【ショート】 繰り返される毎日
―― short story ――
朝、飛び起きて着替える。
スムージーを作りながら、
SNSを開く。
トップニュースだけチラリと見て、
髪を手櫛で押さえ、結う。
歯磨きをして、カバンを持つと玄関へ。
行ってきまーす。
誰もいない部屋に告げると、駅へ走った。
事務の仕事は、順調だった。
想像していたよりも、難しいことは言われなかった。
昼食になると、コンビニに買いに行き、屋上で食べた。
食べ終えた頃に、
別の部署の彼がやって来る。
缶コーヒーを受け取ると、一緒に飲んだ。
仕事が終わると、
一人で居酒屋に入る。
先にスマホをいじりながら、梅酒を飲んでいると、
一時間遅れて、彼が来た。
営業部の彼が遅れるのは当たり前なのに、いつも、申し訳なさそうにしてくれる。
今日も、奢ってくれた。
ほろ酔いで、気持ちよく歩く。
肩を引かれると、頭を預けた。
危ないよ、と囁く彼の顔も赤かった。
じんわりと夜の匂いが強くなる。
口元がにやけると、彼の手が熱くなった。
家まで送ってくれると、
立てなくなった私をベッドまで運ぶ。
お水を取ってきてくれて、飲ませてくれる。
彼の顔を見ながら、
横になると、すっと眠ってしまった。
朝、飛び起きて着替える。
スムージーを作りながら、
SNSを開く。
トップニュースだけチラリと見て、
髪を手櫛で押さえ、結う。
歯磨きをして、カバンを持つと玄関へ。
行ってきまーす。
誰もいない部屋に告げると、駅へ走った。
事務の仕事は、順調だった。
想像していたよりも、難しいことは言われなかった。
昼食になると、コンビニに買いに行き、屋上で食べた。
食べ終えた頃に、
別の部署の彼がやって来る。
缶コーヒーを受け取ると、一緒に飲んだ。
仕事が終わると、
一人で居酒屋に入る。
ふと、違和感を感じる。
でも、気にしなかった。
スマホをいじりながら、梅酒を飲んでいると、
一時間遅れて、彼が来た。
営業部の彼が遅れるのは当たり前なのに、いつも、申し訳なさそうにしてくれる。
今日も、奢ってくれた。
ほろ酔いで、気持ちよく歩く。
肩を引かれると、頭を預けた。
危ないよ、と囁く彼の顔も赤かった。
じんわりと夜の匂いが強くなる。
口元がにやけると、彼の手が熱くなった。
家まで送ってくれると、
立てなくなった私をベッドまで運ぶ。
お水を取ってきてくれて、飲ませてくれる。
彼の顔を見ながら、
横になると、すっと眠ってしまった。
朝、飛び起きて着替える。
スムージーを作りながら、
SNSを開く。
トップニュースだけチラリと見て、
髪を手櫛で押さえ、結う。
歯磨きをして、カバンを持つと玄関へ。
止まる。
――今日、何日?
スマホを見る。
西暦も分かるように、カレンダーも。
気づいた時、静かに体温が下がっていった。
胸のざわつきが広がっていく。
胃の不快感が増して、電話の連絡先をスクロールしていた。
会社をタップして出た人に伝える。
――申し訳ありません。体調を崩してしまい、休みます。
その日は、何もしなかった。
彼から通知が来ただけ。
大丈夫?と。
朝、飛び起きると、
スマホを見る。
……変わらない。
ベッドに倒れる。
――なんなの。
何かが、崩れた。
色んなことが頭を駆け巡る。
どうしたらいいのか、行動を変えればいいのか、
それとも、私の頭がおかしくなったのか。
昼になると、彼から通知が入る。
大丈夫?
会いたい。
そう、返すと、
彼は早退してきてくれた。
驚いた。
一年も一緒にいたのに、
私は、彼のことを何も知らなかったのかもしれない。
こんなお願いをして来てくれるなんて、少し信じられなかった。
顔色が悪いね、と心配してくれた。
買い出しをした袋を、手狭なキッチンに置く。
彼はお粥を作ってくれた。
温かいスープも。
食事をすると、少しだけ落ち着いた。
それから、
毎日、違う行動をしてみた。
繰り返される毎日を、大幅に変えてみた。
支障はなかった。
次の日になれば、休んだ記録も増えていなかった。
やがて、面白いことが分かった。
抜けると職場は、思ったより慌ただしかった。
別部署では、営業成績の話題になるたび、彼の名前が出た。
仕事を休んだ日に、
別部署のカフェテリアで、しれっと食事をしてみた。
女性陣が彼の話で盛り上がっていた。
彼女はいないことになっていた。
ふらっと、外を歩いていたら、
声をかけられた。
笑顔が魅力的だと思った。
思ったより傷ついていたのかも知れない。
ついていった。
翌朝、スマホを見る。
やっぱり、変わらない。
変わっていないはずなのに、
私の心が大きくズレてしまった気がする。
スマホを打つ。
別れて。
そのまま、外に出た。
また、声をかけられた。
髪もボサボサのままなのに。
笑顔が魅力的だと思った人だった。
不思議と私の心にするっと入ってくる。
寄りかかったら、また、あたたかくしてくれそうだった。
笑った。
翌朝、スマホを見る。
変わらない日付に、もう驚かない。
ただ、どうしたらいいのか分からなかった。
外に出て、あの人に会いに行こうか。
会えるかな。
靴を履き、玄関の戸を開ける。
呼吸が止まる。
スーツ姿の彼が立っていた。
……どう、したの?
絞り出した声は、震えてしまった。
彼は少し眉を顰めて、やさしく微笑んだ。
――間違えちゃったんだ。
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