティが大きく増した対戦要素
前作は通常プレイではリョウとロバートしか操作できなかった。キャラ研究を進めるなら対戦プレイオンリーであり、率直に言って対戦ツールとしては不向きな仕様だった。
今作ではその反省を踏まえ、最初から全キャラが使用可能となり、CPU戦でもマイキャラを最低限は鍛えられるようになった。この点は対戦ゲームとして大きな進歩である(もっとも、本来なら最低条件ではあるが)。

みんな結構顔が濃ゆいな…。
一方で、対戦バランスそのものはお世辞にも良くはなかった。
気力ゲージが空の状態だと一部必殺技が通常技に化ける仕様があり、通常技キャンセル通常技というイレギュラーかつ高威力のコンボが成立するキャラも存在する。

さらにトラップショットでキャンセルすると…?
さらに、投げ系の隠し必殺技を通常技ガード後にキャンセルで強引につなげられるなど、掟破りのコンボを持つキャラ(ジャック)も居た。
筆者の記憶が確かなら、稼働直後の1か月ほどはアーケードゲーム専門誌「ゲーメスト」のインカムランキングでトップを獲得していたものの、その後は失速。『ストII』シリーズや『餓狼伝説スペシャル』といった定番タイトルの後塵を拝する結果となった。
シリーズの中では最も対戦向けに仕上がっている作品でありながら、当時のアーケードシーンにおける定番ゲームにはなりきれなかった――そんな印象が筆者の記憶に強く残っている。
辛口の1人用モード
対戦ツールとしてはやや粗さの残る本作だが、1人用モードはどうか?
本作は『餓狼伝説スペシャル』と近い時期にリリースされたタイトルで、CPU戦は全キャラを順に倒していく勝ち抜き方式を採用している(近年の格ゲーは6戦前後で終わる構成がポピュラー)。

長時間プレイによるインカム低下を避ける意図もあったのか、CPUの反応はかなりシビアで、パターンを掴まないと突破が難しい。一方で、パターン化に頼ると実戦では通用しない戦法になりがち。
対戦向けの戦法だとCPUに勝てず、パターン化すると対戦で勝てない、というジレンマを抱えていたゲームである。
なお、スコアアタックの場合もストイックなプレイが要求される。『龍虎の拳』は1も2も必殺技を当てるとスコアが入る仕様だが、他の格ゲーと異なるのは、必殺技をガードさせても点数が入る という点。

ガードさせて稼いでみたり。
そのため、本作でスコアを稼ぐ場合、気力ゲージを枯渇させて弱体化した必殺技をひたすらCPUにガードさせ続け、あわよくばパーフェクトも狙う――という、非常に地道で根気のいる稼ぎが必要だった。
筆者はストーリー目当て、スコア度外視で全キャラをラフに攻略したが、1人用モードをやり込む際はどっしり腰を据えて挑む必要がある点にだけはご注意頂きたい。
出張も目立つ主要キャラクター達
『龍虎の拳』シリーズは、対戦ツールとしてのとっつきにくさが災いし、結果として3作品にとどまっている。一方で、筆者のように根強いファンが多いためか、他の格闘ゲームシリーズへゲスト出演する機会は非常に多い。
主人公のリョウ・サカザキはもちろん、本作で格闘家としてデビューした妹のユリ・サカザキは、カプコン製タイトルを含む他社作品にもたびたび参戦している(ユリの個性付けの扱いについてモノ申したいことはあるが、ここでは敢えて言いますまい……)。

(画像:THE KING OF FIGHTERS'97)
『KING OF FIGHTERS』シリーズではリョウ・ロバート・ユリに加え、リョウとユリの父であるタクマ・サカザキも参戦。更にキングや如月影二、Mr.BIGといった面々が脇を固める。
直近では『餓狼伝説 CITY OF THE WOLVES』にMr.BIG、そしてロバ、(ゲフゲフン!)Mr.カラテが参戦するなど、その存在感は健在。
サウスタウンという世界観を共有する『餓狼伝説』シリーズとの結びつきは、本作をきっかけに一気に強まったと言ってよい。本作で特定条件を満たすと出会える隠しボスが、その関係性を強調する存在となっている。

意外な人物の意外な姿が明らかとなる。
シリーズファンの筆者としては、いつか正統続編を遊びたいところ。まずは『龍虎の拳』というIPの灯を絶やさぬよう、これからも龍虎キャラの出演が続いてくれることを願っている。
まとめ
『龍虎の拳2』は、画期的なシステムが多かった前作でとっつきにくさとして残っていた部分を中心に改善し、CPU戦でも対戦でも遊びやすさが向上した続編タイトルである。

良くも悪くも全体的に丸くなった印象が強い本作。完成度という点では今一つな部分もあり、アーケードで対戦が盛り上がるムーブメントを生み出すには至らなかったのはやや心残りである。
一方、シリーズのレギュラーキャラの造形・技モーションは本作でほぼ完成形に到り、同年リリースの『KING OF FIGHTERS’94』では本作のモーションがしっかりと活かされていた。

キャラクターごとのストーリーテリングや演出面の美しさは、当時の格闘ゲームの中でも頭ひとつ抜けていたと言ってよい。格ゲー界の優等生ではないが、オンリーワンの魅力を持つ作品である。
現在はアケアカNEOGEOで手軽に遊べる本作。格闘ゲーム史を紐解くうえでも、一度触れてみてほしいタイトルだ。

本作を一言で表すならば、
尖りまくった前作を磨いて角を取った佳作2D格ゲー
である。
『龍虎の拳2』の選評は以上。
次回もよろしくお願いします。
