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物流ニュースなび【26年7月13日号】取適法、初の勧告 荷役の「タダ働き」に法が動いた

みなさん、こんにちは。

今日の東京は雲が多く、最高気温は30℃の予報です。降水確率は50%、梅雨明け前のむし暑い1日になりそうです。

今日は先週金曜日(7月10日)、公正取引委員会が出した勧告を取り上げます。物流・サプライチェーンの現場に関わる方には、かなり重要なニュースです。

■ トピック
ミネベアアクセスソリューションズに取適法の勧告
特定運送委託での初適用

(出典:公正取引委員会報道発表資料、2026年7月10日)

勧告の内容とは・・・
公正取引委員会は7月10日、ミネベアアクセスソリューションズ(宮崎市、自動車部品・自動二輪車部品等の製造販売を手がける事業者)に対し、中小受託取引適正化法(取適法)違反を認定し、再発防止を求める勧告を行いました。

今回の案件には2つの違反事実があります。

まず製造委託に関するものです。同社は遅くとも24年1月から26年2月1日まで、自動車・二輪車部品の製造を委託していた下請事業者36社に対し、金型など計846個の保管費用を一切負担せずに保管させ続けました。これには改正前の下請法が適用されています。

2つ目が今回の核心です。26年1月から4月にかけて、部品の運送を委託していた中小事業者1社に対し、荷物の積み込み・取り卸しなどの荷役作業と付帯業務を、計546時間にわたって無償で行わせていました。こちらには今年1月に施行された取適法が適用されました。公取委は「特定運送委託」における「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」(取適法第5条第2項第2号)違反と認定しています。取適法の「特定運送委託」規定に基づく勧告としては、これが全国初の事例です。

なお、不利益額は全額支払済みです。それでも公取委は「違反が確実に排除された状態を維持するための措置が必要」として勧告を行い、取締役会の決議によって再発防止を確認することなどを求めています。

「特定運送委託」とは何か
取適法は今年1月、旧下請法が改正・名称変更されて施行されました。この改正で新たに規制対象に加わったのが「特定運送委託」です。メーカーなどの荷主が自社製品の運送を物流事業者に委託する取引がこれにあたります。

これまでの下請法では、製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託の4類型が規制対象でした。荷主が運送を委託する取引は役務提供委託の一部として扱われてきたものの、適用範囲があいまいで、荷役作業や付帯業務の無償強要が「商慣行」として長年まかり通ってきた側面があります。取適法はこの部分を明示的に規制対象とし、荷主側の義務を明確にしました。

社名公表のみならず、取締役会決議まで要求
今回の勧告で注目したいのは、社名の公表にとどまらず、取締役会の決議による再発防止確認まで求めている点です。

勧告は取適法上の最も重い行政措置です。今回公取委がこの措置を選択したこと自体、それだけの対応が必要と判断したことを意味します。加えて、再発防止を「取締役会の決議により確認すること」を求めた。経営トップが関与する形で組織として対処することを明示的に要求しています。

不利益額は全額支払済みでした。それでも勧告は行われ、社名は公表され、経営レベルでの対応が求められた。公取委の今回の姿勢からは、初の特定運送委託勧告を単なる一事案の処理に終わらせるつもりはないという意図が読み取れます。

「これまで通りで大丈夫」は通用しない
取適法が施行されたのは今年1月のことです。今回の違反期間はまさにその1月から4月、施行直後の4か月間にあたります。

ルールが変わったとはいえ、長年の商慣行はそう簡単には変わらない。そう高をくくっていた荷主が、業界にどれだけいたか。今回の勧告は、その慢心に公取委が正面から向き合った結果です。

荷役作業や付帯業務を運送事業者に無償で行わせる慣行は、特定の業種や地域に限られた話ではなく、製造業の現場に広く根付いてきたものです。「それが当たり前だった」という荷主側の認識と、「断れば仕事を失う」という運送事業者側の立場が組み合わさることで、長年この構造が維持されてきました。取適法の施行は、その「当たり前」に法的な線引きをしたものです。

今回の事例が業界全体に示したのはシンプルなことです。施行後も商慣行を変えられなかった場合には、社名とともに公表され、経営レベルでの対応を求められる。「払えば終わり」でも「措置で終わり」でもない。荷主企業の物流担当者や法務担当者が今回の事例を「他社の話」として読み流せるかどうか、問われているように思います。

今日はここまでです。次回もお楽しみに。

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