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「未来日記はラブレター?夫がこっそり書いた物語」 #14

未来を想像するって、案外エネルギーがいる。
まして、それを物語にして誰かに贈るなんて。
昨夜、私の夫が、ある女性にそっと手渡したのは——彼女の「未来」を描いた物語でした。

6月上旬(雨降りの翌日。晴れ、風は心地よくて少しだけ緊張の匂い)

今日はちょっと特別な日。いや、正確には昨日の晩が特別だったんだけど。
夫がずっとコツコツと書いていた「未来日記風の小説」を、ついに壮行会で手渡したのだ。しかも、その主人公は、山小屋で働くことになった元同僚の女性。
……いやもう、ね。いろいろツッコミどころが多すぎて。

まず、「勝手に人の未来を小説にする」っていう、その発想がスゴイ。しかもchatGPTと何度も書き直しながらって。
途中で「ラブレターを推敲してるみたいだよ〜」とか言ってたけど、いや、ほんとにそう。どこかキラキラしてて、こっちがむず痒くなるくらいだった。
「ラブレターは朝読み返しちゃダメだって、先生が言ってたなぁ」って、なにその甘酸っぱい青春回想。こっちは普通に洗濯物干してるっていうのに。

で、いざ完成したとなったら、今度は「渡すの怖い…怒られるかも…」とビビり始める始末。
そもそも、そんなに悩むなら書かなきゃよかったのでは?と、思わず心の中でツッコミを入れる私。
でもまあ、「データじゃなく紙で渡す」「万が一キレられたら、冗談ですって回収する」という保険のかけ方は、さすが長年のサラリーマン経験の賜物というか、小心者の慎重派というか…。

それでも当日の飲み会、緊張で変な笑顔になってる夫を見て、私もなんだかそわそわした。
そっと見ていたら、彼女が小説を読みながらクスッと笑った。
夫の背中がスッと軽くなるのがわかった気がして、なんか、こっちまでホッとした。
そして、「山小屋に持って行くね」とまで言ってもらえて…よかったね、本当に。

たぶん、あの瞬間、夫は世界一安心した小説家だったと思う。

それにしても、小説って難しいんだね。
書くって、想像力と覚悟がいるのだと、あの背中を見て知った。
でも、きっと書いた本人が一番、救われたのかもしれない。

「特定の誰かに送る未来日記」。
それはもしかしたら、書いた本人が一番、未来を信じたかったのかも。

さて、次はどんな物語を背負って帰ってくるのかしら。
コーヒーでも淹れて、静かに待ってみようと思う。


おまけ:小説のあらすじ
かつてITベンチャーで活躍していた桃江(仮名)は、親会社への吸収合併を機に「このままでいいのか」と迷いを抱えていた。そんな彼女が心機一転で選んだのは、北アルプスの山小屋での半年間のアルバイト生活。

都会の喧騒から離れ、標高2,400メートルの山の上で始まった日々は、体力的にも精神的にも決して楽ではなかった。登山客とのトラブル、スタッフ同士の衝突、涙する後輩。そして、自ら出向いた雷雨の中の救助——。

それでも桃江は、自然の中で汗を流しながら働く日々の中で、忘れていた感覚や、仲間と協力し合うことの尊さを思い出していく。やがて彼女は、都会で失いかけていた「また何かに挑戦したい」という前向きな気持ちを取り戻していく。

これは、誰にでも訪れる“迷いの季節”に、小さな一歩を踏み出したひとりの女性の、静かで力強い再生の物語である。


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