見出し画像

【ショート】 遅れて気づいた恋

―― short story ――

彼女がいなくなってから、
静かになりすぎた。

仕事は回っている。
困ることもない。

夜、書類を綴じたあと、
私はふと思う。

――あの人は、

笑顔のかわいらしい人だった。

周囲は散々なことを言っていたが、

それを目撃したことはない。

特段、気にも留めなかった。

「……でていきます」

珍しく表情を曇らせていた。

早く笑顔にさせてやりたくて、すぐに頷いた。

望んだのとは違う笑顔で、彼女は背を向けた。


数年後、
別の場所で、彼女の噂を聞いた。

私よりも、身分の低い男性と一緒になった、と。
手紙は、書かなかった。

今さらだった。


——あの人は、笑っていればいい。







こちらの企画に参加させていただきました🌿
素敵な機会をありがとうございます☺️

よろしくお願いいたします。

いいなと思ったら応援しよう!

COBITo|物語を書く人 【高校野球怪談120%🌿】 この物語を楽しんでいただけたら、そっと応援していただけると嬉しいです。いただいたチップは、物語を続けていく力に使わせていただきます。