"あなたがいないと困る"だけで、職場を作りたくない
この記事は、現場を回すために、気づいたら自分が抱え込んでいた人に向けて書く。
「あなたがいないと困る」と言われることが、
どこかで嬉しかった人にも、読んでほしい。
正直に言う。
「あなたがいないと困る」と言われたかった時期がある。
その方が、自分が役に立っている気がした。
必要とされている気がした。
だから、仕事を周りに振らなかった。
自分で抱え込んだ。
「私がやった方が早い」
「私がいないと回らない」
そう思いながら、動いていた。
あるとき、こう言われた。
「それじゃ、後輩が育たない」
「もっと周りを巻き込んで」
頭では、わかっていた。
でも、どこかで手放せなかった。
「手放したら、自分の居場所がなくなる気がして」
それが本音だったと思う。
「あなたがいないと困る」は、褒め言葉として使われやすい。
でも、その言葉の裏側を考えてみてほしい。
「あなたがいないと困る」が続くということは、
あなたが休めないということだ。
有給が取りにくい。
体調が悪くても出てしまう。
プライベートより現場を優先してしまう。
それは、あなたへの負担だ。
そして、組織としても危うい。
一人に依存している現場は、
その人が抜けた瞬間に崩れる。
ここで、一つ考えてほしいことがある。
仕事には、カバーできる人がいる。
あなたが休んでも、誰かが患者さんを看る。
24時間、誰かが現場にいる。
それが病院という組織だ。
でも、プライベートの自分には、代わりがいない。
母であること。
誰かの大切なパートナーであること。
自分自身であること。
その役割は、誰も代わりに担えない。
仕事は、組織で支えられる。
でも、あなたの人生は、あなたにしか生きられない。
だから、現場が「誰かがいなくても支えられる形」であることは、
そのスタッフの人生を守ることでもある。
抱え込むのをやめようと思ったとき、
最初にやったことは小さなことだった。
信頼しているスタッフに、投げかけてみた。
「今、こんなことで困っているんだけど、どう思う?」
「これをやろうと思っているんだけど、一緒に考えてほしい」
最初は、うまくできなかった。
「自分で決めなきゃ」という気持ちが邪魔をした。
でも、スタッフは答えてくれた。
一緒に考えてくれた。
そうしたら、自分が考えつかないアイデアが出てきた。
「そんな方法があったか」と思った。
案外すんなり解決できることがあった。
考えるのが、もっと楽しくなった。
そして、その広がりが予想外だった。
最初に投げかけたスタッフから、また別のスタッフへ。
「これ、こうしたいんだけどどうしよう」と、
誰かが誰かに聞くようになった。
気づいたら、自分がいなくても、現場が動いていた。
正直
「案外回るんだな」と思った。
でも、いやな気はしなかった。
むしろ、よかったと思った。
これが、目指していた現場だったから。
「巻き込む」は、弱さじゃない。
「一緒に考える」は、頼ることじゃない。
チームで動くことが、現場を強くする。
目指したいのは、こういう職場だ。
誰かが休んでも、みんなで支えられる。
一人に負担が集中しない。
「あなたしかできない」より、「みんなでできる」が増えていく。
それは、スタッフ一人一人の人生を守ることでもある。
有給も使ってほしい。
休んでほしい。
プライベートを大切にしてほしい。
そのためには、誰かが抜けても回る現場をつくることが、
管理者の仕事だと思っている。
「あなたがいないと困る」は、嬉しい言葉だ。
でも、それだけで職場をつくりたくない。
「あなたがいなくても大丈夫」と言える現場があって、
初めて「あなたがいてくれてよかった」が生きてくる。
必要とされることと、抱え込むことは、違う。
"あなたしかできない"より、
"みんなで支えられる"を増やしたい。
次回は、「"働きやすさ"ではなく、"その人らしく生きられる職場"をつくりたい」を書く。
管理者としての葛藤と理想。
スタッフの人生を守りながら、現場を成立させるということを、具体的に。有料記事になります。
