ゲー選かけ流しvol.48 ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダー・ラビリンス-
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回は『ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダー・ラビリンス-』(長い…)。
長い歴史を持つ有名IPを、メトロイドヴァニアとして構築した野心作。キャッスルヴァニア系の文脈に則りつつ、しっかり面白いゲームに仕上がっていた。本稿では、その魅力をしっかりまとめていきたい。
<筆者のメトロイドヴァニアプレイ歴>
・本家メトロイドシリーズは計3作クリア
・本家キャッスルヴァニアシリーズは計4作クリア
・メトロイドヴァニアは本作を含め数作プレイ
・本作はPS5版でプレイ、プラチナトロフィー取得済み
・プレイ時間:10時間強
※原作のロードス島戦記は未履修
メトロイドヴァニア愛が過剰?なリスペクト作品
本作は『ロードス島戦記』のキャラクターと世界観を下敷きに、同作のエルフ「ディードリット」を主役に据えたメトロイドヴァニアである。
筆者は原作『ロードス島戦記』未履修のため、細部の位置づけまでは語れないが、『新ロードス島戦記』~『誓約の宝冠』の間をつなぐエピソードとして描かれているようだ。
原作者・水野良氏が監修していることもあり、原作ファンで未プレイの方はチェックして損はないだろう。

前置きが長くなったが、本作のメトロイドヴァニアとしてのデキは良好。
キャラクターのドット絵や背景のグラフィックは、随所にキャッスルヴァニアへのリスペクトを感じる仕上がり。特にディードリットのアニメーションは驚くほど滑らかで、本家を知るプレイヤーでも唸るレベル。
率直に言って、筆者の“推し”がひとり増えたかもしれない。
メトロイドヴァニアは世界的に作品数が多いジャンルだが、その中でも本作は本家をしっかり研究したことが伝わる手触りを持っている。

ベルモンド家のそれに見えてきそう。
キャッスルヴァニア愛が画面の端々からにじみ出ており、製作陣の熱意と愛着がプレイフィールに直結している、非常に優れたリスペクト作品となっている。
本作ならではの独自要素
本作は基本システムや見た目こそキャッスルヴァニアの系譜といった印象だが、独自の差別化要素もふんだんに盛り込まれている。以下はそんな独自要素を挙げていく。
精霊使役
本作はゲーム開始からほどなくして、2種類の精霊を使役できるようになる。
<風の精霊シルフ>

機動力に優れ、使役中は滑空が可能。繊細な足場や空中制御が求められる場面で活躍する。
<火の精霊サラマンダー>

攻撃性能に優れ、スライディングなどのアクションが攻撃判定を持つようになる。溶岩など特定の地形ダメージを無効化できるのも便利。
風と火は対になる関係で、敵キャラを風属性で攻撃すると火のキューブ、火属性で攻撃すると風のキューブが出現する。これを集めて属性レベルを最大(3)まで上げると、体力が自動回復するようになる。被弾するとレベルが下がる点には注意が必要。

本作は被ダメージが大きい傾向にあり、回復手段の確保が攻略の鍵となる。敵からダメージを受けても、対となる属性で攻撃してレベルをMAXまで戻せば、敵から距離を取って自動回復により立て直せる。継戦能力に直結する重要なテクニックだ。
また、一部の地形やボス攻撃には風・火の属性が含まれており、タイミングよく精霊を切り替えて吸収する必要がある。このプレイフィールは、トレジャーの2Dシューティング『斑鳩』を彷彿とさせる。

あ~これはもう『斑鳩』です、『斑鳩』。
どちらの属性も便利で、状況に応じて切り替えながら属性レベルを維持する立ち回りが求められる。
弓による長距離攻撃
本作は「永遠の乙女」であるエルフ、ディードリットが主人公ということもあって、弓矢を使った遠距離攻撃が可能となっている。

メトロイドヴァニアでも飛び道具自体は珍しくないが、近接武器と同等のバリエーションを持つ弓矢が用意されている点は、本作ならではの特徴。
安全圏から延々とチクチク攻撃できないよう、弓矢は魔力を消費する仕様になっており、近接武器との使い分けを自然と意識させる仕様。この辺りの調整と誘導は巧い。
前述した風と火の属性攻撃を吸収すると魔力も吸収(Drain)できるため、弓矢を扱うチャンスは多い。近年は“死にゲー寄り”のメトロイドヴァニアが増えている傾向にあるが、本作の弓矢は初心者向けの救済要素としても機能している。

射線を通す事も可能。カッコイイ!
また、弓矢は一部ステージ内の仕掛けを解放する際にも必須となる。単に敵を射抜くだけでなく、狙った場所に正確に射線を通す技量が求められる点には注意したい。
弓矢の扱いに慣れてくると、探索と戦闘の両面でプレイの幅が一気に広がるのが本作の魅力である。
多種多様な魔法
エルフと言えば弓矢だけでなく魔法も達者。ディードリットも例外ではなく、迷宮を進む中でさまざまな魔法を習得し、状況に応じて使い分けることができる。

