映画『結局珈琲』感想
公開後、すごく面白いという評判を耳にして、観るのをずっと楽しみにしていた作品。
一度だけ、旧店舗の「こはぜ珈琲」に行ったことがあったため、映画の情報は知っていた。
仕事帰りのレイトショー
少し眠い目をこすりながらも
心を躍らせて映画館へ向かった。
結果、期待を遥かに超える面白さ。
というか、夜の映画館でツボにハマって
震えるほど笑った。
勝手に、
ほっこり系かな?
クスッと笑える感じかな?
と想像していたが、
家だったら間違いなくゲラゲラ笑っていたはず。
周りのお客さんの手前、
声を押し殺すのが必死なほど、
シュールな笑いが詰まっていた。
特に最高だったのが、
こはぜ珈琲の常連客である、
冴えない奴と冴えない奴(男二人組)の会話。
画はほとんど変わらないのに、
テンポが良いんだか悪いんだか分からない、
内容のない訳のわからない会話が
とにかく絶妙で。
ずっとくだらないのに、
なぜかすごく聞きたくなってしまう会話が
非常に面白かった。
中でも、東京タワーとレックウザのくだりが
めちゃくちゃ好きだった。
塚本のはちゃめちゃな理論に、
武田がキレキレのツッコミを入れる。
あのバランス、ずっと見ていられるな……。
この物語は、常連客の一人である
青木さん(藤原さくらさん)の視点で進む。
彼女はいつも1人で珈琲を飲み、
本を読んでいるけれど、
その隣にはいつもあの二人組がいる。
彼女は読書をしながらも、
二人の会話に耳を傾け、時には笑いを堪えながら自分の時間を過ごしている。
映画を観ている私も、
いつの間にか彼女と同じ視点で、
あの空間の一部になっているような感覚だった。
『1人になりたくて、なりたくない私たち』
このキャッチコピーに惹かれて劇場へ足を運んだが、実際に観てその意味がすとんと腑に落ちた。
1人で落ち着きたいけれど、
決して"独り"になりたいわけじゃない。
むしろ、誰かの気配や話し声が適度にあるからこそ、安心して1人でいられる。
カフェで過ごすのが好きな理由も、
そこにあるのかもしれない。
自分以外にも、
いつもの店員さん、常連客がいてこそ、
自分にとっての"いつもの場所"が
完成されているように感じた。
だからこそ、途中で二人組の片方が店に来なくなった時は、自分のことのように寂しさを感じた。
でも、旧店舗の最終日に常連客3人が(おそらく初めて)言葉を交わし、名前を名乗り合って新店舗へ向かっていく。
あの流れが、寂しさを温かい期待に変えてくれた気がする。
常連客同士って、顔は知っているけれど知り合いではない、不思議な関係。
青木さんは辞めてしまう店員の島田さんや他の常連客とはどういう関係性なのか明確にしようとしていたけど、作中で島田さんが放った
「スーパー他人」という言葉。
確かにそれ以上で以下でもないなと思った。
変に気を遣う必要がなく、
でもお互いの存在は認めている。
(武田は青木さんのことを認識していなかったが笑)
そんな距離感だからこそ、お店の居心地がいいんだろうな。
そんなことを考えていたら、こはぜ珈琲に行きたくなったので次の日に行ってきた。
実際の店舗も、映画に負けないくらい
素敵な場所だった。
店員さんはとても気さくで、
常連さんたちと楽しそうにお話しされている。
本当に愛されているお店なんだな、と。
1人のお客さんも多くて、
映画で見たそのままの雰囲気だなと思った。
新店舗は初めての訪問だったので少し緊張したが、コーヒーもホットサンドもめちゃくちゃ美味しくて、しかも安い……!!!(これ重要)
下北沢が近くだったら通い詰めたいくらい。
絶対にまた行こう。
コーヒーを自分で淹れる余裕もできたら、
豆も買いに行きたいな。
あの店員さん、
ひまわりみたいに明るくて素敵な人だったな。

