おっとりさんの仮面をそろそろ外すことにした
Amazonをあてどなくさまよっていたら、気になる表紙の本に出くわした。
タイトルは、
「今日も演じてます ありふれた『日常の演技』をめぐる8人のリアルストーリー」(月と文社)
著者が各人のnoteの文章を読んでコンタクトをとり、人生におけるあらゆる場面や対人関係においてどのように「演じる」ことで生きているのかという切り口でインタビューを行ってまとめた本とのこと。
なにそれ、面白そう~ということで、即座に購入した。
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登場するのは以下の8人。
「陰キャ」を演じる……するめ
(20歳・技術職)
「良き母」を演じる……ゆきんこ
(53歳・倉庫のパート勤務)
「サラリーマン」を演じる……麦畑
(38歳・一般企業勤務)
「大人」を演じる……みゆき
(41歳・営業会社勤務)
「アイドル」を演じる……マサト
(46歳・プロレスラー)
「できる人」を演じる……真由子
(30代後半・事務職)
「道化」を演じる……ユウスケ
(30歳・フリーランス編集者)
「普通」を演じる……yariko
(45歳・事務職)
さまざまな年代、職業の人たちが日々どんなふうに演じていて、それが人生にいかなる影響を与えているかを語っている。
皆さんやはりnoteで日々文章を書いているからか、話し言葉での言語化も非常に上手く、ぐいぐい読ませる力があった。
本来の自分とは違う(と思われる)自分を演じるというのは、一見したところ、他者に対して取り繕っているような、あまりよろしくないことのように見られるふしもある。
「ありのままの自分」でいることが正しいようにも思える。
だが実際のところ、人生はそれほど単純ではない。
演じることは生きていく上で必要不可欠だったりもする。
「いろんな演技で自分の身を守っているような状態ですね。演じるときの自分は、私、僕、俺という人称を使い分けていて、演技という硬い殻で、柔らかい自分を守っているような。外敵というか激しい外の世界から身を守るために、演技でキャラクターを立ち上げて、柔らかい自分を包んでいるような感覚かなと」
「演じる」ことはこの残酷で厄介な世の中を生き抜いていくための生存戦略の1つであることを痛感させられる言葉だ。
最終章「『普通』を演じる」のyarikoさんの言葉も非常に深い。
宗教二世として自分を押し殺しながら育ち、夫との関係性についても複雑な思いを抱えてきた中で、これから別の方向へと人生の舵を切ろうとしている方である。
「演じるも演じないも自分の意志で選択して生きていきたいなってすごく思ってて。(中略)
演じている自分も演じてない自分も、そのどちらも紛れもなく私なんですよね。演じてきたからこそ、本当の私もここまで生きてこられた。ようやくそんな自分をまるごと愛してあげなきゃと思えるようになってきたのかもしれません。誰かのために演じる日があってもいいけど、これからはなるべく自分のために、こういう私でいたいなと思えるほうを、自分の意志で選んでいきたいです」
「演じるも演じないも自分の意志で選択して生きていく」
今後の私にとっても切実なテーマになりそうだ。
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ということで、私がまず決めたのは、「おっとりさん」を演じるのをやめることである。
「おっとりさん」を演じている舞台は職場である。
その主な理由は2つ。
①会社員として無能なので、ひけめがあって強気に出られないから。
②どもるから。
①に関しては完全に自己責任やないかい!という感じではある。
とはいえ、幼少期に発症した吃音が原因で、30歳近くまでアルバイトさえする勇気もなく、他の社員たちのように20代で社会人経験を積めなかったという事情もある。
そんな中で50歳の今、なんとかかんとか働いている状態。
②については、理不尽なことを言われた際に強気に出てどもりながら言い返しても、相手は鬼の首を取ったかのように私のどもる姿を笑うだろう。
最初から負けることがわかっている戦いに挑むのは不毛なので、おとなしく過ごしてきた。
さらには「おっとりさん」をことさら演じなくても、どもらないようにゆっくりめに話す私を見て、「おっとりしてるよね~」「ピュアだよね~」と揶揄されてしまうという現実もある。
ビジネスの現場では、話し方でジャッジされ、値踏みされる。
吃音があるということは、仕事をしていく上でそれはそれは悔しいことばかり。
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そんなこんなで長年にわたり「おっとりさん」を演じることで、極力波風を立てず、攻撃されないようにと、おとなしくニコニコと振舞ってきた。
だからこそこれまでなんとか働いてこれたという面もあるが、それと同時に、都合よく利用される存在になってしまったという現実もある。
そんな状況が最近嫌でたまらなくなってきたので、この先の人生を考えて、ここらで軌道修正に踏み切ることにした。
そのファーストステップとして、舐めたことを言ってくる人に対してヘラヘラせず、真顔で無言でじっと相手の目を凝視することから始めてみる。
その次のステップとして、明らかに理不尽なことを要求されたら「それはできません」と穏やかにお断りする。
そんなことできるの~?と我ながら思うが、少しずつでも頑張っていかないと、この先の人生、他の社員の召使い役で終わってしまう。
私よ、それでいいのか?
よくないよね。
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「おっとりさん」をやめて毅然とし始めたら、「なんやエリンギ、最近感じ悪いな。年も年やし、何ができるってわけでもないし、肩たたきしてやっか」と、最近でいう「静かな解雇」を仕掛けられる可能性もゼロではない。
企業という場所は何が起こるかわからない。
要警戒ではあるが、それでもやはりこのままではいたくない。
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ちなみにこんなふうに「おっとりさんをやめたるでー」と息巻いているのは、最近「地面師たち」とか「孤狼の血」とか、ワルばっかり出てくるドラマや映画にはまって、気が大きくなってオラついているからでもある(笑)
「鬼龍院花子の生涯」の夏目雅子ばりに、「あんたら・・・舐めたらいかんぜよ!!」と叫びたい気分。
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50歳女が今さら「おっとりさん」の仮面を外せるのかどうか…。
ビクビクしながらも頑張ってみます。
