見出し画像

【記者日記】万博工事費未払い問題·2件目の提訴·GL社の悪質さが露呈


                                                    かわすみかずみ


  8月22日、万博工事費の未払いを訴える業者が提訴の会見を行なった。訴状によれば、原告であるレゴ社は、セルビア館の建物全体とドイツ館の電気工事、換気装置や空調工事を行なった。どちらもGL Events Japan社(以下GL社)との契約で、工事費の未払い額は3億2千万円余りになる。レゴ社は未払い額の支払いを求めて東京地裁に訴状を提出した。

本社と現場が意思疎通できない


  レゴ社はもともと、別のパビリオンの工事を行っていた。複数のパビリオン関係者から依頼があり、GL社が国際的にも名の通った企業であることから、信頼して工事を請け負った。
   だが、工事が始まると、日本では考えられない事態が多数発生した。契約時に渡された図面と現場のGL職員が持っていた図面が違っていた。契約時の図面で資材を発注していたレゴ社は、現場の図面が契約後に建設国との協議で変更されたものと知る。現場職員の図面に合わせて資材を発注し直すよう言われ、資材費が無駄に増えていった。また、GLが発注した資材は、寸法が違っていたり、必要なところに穴が空いていなかったりと不備が多く、現場で加工し直したことも多かった。その分時間がかかり、工事が遅れていった。

  GLから現場に来ていた職員は臨時採用で、本部とのやりとりがうまくできず、本部に伝わっていないことも多かったという。追加工事についても、内容の確認や費用を払ってもらえることを現場で確約したが、書類へのサインをなかなかしてもらえず苦労したと社長の辻本敬吉(たかよし)さんは言う。現場職員は「本部からサインするなと言われている」と言っていたと辻本さんは証言する。本社側は、追加工事分について、多くを認めていないという。

  セルビア館では、4億9500万円で請け負った工事が8億以上に膨れ上がった。GLからはレゴ社に直接4億円余り支払ったものと下請け業者に支払った1億6千万円以外の2億3千万円強が未払いとなっている。ドイツ館でも同様に9400万円余りが未払いとなった。

GL社のずさんな資金管理


  4月10日までに工事を終了し、パビリオンの引き渡しを終えたあと、GL社と支払いの交渉を行なった辻本さんは、GL社からの話に驚きを隠せなかった。GL社は来年愛知で行われるアジア競技大会協賛金を1月に払ったため、支払いができないと言った。

  未払いとして本社からお金を引っ張ることができないため、本社から一旦貸付という形で借りて、アジア競技大会で仕事をしてもらい、未払い額以上の収入があればもらっていいという提案を出してきた。下請けや資材の会社への支払いを急いでいた辻本さんは、不本意だが提案を呑んだ。その際、債権や債務はないとする書類にサインしろとも言われたという。辻本さんは弁護士とともに参加し、これには拒否した。  

  6月末までに送金すると言ってきたが、入金されなかった。レゴ社が提訴を急いだのは、下請けや資材の会社も含めて、自社が持たないと感じているからだ。

  GL社からは、「万博工事に集中してほしい」と言われたため、他の工事には参加しなかった。まさか未払いになるとは思っていなかったという。

  GL社はこの他にも、「不実の告知」を行なったとして、GL社から非難されていると証言した。GL本社は「未払いはない」と主張し、嘘を流されていると言っているという。

今欲しい支援は金融的支援


  レゴ社の下請けで、未払いの影響を受けている会社は18社に及ぶ。3次下請け以下はもっと多くなる。辻本さんのもとには毎日催促の電話があり、事務所の家賃も払えない状態が続いている。年金や保険料の支払いも滞っている。いつ倒産してもおかしくないという。

記者からの質問のなかで辻本さんは、「万博の黒字収入から貸し付けしてもらえないか」と言っている。被害業者が今すぐ必要としているのは融資や立て替えなどの金融支援策だ。国や万博協会、大阪府市がこのまま支援策を出さなければ、確実に万博倒産、万博自殺は起こる。その家族も含めた負の影響はどこまでも広がっていくだろう。一刻の猶予も許されない。今すぐに、国、万博協会、大阪府市は金融的支援を行う必要がある。

いいなと思ったら応援しよう!