【ショート】 雨の日の手紙
―― short story ―—
雨が降っている日は出かけたくない。
机に向かって、
引き出しを開ける。
取り出したのは、一枚の便箋。
今時、手紙を受け取ってくれて、返事をくれる人は一人しかいない。
手紙のやり取りをして、もう何年経つのだろうか。
雨が降る日は必ず手紙を書いている。
向こうも、
きっと私から手紙が来るであろうことを、
予測しているかもしれない。
書くことは、いつも、同じような内容。
「今日も雨が降っています」
とか、
「晴れたら、一緒にカフェに行こう。」
とか、
とりとめのない話を、
便箋一枚分。
お馴染みのお気に入りの朝顔のシールを貼る。
書き終えると伸びをして、そっと引き出しにしまった。
雨が止まないので、
昼寝をすることにした。
晴れたら、出しに行こう。
「今日、雨だね。」
声が聞こえる。
「……今日も手紙を書いているんじゃないか?」
空を見上げる。
思いを馳せて。
——それは、届くことのない手紙。
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