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佐藤マコトの「サトラレ」を読んだ感想

自分の考えていることがコップの水が溢れるように伝播して他人に知られてしまう病気を持った主人公たちの漫画。

少し古い漫画なのだが、今読んでも面白い。他人に思考が漏れてしまうがためにいろいろな葛藤が起きる描写をかなりリアルに描いているので、本当に実在する病気だと思っている人もいるくらいである。

あくまでフィクションで、サトラレは実在する病気ではない。超能力としないで病気としているのも作者になにか意図があるのかもしれない。
1000万人に1人の割合で発症し、日本には13人しかいないとされているサトラレ。サトラレは天才的な知能を伴って生まれてくるので国の重要人物として保護されているという設定である。

サトラレは自分でサトラレと自覚しないように周囲の人間に嘘をつかれながら育てられる。
自分がサトラレではないかというサトラレノイローゼという病気まであって、サトラレの世界観がすごい。

統合失調症に考想伝播(こうそうでんぱ)という症状があり、自分の思考が他人に読まれてしまうものがある。私は統合失調症だが、そういう症状は今までないが、このサトラレを読んで、自分もサトラレだったらどうしようと思った。

私が生きている現実世界にはサトラレを保護する法律もないし、もし、サトラレだったら周りが優しい嘘をついているはずで、そんな優しい人ばかりではないと思うし、自分が考えていることが周りにバレてしまっていたなら、もっと私は孤立していると思うので違うと思う。
天才じゃないし、普通の人間だと思う。
そんなノイローゼ症状まで描写されていて作者の物語の構築の仕方がすごいなと思う。

サトラレと自覚してしまった登場人物もいて、その生きづらさはかなり切ない。
2番目のサトラレとして承認された白木という人物が自覚したサトラレとして登場する。後進のサトラレのため、大活躍するのだが、とうの自分は無人島で一人で暮らしており、人間を拒絶している。

読者の誰もが白木には幸せになってほしいと願わずにはいられない。
天才だから国益になるので、国に保護されているサトラレは天才じゃなかったら、暴言を巻き散らかす、迷惑な人として、好奇と嘲りの対象として捨て置かれるのかなと思う。
そうなるとサトラレという病気はなんのために生まれてきたのかなと思う。

漫画はあくまでフィクションであり、サトラレ同士の情報の交流の仕方がえげつない。父の研究を5歳の娘が受け継ぐ描写はすごかった。
サトラレは完結していないと聞く。
第一部までは、5歳のサトラレの娘とともに生きる母親の決意で物語は終わっている。

実際にサトラレがいたら、私は友達になれるだろうかと疑問に思う。
私は嘘つくの下手くそだからな。こっそりと遠巻きにいるくらいしかできないだろう。

好意も敵意も相手にすべて筒抜けになってしまうサトラレ。興味を向けられた相手はかなり迷惑を受けることになってしまう。
サトラレは思っていることをそのまま言えば、声が大きな正直者だという描写もあって人が嘘をつくこと、嘘をつけるからこそ、人間社会は発展してきたと言えるし、嘘をつけないサトラレが新人類として増えていけば、この世界はどうなってしまうのだろうと思う。

正直者しかいない世界は皆が仲良く暮らせる優しい世界になるのか。それともこの主張が強すぎていがみ合う社会になるのか。
このサトラレという設定を生み出したアイデアがすごいと思う。

このアイデアを生かして別の作者が描いたサトラレの物語もある。今の時代にアレンジされたサトラレの物語だ。
このテーマはいつの時代も面白く調理できる素材だ。現代でもドラマ化したら面白いと思う。

江戸時代とかにもサトラレがいたらどうなっていたのだろう。
サトラレは戦後に突然変異的に発見されたので、その歴史は浅い。しかし、サトラレは国際法で保護されているという設定である。

サトラレという漫画を通して人間の優しさやずるさが垣間見えてドラマとしてはとても面白い作品になっている。

現代はSNS社会で、思っていることを大声で発信できる世の中になっている。ネット上ではある意味サトラレが多く発生しているような感じもする。敵意も悪意も正直に聞こえてくるのはとても苦痛なことかもしれない。優しい嘘も存在するのも事実だし、自分の気持ちが外に漏れ出さないことは大切なことなのかもしれない。

ただ、私が考えていることは他の人にはたいしたことではないかもしれない気もしている。自意識過剰なのかもしれないという気もするのである。

サトラレが現実にいなくてよかったと思うが、嘘をつけない正直者の存在が社会にとって有益なのかもしれないとも思うこともある。
政治家が嘘をつけない人がやったらどれだけクリーンな政治になるだろうと思う。

第一部ではその様子が途中まで描かれている。市議会議員に当選している。
サトラレneoでは、物語が途中で終わっている。作者はもうサトラレの物語を描かないのかなと思う。
面白かったので、ぜひ続編を描いてほしいものである。

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