魔法は種類によって効果や範囲が大きく異なり、強力なものが多い反面、消費魔力は重め。弓矢のように雑に連発するのは禁物、というかそもそもできない。
中~遠距離で効果を発揮する魔法が多いため、攻撃が激しいボス戦では、
・ボスの攻撃を避けることに集中しつつ、魔法で確実にダメージを与える
・ボスの属性攻撃を精霊切り替えで吸収し、魔力を回復する
といった立ち回りが有効。
魔法攻撃には多段ヒットするものが多く、敵から属性キューブを大量に吐き出させることができる。属性レベルを素早く最大まで引き上げ、自動回復を発動させる手段としても魔法は非常に優秀。攻撃と回復のサイクルを能動的にコントロールすることで、戦闘の安定感を高めることができる。

多段ヒットなので扱いやすい。
程よく歯ごたえのある難易度
本作はレベルデザインも良好で、序盤はザコもボスも比較的単調な動きが多いものの、中盤以降はボスの攻撃手段が一気に多彩になる。避けにくい攻撃も増え、油断すると一気に体力を削られてやられてしまう。
ボス戦に限って言えば、同ジャンルのトレンドでもある“死に覚えゲー”の側面がしっかり存在する。筆者もジャンルに不慣れなこともあり、終盤のボス戦では何度もリトライすることになった。

トライアル&エラーで乗り切るべし。
しかし、前述した弓矢や魔法、そして属性レベルの仕組みがあるおかげで、リカバリのチャンスは多い。被弾して下がった属性レベルを魔法で素早く上げ直しつつ、敵の体力を削っていけば、自動回復を維持しながら余裕を持ってボスの攻撃に備えることができる。
難しいながらも打開の糸口が常にあるレベルデザインが嬉しい。
また、キャッスルヴァニア同様にディードリット自身にもレベルの概念が存在するため、困ったら敵を倒してレベリングしつつ、ドロップアイテムを狙うのも有効。この攻略の幅広さが、本作の遊びやすさを象徴していると言える。
各種やり込み要素
本作はキャッスルヴァニアを強くリスペクトしているため、やり込みの方向性もその系譜をしっかり踏襲している。
<武器収集>
敵からのドロップ限定武器や店売り武器の購入などがある。本家ほどドロップ率が低くはない反面、いわゆる“ぶっ壊れ武器”のようなものは存在せず、やや小さくまとまっている印象。

<レベル上げ>
装備品ほど劇的な伸びはないものの、レベルアップによる難易度緩和の効果はある。武器収集を兼ねて敵を倒していけば自然とレベルも上がり、攻略の助けになる。筆者のように腕に自信がないプレイヤーは、焦らずじっくり進めるのも悪くない。

レベル上げに彼女なりのこだわりがある模様。
<実績・トロフィー>
コンソールによっては実績・トロフィーに対応している。ストーリー攻略に加え、武器収集、ミニゲーム、エンドコンテンツなどのやり込みが必要になるが、筆者でもプラチナトロフィーまで獲得できたため、難易度はそこまで高くない部類だろう。

最近はポピュラーなタイプ。
唯一難点を挙げるとすれば、トロフィーコンプまで遊んでも約10時間程度というボリューム感。筆者のような積みゲーマーには十分満足できる内容だったが、ゲームに価格相応の長時間プレイを求める人には物足りなさを感じるかもしれない。
とはいえ、現在はセールで安く購入できる機会も多く、相対的に評価が上がりやすい状況。筆者のようにディードリットの魅力やドット絵に惹かれて購入するのもアリだ。
筆者はこれを機に『ロードス島戦記』を読んでみようかと思っている。それくらいに本作を気に入った。
まとめ
『ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダー・ラビリンス-』は、世界的に知名度のあるファンタジー小説の世界観をベースに、メトロイドヴァニアのゲーム性を見事にブレンド。美しいドット絵と小気味よいアクションが両立しており、短時間で濃密な体験が味わえる。

ロードス島戦記を知らないプレイヤーにとってはストーリーが分かりにくい点、メトロイドヴァニアとしてはボリュームがコンパクトな点など、好みが分かれそうな部分もある。
しかし、キャッスルヴァニアへのリスペクトが随所に感じられる実直な作りで、ジャンルファンならきっと満足できるはずだ。ロードス島戦記かメトロイドヴァニア、どちらかが好きならおすすめできるし、両方好きならマストバイと言いたい。
本作を一言で表すならば、
有名IPと良作メトロイドヴァニアのマリアージュ
である。

追ってみようかと思います。
ロードス島戦記 -ディードリット・イン・ワンダー・ラビリンス-の選評は以上。
次回もよろしくお願いします。
