コンクリート博士の記憶 旧一関町役場庁舎レリーフ いわて歴史的建造物巡り30
突然ですが、皆さんは岩手県一関市出身の工学士・阿部美樹志をご存知でしょうか。
日本の鉄筋コンクリート工学の開祖である彼は、コンクリート博士の名で親しまれていました。

一関文化センターの駐車場一角には阿部美樹志を顕彰する碑が建立されています。

顕彰碑の隣には阿部が設計した旧一関町役場庁舎壁面に掲げられていたレリーフもモニュメントとして保存されています。

旧一関町役場庁舎は昭和7(1932)年に建築された鉄筋コンクリート造の建物でした。
市制に移行してからも現庁舎が完成し機能移転するまで使われ、昭和55(1980)年に解体されました。

説明板では旧一関市役所庁舎と書かれています。

レリーフ内のモザイクタイルは鳳凰らしき鳥をモチーフとした図柄となっています。
旧庁舎は現在の一関郵便局にありましたが、解体後に移設されたのでしょう。

阿部美樹志は明治16(1883)年に一関で生まれ、札幌農学校土木工学科、海外留学を経て日本に戻ってきました。

大正9(1920)年に「鉄筋混凝土緊定桓構の理論及其実験に関する研究」で工学博士の学位を取得したことにより、コンクリート博士と呼ばれる様になりました。
また、同年に設計を手がけた東京・万世橋間の高架鉄道が完成し、日本最初の鉄筋コンクリート高架鉄道の設計者となりました。
東京都内には今も複数の建築作品が現存しています。
一関市内でも阿部美樹志が設計した建造物は大手橋を始めいくつか存在しましたが、いずれも現存していません。
現在、一関文化センターが建つ同地にもかつて旧一関小学校講堂がありました。

レリーフのみですが、唯一故郷に現存する作品です。お近くを訪れた際には記念碑にも足を運んでみてはいかがでしょうか。
【建造物DATA】
名称:旧一関町役場庁舎
年代:昭和7(1932)年建築
昭和55(1980)年解体
住所:一関文化センター
〒021-0884 岩手県一関市大手町2−16
