それは、キャラメルじゃなかった話。 #なんのはなしですか
幼い頃の話。
庭の石にキャラメルがくっ付いていた。
それは、山吹色の箱で有名な、あのミルクキャラメルそっくりで、だら~んと伸びきっていた。
「キャラメルだ」
なぜそんなところに、キャラメルが落ちていたのか。もっと疑問に思うべきだった。
しかし、私は
「まあた、きみちゃんがこんなところにお菓子くっ付けてー。こらっ。」と叱られるのを恐れた。
当時の私は、お菓子をあちこちにくっ付けて回っていた。理由は自分にもさっぱり分からない。
50年近く経った今でも、緑色のガムが黒ずみ、白い壁にベッタリと付いたままになっている。
母は、わざと残したのだ。
大人になった私が、後悔することを期待して。
しかし、残念ながら、私は後悔することもなく、こうして意気揚々とnote に書き込んでいる始末だ。
とにかく、私は「このキャラメルは自分の仕業ではない」ということを、だれかに証明してもらおうと必死だった。
まず次姉を呼びに行った。
「なんかキャラメルがおちとる」
「え~?どこ」
そう言いながら優しい姉は、庭までついてきてくれた。ところが、どこを見渡してもキャラメルが無い。
「おかしいなあ」と不思議がる私に、
「むしさんが、食べたかな?」と姉。
とりあえず、そういうことにして家に入った。
しばらくして、やっぱり気になった私は、
もう一度、庭の石を見に行った。
すると、どうだろう。キャラメルがまた、だら~んと落ちているではないか。
「また、キャラメルだ!」
私は急いで姉を呼びに行った。
今度はしっかり者の長姉がついてきた。
「どこに、キャラメルだって?いい加減なこと言わないでよ。」
なんと、またキャラメルが無くなっているのだ。
なんでえ?
結局、怒られて泣きながら家に入った。
でも、やっぱり確かめたい。
いったい何が起きているのか。
こっそり一人で見に行った。
驚いたことに、またキャラメルが落ちていた。
しかし、今度のキャラメルは様子が違った。
よく見ると、キャラメルには
二つの眼が…あったのだ…。
私は確信した。
こいつは、宇宙人👽️だと。
眼があった瞬間
私は、全てを悟ったのだ。
当時の語彙力では「宇宙人」だが、
恐らくは地球外生命体のようなものだと感じていた。
このことを、家族に伝えるべきかどうか悩んだ。
伝えてしまったら家族もろとも🛸UFOで、どこかに連れていかれてしまう。
幼い私は、秘密を胸に秘め、
「家族を守る」ことを選択した。
何事も無かったかのように振る舞い、必死で宇宙人のことを忘れようと努めた。
しかし胸の奥には、あのキャラメルがのっぺりと、こびりついたままだった。いつか、また出会ってしまうのではないかと、密かにビクついていた。
その後、心配したことは何も起こらず、
宇宙人のことは次第に気にならなくなった。
☆
数年後、意外なところで再会を果たした。
中学校の理科の資料集に、ヤツは載っていた。
名前まで、ちゃんと付いていた。
「プラナリア」
なんとも、かわいらしい清楚な名前である。
勇気のあるかたは、検索を。
ただし、ヌルヌル、ヌメヌメ系が苦手な方は
閲覧注意。
御自身の判断で、どうぞ。
プラナリアは、切断部分から再生しクローンを作ることができる。さらに、生息している環境が悪化すると、雌雄同体の特徴を活かし自ら繁殖し、卵の状態で環境が改善するまで待ち子孫を残すらしい。そして、眼だけでなく脳を持ち、記憶が残るという説もあるとか。
なあんだ。
宇宙人じゃなかった。
ほっとするとともに、少し残念な気もした。
プラナリアは、
ただの生き物なのかもしれない。
でも、幼い私にとっては、
あれは間違いなく宇宙人だったのだ。
今でも、ときどき考える。
あの日、庭で出会った「キャラメル」宇宙人は、
未来から来た使者だったのかもしれないと。
そう…。
地球の記憶をDNAに刻み、
文明の進化ゆえに身体が退化した、
未来の人類。
言ってみればプラナリア人である。
プラナリア人は、私に問う。
キャラメルに間違われて、幼児にジロジロと観察されるのがいいか、二足歩行で腰痛と頭痛に悩まされるのがいいか。
プラナリア人は、宣う。
行く末は、
全てお前たちに託されているのだと。
コニシ木の子さま。
#なんのはなしですか
回収週に合わせて書きました!
ギリギリ間に合ったでしょうか?
回収よろしくお願いします😭✨
裏門まだ、開いてますように。
