【ショート】 逸脱
―― short story ――
――違う。
闇の中で壁を叩く、何度目かわからない
全身から汗が吹き出る
目が滲む
まともに息が吸えない
手が、痙攣したように震える
心臓の音が跳ね上がって、耳に響く
喉が焼けるように、熱い……
息が、足りない
震える手を上げて、鉄の塊を動かす
「1」「3」「6」
――違う
「2」「5」「8」
――ちがう
もう……何度目かわからない
ただ、ダイヤルをまわす
……お願い
「3」「6」「9」
音がしない
体に力が入らない
間に合わない
もう……
視界が揺れる
膝が落ちる
……めまい
指が、震える
カチ、カチ、カチ
頭の中で、止まらない
諦めてしまいたい
心が叫ぶ
ただ……頭に浮かぶ人がいる
「……うごけ」
やらなければ確定だ
でも、
成功すれば――
「もういちど……」
指先が、止まる
―――最初から
数字は3つ。1からやればいい。
「1」「1」「1」
「1」「2」「3」
…………………………
だめなら、そこで終わり
でも、成功すれば……
「3」「9」「8」
「3」「9」「9」
その時、警告音が鳴った。
『残り時間――』
機械音が響く、
聞きたくない!
――音が、消えた
「4」「0」「0」
かちっ
南京錠のツルをずらし、引き抜く
扉に体当たりして、飛び出した!
空気が刺さる
走る
ビ――――――――――――――
背中から閃光が走り、人形のように吹き飛ばされる
世界は白く染まり
すべては一瞬だった――
身体中が痛かった。
残骸のような場所に横たわっている。
血の匂いがする
頭が、うまく動かない
――生きてる
生きてる
目が、乾く
遠くから、救急車の音が聞こえる。
……また、会えるだろうか
「あ……あぁ、……あぁ」
ありがとう400
命の恩人です🌿
#400note祭り 。イベントはの締切は明日まで。
二度目の参戦となります。
ありがとうございました☺️
いいなと思ったら応援しよう!
この物語を楽しんでいただけたら、そっと応援していただけると嬉しいです。いただいたチップは、物語を続けていく力に使わせていただきます。