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【ショート】 冷めた紅茶

―― short story ――

カップに湯を注ぐ。
少し揺らして、捨てる。
温まったカップに、茶葉を入れる。
香る。
少しずつ染まっていく色を、ただ眺める。

外は雨。
葉を打つ音と、落ちる音が重なる。
静かなはずなのに、ずっと何かが鳴っている。
紅茶だけが、黙って色を変えていく。
そのまま置く。
少し濃くなる。
濁る。
もう少し置く。
縁に触れる。
まだ、熱い。
羽音がした。
雨の日に鳥を見かけることは少ない。
葉の下に隠れているものだと思っていた。

窓を開ける。

音が増える。

濡れた小さな影は動かない。

「……それでいいの」

返事はない。
ただ、見つめる。

しばらくして、鳥は雨の向こうへ消えた。

窓を閉める。
テーブルの上にある冷めた紅茶。

飲み干した。



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