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不動産売却で一番多い後悔は、実は「結果」ではありません



不動産売却では、あとから振り返って、

「もっと高く売れたのではないか」

「あの申込みを受けておけばよかった」

「もう少し待てばよかった」

と思うことがあります。

ただ、私が長く売却の現場にいて感じるのは、後悔の原因は必ずしも結果そのものではないということです。

むしろ残りやすいのは、

「そのとき、この判断にどんな意味があるのか知らなかった」

「確認できることを確認しないまま決めてしまった」

「よく分からないまま、担当者や周囲の流れに任せて進めてしまった」

という、判断するまでの過程に対する後悔です。

不動産売却では、売出価格を決めるとき、購入申込みが入ったとき、価格交渉を受けたとき、価格変更を提案されたときなど、何度も判断する場面があります。

未来の結果を正確に予測することはできません。

でも、その時点で何が起きているのか、どんな選択肢があり、それぞれにどんな意味があるのかを確認してから判断することはできます。

今回は、その一例として「販売開始直後に価格交渉を伴う購入申込みが入った場面」を取り上げます。


販売開始から2日後、4000万円の申込みが入ったケース

不動産売却の現場では、次のようなケースがあります。

4180万円で販売を開始し、最初の週末、販売開始から2日ほどで4000万円の購入申込みが入った。

売主からすれば、

「まだ2日しか売っていない。180万円も下げなくても、もう少し待てば満額に近い買主が現れるのではないか」

と考えるのは自然です。

そこで、4000万円の申込みを見送った。

ところが、その後は最初ほど反響が続かず、3980万円へ価格を変更。

最終的には3900万円で成約した。

このような結果になれば、

「最初の4000万円で売っておけばよかった」

と思うかもしれません。

ただし、この記事でお伝えしたいのは、「最初の価格交渉は受けるべきだった」という話ではありません。

4000万円の申込みを断った後、4180万円やそれに近い価格で売れた可能性もあります。

未来の結果は、その時点では誰にも分かりません。

問題は、4000万円を受けるか断るかではなく、その判断をするときに、

「なぜ販売開始から2日で申込みが入ったのか」

「この購入希望者はどのような人なのか」

「この申込みを断った場合、その後の販売をどう考えるのか」

といった判断材料を理解していたかどうかです。

このケースは、価格交渉に限った話ではありません。

売出価格、価格変更、販売方法、媒介契約、購入申込み、契約条件など、不動産売却では何度も同じような判断場面があります。


「まだ2日」と「2日で動いた」では意味が違います

売主から見れば、

「販売を始めて、まだ2日」

です。

しかし、購入希望者から見ると、

「待っていた条件の物件が出たので、2日で動いた」

のかもしれません。

その地域、その価格帯、その条件で何か月も物件を探し、不動産会社へ購入希望を登録している人もいます。

そうした人には、新しい物件が出れば早い段階で情報が届きます。

つまり、販売開始から2日後の購入希望者は、「たまたま最初に問い合わせてきた人」とは限りません。

以前から条件に合う物件を待っていたからこそ、販売開始後すぐに現地を確認し、購入申込みまで進んだ可能性があります。

この背景を知らなければ、

「まだ2日だから、今回は断って様子を見よう」

という判断になっても不思議ではありません。

一方、意味を理解していれば、

「この人は以前から探していた購入希望者なのか」

「今ほかにどのくらい反響があるのか」

「この申込みを見送った場合、次をどう考えるのか」

と確認してから判断できます。

もちろん、確認した結果、4000万円の申込みを断ることもあります。

大切なのは、受けるか断るかではなく、状況を理解したうえで決めることです。


実際に、似た場面を経験したことがあります

私が実際に担当した売却でも、4180万円で販売を開始した物件がありました。

販売開始後、以前から購入希望をご登録いただいていた方へすぐにご紹介し、最初の週末に現地を確認していただきました。

そして、実質販売開始から2日後に4000万円で購入申込みが入りました。

私は販売を始める前から売主に、販売開始直後には以前からその地域や条件で探している購入希望者が反応することがあること、購入申込みには価格交渉が入る場合があることを説明していました。

そのため、4000万円の申込みが入ったときも、

「まだ2日しか売っていないから」

「満額ではないから」

だけでは判断しませんでした。

この購入希望者が以前から物件を探していたこと、4000万円という条件をどう見るか、断った場合には次の反響をどう考えるかを売主と確認しました。

そのうえで、売主は4000万円での売却を選び、成約しました。

この事例を、「4000万円で受けたことが正解だった」と伝えるために書いているのではありません。

断っていれば、もっと高い条件の購入希望者が現れた可能性もあります。

私がお伝えしたいのは、結果ではなく、売主が判断する前に必要な材料を持っていたことです。


後悔は、価格交渉を断ったことだけから生まれるものではありません

今回、価格交渉の場面を一例として紹介しました。

ただ、不動産売却で後悔につながるのは、この場面だけではありません。

例えば、

「なