「鵼の碑」京極夏彦作の感想
2023年に発行した小説。「邪魅の雫」から17年ぶりの書下ろしだそうです。
発売されたのが3年前とは知らず、京極先生の作品から遠ざかっていました。
ひさびさのレンガ本を図書館から借り、読みごたえがありましたが、するすると読めました。
遺体がなくなっただけで、派手な殺戮事件が起きたわけではありませんが、やはり、人が亡くなっているわけでそこには公安を巻き込んだ暗躍が潜んでおりました。
過去の事件もところどころ出てきて過去作も読み返したい気分になりました。
人気の主要キャラがふんだんに出てきて楽しめさせてくれます。アガサ・クリスティーだと、晩年はエリキュール・ポアロをの登場を出し惜しみして物語の終盤にならないと出てこないこともありますが、京極先生はそのような出し惜しみはしないのでした。
古い友人にあったようにそれぞれがそれぞれのキャラのままで安心しました。京極堂が古本屋の主人として仕事をしている描写は初めて出てきたのではないかなと思います。私の覚えている限りですが。
蛇やら、虎やら、狸やらの章で場面展開されていく話が最終章で帰結していく読み心地はさすが京極先生と膝を打つ面白さで光る猿の謎と盗まれた遺体の謎が明らかになります。
原子力について当時の日本の認識など大変興味深く読みました。
緑川というご婦人から語られる京極堂や、榎木津、関口の若い頃も今後出てくるかもしれないと思いました。
この3人の青春時代も面白いだろうと思います。今後も緑川は出てくるでしょう。
京極先生は生涯、この百鬼夜行シリーズを書き続けるのでしょうか?完結編まで考えておられるのでしょうか。アガサ・クリスティーのように死後も発表できるように物語を用意してくださるとうれしいです。
アガサ・クリスティーは完結編を書いた時と晩年の作品は世情が変わり、完結編が完結編らしくなかったとも言われるのでそこらへんも考えておられるのかなと思います。
1本、小説を仕上げるのにどれくらい時間がかかるのかわかりませんが、SNSが発達したこの時代について昭和初期の物語がどう通用するか最後まで見てみたいです。
昭和生まれのわたくしは昭和の残り香を存分に楽しめますが、令和に生まれてくるキッズたちにこの百鬼夜行シリーズがどのように読まれるのか知りたいところです。
映像化もされたこのシリーズ。映画化というと京極夏彦ワールドを世界に発信!!となると思ったのですが、このボリュームの小説の映画化はやはり難しく、これぞ京極夏彦とならなかったのが残念です。
百鬼夜行シリーズって英訳して発売されているのでしょうか?英訳してもレンガ本なのでしょうか?日本語でこの本を楽しめることをうれしく思っています。
ひさびさの京極夏彦ワールドを楽しめました。レンガ本なので読むのに躊躇しますが読んでしまえばあっという間に読み終わりました。
京極先生の書くセリフの掛け合いが面白くテンポよく読めます。あと、公式で過去作品のキャラクターの関係図などを作ってくださればより楽しめると思いました。京極先生の頭の中ではそれらは整理してあるのでしょうか?広大な百鬼夜行シリーズで混乱することはないのでしょうか?それ以外の新作も精力的に発表なさっているので追いかけるのが大変です。
妖怪や、怪奇という装置がなくなってしまった現代において生きづらい世の中になっております。
妖怪や、怪奇があった時代にも苦労や困難はあったと思いますが、人との距離の詰め方が優しかったのではないかと思います。
私たちは指1本で他人を追い詰めることができてしまう時代に生きています。それは簡単に死に追いやることができるのかもしれません。
言葉が持つ重さ、強さを日々感じながら生きています。
小説は今後も永遠不変で何千年も残る媒体だと思います。他の作品ですが、言葉は奇跡であり、何千年前の昔の人の独り言も知ることができますし、何千年未来の人にメッセージを残すことも可能です。
紙で残すこととデジタルで残すこと、多少の違いはありますが、時を超えて文字でつながることは尊いと感じます。
私の文章も誰かの慰めになればいいなと感じました。
本作品「鵼の碑」も何千年後も残る作品だと思います。昭和、平成、令和と時代が移り変わってきて描かれた物語に未来の人はなにを感じるのでしょうか?
原子力という未来のエネルギーと言われたものに変わるエネルギーは発見できたでしょうか?
昭和の世界から現代、未来へと続くこの物語を一生追いかけていきたいです。
京極先生、長生きしてください。

↓こちらでも記事を書いています。興味のある方は読んでみてください。
↓絵本を書きました。ぜひ、お読みください。
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