【優待クロス2年4回実証】小林製薬(4967)で自社製品詰め合わせ¥20,000を取り続けた話——紅麹問題後の株主との向き合い方
これまで優待クロス記事シリーズで、家電・通信・食事・旅・カラオケ・ドラッグストアなど、様々なテーマの優待を取り上げてきました。
今回は、「日用品・ヘルスケアの革新企業」として独自のポジションを持つ小林製薬株式会社(証券コード:4967)を取り上げます。「熱さまシート」「ブルーレット」「サワデー」「ナイシトール」などのヒット商品で知られ、「あったらいいなをカタチにする」のスローガン通り、ニッチ市場を開拓する独自のビジネスモデルを持つ企業です。
私はこの銘柄で2年間・4回のクロス取引を実施しています。2024年3月の紅麹コレステヘルプ事件を経て、企業の信頼回復への取り組みも見守りながら、実取引データを公開します。
1. 小林製薬という企業:「ニッチ商品の魔術師」
小林製薬は、1886年(明治19年)創業の老舗医薬品メーカーです。本社は大阪市にあり、東証プライム市場に上場しています。
事業の柱
【医薬品・健康食品】
鎮痛剤、目薬、胃腸薬、栄養ドリンクなどの一般用医薬品
ナイシトール、糸ようじ、ケアハートなど
【家庭用品】
芳香消臭剤(サワデー、消臭元)
トイレ用品(ブルーレット、サニーピア)
暑さ・寒さ対策グッズ(熱さまシート、桐灰カイロ)
【スキンケア・ヘアケア】
ニッチ市場向けスキンケア商品
自社通信販売による直販体制
【海外事業】
アジア・米国を中心とした海外展開
特に中国・東南アジアでの売上拡大
「あったらいいな」のビジネスモデル
小林製薬の最大の特徴は、「大手が手を出さないニッチ市場を狙う」戦略です。例えば:
「熱さまシート」:おでこに貼る冷却シートという発想自体が新しかった
「ブルーレット」:トイレタンクに置くだけの自動洗浄
「ナイシトール」:内臓脂肪減少薬という新カテゴリ
「あせワキパット」:脇汗対策の貼るシート
ユニークなネーミング・マーケティング戦略で、「あったらいいな」を商品化し続けてきました。26期連続増配という記録も、安定したビジネスモデルの証です。
2. 2024年3月の紅麹問題と企業の試練
ここで触れざるを得ないのが、2024年3月に発覚した「紅麹コレステヘルプ事件」です。
事件の概要
小林製薬の紅麹サプリメント「紅麹コレステヘルプ」を摂取した方々に健康被害(腎臓疾患など)が発生
後に「プベルル酸」という不純物が原因の可能性が指摘される
被害者は数百人規模、死亡例も含まれる深刻な事態に発展
企業の対応
該当製品の自主回収・販売停止
被害者への補償
創業家経営からの転換(外部人材の起用)
製造プロセス・品質管理体制の根本的見直し
株価への影響
紅麹問題発覚前は¥6,000台で推移していた株価が、事件発覚後は¥4,000台まで急落しました。私が初めて小林製薬のクロス取引を実施したのは2024年6月——まさに事件後の混乱期に、「優待は維持されるのか」「信用支払は払えるのか」を確認した上で、慎重に取り組みを始めました。
ここで重要なのは、株主優待制度は事件後も維持されているという事実です。企業として、株主への還元姿勢を貫く意思を示してきました。
3. 小林製薬の優待制度:「あったらいいな」を株主にも
小林製薬の株主優待は、自社製品の詰め合わせを中心とした実用的な制度です。
【100株保有時】
5,000円相当の自社製品詰め合わせセットを年2回(6月末・12月末)受領
年間合計¥10,000相当
複数のセット(消臭剤中心、ヘルスケア中心、女性向けなど)から選択可
寄付(社会貢献団体)への切替も可能
【追加特典(全株主対象)】
自社通信販売製品の10%割引(期間限定)
【長期保有優遇(12月末のみ)】
300株以上 × 3年以上保有:「復興支援 選べるギフト」を追加進呈
全国の魅力ある特産品から選択可能
【継続保有要件なし】
100株優待は短期保有でもOK
クロス取引でも優待が確実に取得できる
届く商品の例
私が実際に受け取った詰め合わせの内容(一例):
熱さまシート(複数サイズ)
ブルーレット スタンピー
サワデー 詰替用
アイボン(目薬)
ケアハート(絆創膏)
アンメルツ(鎮痛消炎剤)
健康サプリメント など
「家庭の常備品が一気に揃う」という実用性が、小林製薬優待の最大の魅力です。
4. 私の戦略:純粋クロス取引のみ
私の小林製薬への取り組みは、長期保有なし・純粋クロスのみというシンプルなスタイルです。
なぜ長期保有しないのか?
