なぜ松山はJR中心の街にならなかったのか
はじめに
おらが街、松山。
隣町で生まれ、就職で松山に来てから早○年。
長く住んでいると、さすがに気づく事実がある。
JR松山駅周辺、なんもない。


観光客「へえ~これが県庁所在地の駅前か~(放心)」
そうでもあり、ちがうともいえる。
なぜなら、松山市で最も栄えている場所はJR松山駅前ではなく
伊予鉄松山市駅前なのである。
高島屋と隣接し、大きな賑わいのある商店街(銀天街~大街道)にも歩いて行ける。
路面電車やバスがひっきりなしに発着し、人の流れが集まっている。

観光客「あ、そういうことね(安心)」
ここまでが初めて松山市を訪れる観光客のテンプレートな感想である。
名古屋駅、広島駅、仙台駅。
だいたいそこが街の心臓部である。
しかし松山では違う。
なぜ松山では
「松山駅」より「松山市駅」が中心なのか。
この謎を解明すべく、我々はアマゾンの奥地に向かった。
「松山駅」より「松山市駅」のほうが中心に感じる理由
松山に住み始めた人が、だいたい一度は感じて忘れていく違和感がある。
「松山駅」より
「松山市駅」の方が中心じゃないか?
JR松山駅の周りは、控えめに言って寂れている。
去年から旧駅舎の建替えや高架化など再開発が進んでいるが、進んでいるとは言えない。どっちだ。
一方で松山市駅。
高島屋があり、銀天街があり、
大街道にも歩いて行ける。
路面電車が行き交い、
人の流れもこちらに集まっている。
つまり松山では
JR駅 ≠ 都市中心
という、少し珍しい構造になっている。
多くの地方都市では、JRが街の軸になる
日本の地方都市の多くは、JR(旧国鉄)の駅を中心に発展している。
昔の国鉄は、日本全国の交通の主役だった。
人も物もまず鉄道で来る。
だから自然と駅前に店が集まる。
銀行、ホテル、デパート、商店街。
やがて市役所やオフィスまで集まる。
こうして
「駅前=街の中心」
という構図ができる。
広島、岡山、仙台、鹿児島。
このあたりはだいたい同じ構造だ。
しかし松山ではそうならなかった。
JR松山駅周辺にあるのはキスケのみ。もうJRキスケ駅と言ってもいい。
松山では、伊予鉄が先に「生活」を押さえた
松山の都市構造を理解する上で重要なのが
伊予鉄道
である。
実は伊予鉄は、日本でもかなり古い私鉄である。
1887年(明治20年)開業。
日本最古級の私鉄の一つだ。
つまり松山では、
JRより前から鉄道が走っていた
※JR松山駅の開業は1927年
こともあり、今さらJRがそこに割って入れる街構造では無かった。

さらに伊予鉄は
郊外鉄道
路面電車
バス
を組み合わせて、
松山の生活交通をほぼカバーしていった。



そして街の中心に作られたターミナルが
松山市駅。
つまり松山では
JRが街を作ったのではなく
伊予鉄が街の動線を作ったのである。
伊予鉄は、単なる交通会社ではない
伊予鉄の面白いところは、
交通会社にとどまらない点だ。
例えば
いよてつ高島屋
バス
タクシー
不動産
観光
つまり
街の生活インフラのかなりの部分を担っている。
私鉄が街を形成したという点では
東急(自由が丘)
西武(所沢)
阪急(西宮北口)
といった
都市型私鉄に近い。
地方都市でありながら、
松山は私鉄中心都市なのである。
そう、我々は伊予鉄経済圏で生きている。
△伊予鉄が強い 〇松山がそういう街だった
ここまで見ると
「伊予鉄がやりたい放題して作った街」
という感想を持つもしれない。
もちろんお役所と協力しながらやっているし、
そもそも松山という街が
コンパクトで
生活圏がまとまっていて
路面電車で十分回れる
そういう都市だったから、
私鉄でも都市をカバーできた
JRが中心にならなくても困らない
という構造が成立した。
つまり、
松山という街が、そういう形に合っていた
という話である。
そして…JR松山駅は今
とはいえ、JR松山駅がこのまま虚無の代名詞みたいな駅であり続けるわけではない。

冒頭でも気持ちだけ触れたが、現在JR松山駅周辺では
駅の高架化と再開発
が進んでいる。
駅舎は新しくなり、
駅前広場も整備され、
街の入口としての機能が強化されつつある。
つまりJR松山駅は今
「通過する駅」から
「街の入口」へ
変わろうとしている。
なおその進捗たるや
おわりに
日本の地方都市はだいたい
JR駅
↓
駅前商店街
↓
郊外ショッピングモール
こんな構造になる。
しかし松山は違った。
JR駅ではなく
私鉄ターミナルが街の中心。
その結果、松山には
独特の街のサイズ感がある。
近すぎる繁華街
多すぎる焼き鳥屋
路面電車
少し行けば道後温泉
全てがコンパクトにまとまっている。
それ故に、都市部の人よりは歩かないが
他の地方都市と比べると比較的歩く街。
それが松山という街だ。
JR松山駅に降りた観光客は
目の前に広がる荒涼な大地を見て
「エラい所に来てしまった…」
と思うだろう。
だが安心してほしい。
なぜなら松山の中心は
そこからもう少し先にあるからだ。
近くて遠い絶妙な位置に。
続く。
