【エッセイ】 ママ~、扉あけて
―― short story ――
目を開ける。
暗がりで、すやすやと眠る夫。
布団を引き寄せて抱きしめる。
「私のお部屋が欲しい」
「お部屋?いいよ。でも、ちゃんと自分でお片付けちゃんとするのよ」
「うん。」
子供部屋に勉強机と子供の荷物をまとめる。
それから、二年後。
「私、一人で寝る」
「……寝れんの?」
「うん」
帰りの遅い夫。
子供部屋に寝てもらっていた枕を交換。
金曜日の夜にお試しで。
寝る前に一緒に本を読む。
おやすみのぎゅーをする。
「ママ、電気消して」
「うん、おやすみ」
すんなり寝た。
朝、娘の部屋の扉を開ける。
「おはよう」
「おはよう、ママ。よくねれたよ」
娘が言う。
「そう、よかった」
笑ったけど、目の奥がじわっと熱い。
「もう一人で寝れるな~」
夫は満足そうだった。
その日の夜も、本を読んで、おやすみのぎゅーをする。
電気を消すと、静かな寝息が聞こえた。
「寝た?」
「うん」
私も布団へ入った。
翌朝、夫は私より早く起きてベッドが冷たかった。
起きてカーテンを開けて、階下に降りる。
白湯を入れて伸びをする。
「ママ~、扉あけて」
寝起きの声が聞こえる。
目が覚めた。
パタパタと階段を登り、扉を開ける。
「おはよう」
「おはよう」
ゴロゴロする娘の姿。
ぎゅーをして、一緒に少しだけゴロゴロ。
朝食の支度をしに降りると、目覚めた娘が降りてくる。
見ると、
何年も触っていなかった懐かしいクマのぬいぐるみを抱きしめている。
自分の席の隣に置くと、カチューシャをつけてあげた。
「かわいいでしょ」
笑う娘。
……あぁ。少しずつなんだな。
肩の力が抜ける。
あったかくなった。
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