3つの理由があります。
① 紅麹問題後の業績不透明感 2024年の事件以降、業績への影響が完全には見えていない状況。長期保有のリスクが従来より高いと判断しました。
② 株価のボラティリティ 事件前後で株価が大きく変動(¥6,000台→¥4,000台→¥5,500台で推移)。安定した値動きを期待しづらい銘柄になっています。
③ 優待の取得方法としては純粋クロスで十分 継続保有要件がないため、毎期クロスするだけで¥5,000の優待が確実に取得できる。長期保有しなくても、株主としての恩恵は十分受けられる戦略です。
5. 4回のクロス取引データ(2024年6月〜2025年12月)
私が実施した4回のクロス取引のデータです。
▼ 1回目:2024年6月末(中間)
クロス株数:100株
建値:¥5,667(取引総額¥566,738)
備考:紅麹問題後の初取引
▼ 2回目:2024年12月末(期末)
クロス株数:100株
建値:推定¥5,500前後
▼ 3回目:2025年6月末(中間)
クロス株数:100株
建値:¥5,472(取引総額¥547,237)
▼ 4回目:2025年12月末(期末)
クロス株数:100株
建値:推定¥5,300前後
注目すべき点
① 紅麹問題後の安定推移 事件直後の急落(¥4,000台)から、株価は徐々に¥5,000台に回復。「過剰反応からの修正局面」で、慎重派の私もエントリーしやすい水準でした。
② 1株あたりの建値が高い 1株¥5,000〜¥6,000台。100株でも約¥55万円の取引総額が必要なため、他の銘柄と比べて初期キャッシュ要件が大きい点には注意が必要です。
③ 26期連続増配の信頼性 業績は紅麹問題で打撃を受けましたが、配当方針は維持。中間43円→44円、期末60円継続と、株主還元姿勢が保たれています。
6. キャッシュフロー詳細:再現される「ほぼゼロ」
4回分のキャッシュフローを見てみましょう。
▼ 24年6月期 中間 現物配当 +¥3,427 / 信用支払 -¥4,300
▼ 24年12月期 期末(推定) 現物配当 +¥4,781 / 信用支払 -¥6,000
▼ 25年6月期 中間 現物配当 +¥3,507 / 信用支払 -¥4,400
▼ 25年12月期 期末(推定) 現物配当 +¥4,781 / 信用支払 -¥6,000
▼ 合計
現物配当合計:+¥16,496
信用支払合計:-¥20,700
シリーズで何度も登場した「税還付で配当差額がほぼ相殺」構造が再現されています。
¥16,496 - ¥20,700 + ¥4,205(税還付推定)= +¥1
2年間のキャッシュ収支がわずか¥1。配当が大きい銘柄でも、信用支払と税還付の関係でほぼゼロコストを実現できます。
真のトータル収支
現物配当(2年合計):+¥16,496
信用支払(2年合計):-¥20,700
税還付(推定):+¥4,205
キャッシュ収支:+¥1
優待4回獲得(¥5,000 × 4回):+¥20,000
実質トータル収支:+¥20,001
つまり、2年間でほぼコストゼロで¥20,000相当の自社製品詰め合わせを獲得。1回あたり¥5,000相当の優待は、生活必需品を一気に補充できる実用的価値の高さが魅力です。
7. 小林製薬優待を「使い切る」コツ
私が受け取った4回分の優待品は、すべて家庭で活用しています。具体的なシーンを共有します。
【トイレ・水回り】消臭・洗浄グッズ ブルーレット、サワデー、消臭元などの定番商品。毎月使う消耗品なので、優待品で家計の生活費を節約。
【家庭の常備薬】医薬品ストック 熱さまシート、アイボン、ケアハート、アンメルツなど。「いざという時のために常備しておく」家庭医薬品が一気に揃います。
【季節商品】冷却・暖房グッズ 夏は熱さまシート、冬は桐灰カイロ。季節の必需品を優待で賄えるのは家計に優しい。
【贈答用】親への手土産にも 熱さまシート系の商品は、子育て中の親戚への手土産として喜ばれます。「これ便利だよね」という会話のきっかけにも。
【サプリメント】健康管理 ナイシトールなどのサプリメントも詰め合わせに含まれることがあり、日々の健康管理をサポートしてくれます。
8. 注意点:小林製薬優待クロスの落とし穴
完璧に見える戦略ですが、注意点もあります。
① 紅麹問題の長期的影響 2024年の事件は、ブランドイメージへの長期的なダメージを残しています。業績回復には数年かかる可能性があり、優待制度自体も将来見直される可能性はゼロではありません。
② クロスコストが他銘柄より高い 1株¥5,000台の銘柄なので、100株でも約¥55万円の取引総額が必要。複数銘柄でクロスする場合、信用余力の管理が重要になります。
③ 12月末の期末配当が大きい 中間配当43〜44円に対し、期末配当は60円と大きめ。12月末クロス時の信用支払額(¥6,000)が他の権利月より大きいため、税還付の計算も意識する必要があります。
④ 詰め合わせ内容は選べるが限定的 優待品は複数セットから選択できますが、個別商品を自由に選ぶことはできません。詰め合わせを使い切る前提で利用する必要があります。
