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インドの水

 シヴァ神を祀るラーマナータスワミー寺院を参拝するには、まず目の前に広がる海で沐浴して心身を清める。
 遠浅の砂浜は50メール進んでも腰まで届かない深さだ。
 膝折り肩まで浸かると、手に掬った水を頭や顔、胸へ何度も何度も自らに打つ。
 充分過ぎるほど繰り返したあと、「オームナマシヴァーヤ」の真言と共に、頭まで完全に海中に沈める。これを三回繰り返し心身が清まる。
 穏やかな早朝の海から浜辺に戻るとき、感極まりお互いの肩を抱きしめあう女性がいた。
 彼女たちは、このお清めで何かが祓われ、きっと新たな局面への光を感じたのかも知れない。

 そして、寺院に入る。

 ここには22の井戸があり、これらにはインド全土の有名な川や、聖地にちなんだ名前が付けられている。
 この全ての水を頭から浴びる事が、インド全土を巡礼するのと同様の効果が得られると、いわれている。
 頭から水を何度も浴びると、次第に身体が引き締まってくる。
 何か清々しい気持ちになる。
 「目の前の曇りが取れて、クッキリと未来が見えてきた」そんな感じだ。

 それにしても、インドの水の力は強い。

 迂闊に飲めば体調を崩す。

 しかし、祈りの時には、濁った心だけではなく、犯してしまった罪(カルマ・業)まで浄化する。

 それにちなんで、インドの実業家の言葉を思い出した。
「ガンジス川が汚染されて久しいが、ガンジスが汚いのではない。ガンジスを汚す人の心が汚いのだ」と。

 インドの人のみならず、世界中の人に当てはまる言葉だ。

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