除染土(除去土壌)の再生利用に関するFAQ
首相官邸に続き,霞が関で除染土の再生利用が始まったので話題になっています.
“除染土”に新たな動き…霞が関でスタート
膨大な土の量…中間貯蔵施設の今
【報道ステーション】(2025年9月16日)
また,長崎大の調査では除染土の再生利用“詳しい情報知りたい”が6割超とのことです.
NHKニュース
除染土の再生利用“詳しい情報知りたい”が6割超 長崎大の調査
2025年9月16日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250916/k10014923891000.html
引用:
“再生利用についてより詳しい情報を知りたいとする人が6割を超え、中でも、「健康」や「食べ物や水」、それに「環境」などへの影響の情報を希望していることがわかりました。”
そこで,以前にtwitterに投稿した除去土壌の再生利用に関するFAQをnoteに転載します.
もともとQ&Aで1ツイート140字に収めるために説明を短くした部分もあるので後日少しずつ加筆修正するかもしれません.
Q. 1 除染で出た土をまた他の場所に拡散するなんて!
A. 1
再生利用するのは,除染した土そのものではありません.除染土から異物を取り除き,濃度を確認して8000Bq/kg以下と確認されたものだけで,濃度の高いものは分けて保管されています.
Q. 2 「除染土」なんて,除染済みみたいでまぎらわしい
A. 2
除染土というと,除染で出た土をそのままとか,除染済みの土の様に誤解されるので,濃度を確認して再生利用しても影響がないレベルの土は「再生土」と呼んだ方が紛らわしくなくて良いですね.
Q. 3 濃度が低いとは言うけれど,8000Bq/kgもあるのでは?
A. 3
8000という数字は大きく見えますが,再利用にあたって土木作業者が一年間作業に従事しても0.93mSvと公衆の被ばく限度1mSv以下なうえ, 工事完了後は盛土中央の利用者の追加被ばく線量は子供でも0.15mSv/年(覆土厚20cmの場合)です.
Q. 4 家のすぐ横で再生利用されるのは不安です.
A. 4
盛土の法面から1mのすぐ近くに住んでいるとして,工事中に子供で年間0.21mSv,工事後では年間0.022mSvと,いずれも1mSvを大きく下回っています. 1m横に住んでいてこれなので,少し離れれば実際には影響は全くないと考えて大丈夫でしょう.
Q. 5 粉塵が飛んで来て内部被ばくするのが心配
A. 5
粉塵が飛んでくることによる影響はすぐ横に住んでいても工事中で1年間で0.00061mSvなので,全く影響がないといってよいレベルになります.
Q. 6 工事後に盛土の上を人が人が行き来するような場所で使うと聞いて心配
A. 6
工事後は盛土が20㎝の場合で大人で年間0.12mSv,子供でも0.15mSvと1mSvより小さくなります.それに,1年間ずっとその上に居るという事はないですよね.
Q. 7 公園になったらいつもそこで子供が遊ぶし,年間0.15mSvでも気になる
A. 7
覆土が30cmになれば子供でも年間0.039mSvまで下がります.いつも人が集まり,滞在時間がすごく長い場所(公園など)はそういう対策を要望してもよいかもしれません. でも道路ならそこまでする必要はないかなと思います.
Q. 8 盛土の上の覆土が災害などで流されてなくなってしまったら被曝するのでは?
A. 8 覆土が全部流れるという最悪の想定で,さらに復旧に1年間かかった場合でも,1mの距離に住んでいる人の追加被ばく線量は子どもで0.97mSv/年になります. 1mSv以下ですが,はやく直してもらいましょう.
Q. 9 100Bq/kgを超えたら放射性廃棄物と聞きました.
A. 9 100Bq/kgは利用になんの制限もかからず,全く追跡管理しなくて良いものの基準です(一般食品の数値と同じですね). でも,全く普通のものとして扱ったり,ましてや食べたりはせず,適正な管理をする条件なので8000Bq/kgと別の基準で考えます.
Q. 10 福島からわざわざ持ってこなくて良いのでは?
A. 10
今,除染後の土を一時的に置かせてもらっている大熊町,双葉町の中間貯蔵施設をつくるにあたり,その地の人が先祖代々暮らしてきた土地を借りて使っています.土をそのままに,というのは,その人たちだけに負担を押し付けることになります.
Q. 11 福島県で出た土だから福島県に置いておく方が良いのでは?
A. 11
事故を起こしたのは「東京電力」福島第一原子力発電所です. 東電管内の人はそこで作っていた電気を使っていました.自分事として考え,痛みをわかちあって欲しい,という大熊町,双葉町の人の気持ちも考えたいですね.
Q. 12 福島県で使わないものを持ってくるの?
A. 12
福島県内でも実証事業を最初にやっていますし,(苦渋の決断として)双葉町町長も再生土受入れを検討しています. 福島県内でも利用するとしても,福島県だけに押し付けておけばよい,と言うのはあまりに地元への配慮がないのではないでしょうか.
Q. 13 再生土(除染土)が埋められたところの上では線量が上がるのではないかと心配です.
A. 13 20㎝と一番薄い覆土条件でも維持管理中は1000時間の利用で(年)0.15mSvなので,空間線量率は0.15μSv/h上がる計算です. 自然放射線の日本の地域偏差はそれより大きいので影響は無視できる程度です.
Q. 14 もっと放射性物質濃度が高い処理土をこっそり持ってきて線量が上がらないか心配
A. 14
A13にあるように,計画通りならわずかにしか空間線量率は上がりません. 万一,住民が線量測定をして数値が大きく上がっていれば専門家に精密測定してもらいましょう.異常は線量計で容易に発見できます.
Q. 15 地下水に放射性セシウムが溶け出さないの?
A. 15
今,放射線を出しているのはセシウム137ですが,セシウムは粘土に非常に強く吸着される性質があります.そのため,地下深くに浸透することはありませんし(基本的に移動しない),水が汚染される心配もありません(それを裏付ける実証実験結果もあります).
Q. まだ聞きたいことがあるのだけど/疑問は解消してないのだけど
A.
この下にある,「情報源」を参照してみてください.
また,twitter (X) の@clear_wt に質問をしてもらえるとお答えできるかもしれません.
https://x.com/clear_wt
Q & A中の数値等の情報源
Q & A中の数値等の情報源は以下になります.詳しく知りたい方は是非読んでください.
復興再生利用に係るガイドライン
(PDF) https://josen.env.go.jp/chukanchozou/facility/recycling/pdf/guidelines_reconstruction_and_reuse.pdf
除去土壌の再生利用に関する勉強会
(2025年6月7日開催)
除去土壌の再生利用概要: (PDF) https://drive.google.com/file/d/186lUlqZtTLjM2xE8AAIRYcMtCKg1n6qD/view?usp=sharing
再生利用の社会的な問題: (PDF) https://drive.google.com/file/d/1IIZH5VdpfaLOEI8wnW1RCWVm-wv09yd8/view?usp=sharing
youtubeビデオのまとめ(他の方の発表ビデオもあります):
https://x.com/clear_wt/status/1932688801010184415
その他
除染で出た土(除去土壌)の名称が適切に呼び分けられていないことで混乱が生じている面があるので,再生利用する土を「再生土」と呼び分けましょう,という呼びかけもしてます.