⑤ 業績への警戒は継続 紅麹問題以外にも、海外事業の不調、競合品の台頭など、業績への懸念材料は残っています。長期保有を考える場合は慎重な判断が必要。
9. シリーズ内での位置づけ:「ヘルスケア銘柄」のユニークさ
ここで、これまでのヘルスケア・日用品優待銘柄との比較をしてみます。
【ドラッグストア】
3088 マツキヨココカラ:セミクロス、実質+¥14,002(ポイント)
【医薬品・日用品メーカー】
4967 小林製薬(本記事):純粋クロス、実質+¥20,001(自社製品詰め合わせ)
【純粋長期保有】
2267 ヤクルト本社:純粋長期保有、実質+¥18,230(自社製品+α)
小林製薬は、「ドラッグストアでよく見る商品を作っている企業」として、マツキヨココカラと相補的な関係にあります。
マツキヨココカラ優待:好きな商品を「ポイントで買える」
小林製薬優待:自社商品が「一括で届く」
両方を持つことで、「日用品消費の二重カバー」ができる構成が完成します。
10. 紅麹問題から学ぶ「企業との向き合い方」
最後に、紅麹問題を通じて感じた「投資家としての教訓」を共有します。
① 不祥事直後の銘柄は慎重に 私が最初のクロスを行ったのは事件発覚から3ヶ月後。初期の混乱期を避け、ある程度状況が落ち着いてから取り組み始めました。
② 「優待は維持される」確認の重要性 不祥事のあった企業では、コスト削減の一環で優待が縮小・廃止されるケースもあります。私は事前に「優待制度に変更なし」を確認してからエントリー。
③ 長期保有vsクロスの判断 将来の業績不透明な企業では、長期保有を避けてクロス取引のみで関わるという戦略が有効。私もこの判断をしました。
④ 26期連続増配の信頼 紅麹問題があっても、配当方針は維持・小幅増配を継続。これは経営陣の株主還元への意思の現れであり、信頼の根拠になっています。
⑤ 企業の再生を見守る視点 クロス取引は短期的な関わりですが、毎期繰り返す中で「企業の回復過程を観察できる」という側面もあります。投資家として、企業の試練と再生を見守るのも意義のある体験です。
11. 結びに:「あったらいいな」を株主としても享受
小林製薬は、「あったらいいな」をカタチにし続けてきた企業です。
私たちの生活に欠かせない熱さまシート、ブルーレット、サワデー——これらは小林製薬が作り出したヒット商品です。そして株主優待は、そんな「あったらいいな商品」が自宅に届くという、企業との特別な関係性を象徴しています。
2024年の紅麹問題は、企業にとって大きな試練でした。しかし:
株主優待制度は維持された
26期連続増配は途切れていない
経営の刷新により再生への道筋がついた
自社製品の品質保証体制が強化された
「試練を経て、より強くなる企業」——その過程を、株主として(あるいはクロス取引派として)見守るのも、優待投資の醍醐味かもしれません。
私はこれからも、小林製薬のクロス取引を継続し、年¥10,000相当の自社製品で家計を助けてもらいながら、「企業の再生ストーリー」を見届けていく予定です。
📚 シリーズ記事のご紹介
このnoteは「実取引データで検証する優待・配当戦略」をテーマにしたシリーズです。
💊 ヘルスケア・日用品(本記事カテゴリ)
4967 小林製薬:本記事
3088 マツキヨココカラ:4.5年7回クロスでドラッグストアポイント¥14,000を獲得
🛒 買い物で活用する優待(小売系)
9831 ヤマダHD:4年間の優待クロスで家電割引券¥40,000を獲得
7419 ノジマ:4.5年・6回クロスで家電割引¥30,000を獲得
7532 パンパシフィック(ドン・キホーテ):8回連続クロスでmajicaポイント¥16,000を獲得
🎤 エンタメ×食事を楽しむ優待
7458 第一興商:4年8回のクロスでビッグエコー優待¥40,000を獲得
2702 日本マクドナルドHD:セミクロス戦略で食事券¥105,000相当を獲得
3197 すかいらーくHD:コロナ無配からの復配ストーリー、食事券¥85,000相当を獲得
🚆 旅・移動を彩る優待
9041 近鉄グループHD:招待乗車券で関西を旅する、実質+¥60,001
📱 通信費を浮かせる優待
4755 楽天グループ:モバイル30GB/月を年36,000円分タダで使う
🥛 純粋長期保有
2267 ヤクルト本社:配当+優待+スワローズFCの三重価値
💰 高配当ETF・銘柄シリーズ
2865 NASDAQ100カバードコールETF:累計¥367,647の分配金
2868 S&P500カバードコールETF:累計¥179,555の分配金
2866 米国優先証券ETF:累計¥85,076の分配金
1489 日経平均高配当株50ETF:年4回分配で累計¥33,074
8316 三井住友FG:6期連続増配の安定株主還元
※本記事は個人の運用実績・感想であり、特定銘柄の購入や取引手法を推奨するものではありません。優待制度は変更される可能性があります。一部の取引データは推定値を含みます。信用取引はリスクを伴います。投資はご自身の判断と責任でお願いいたします。

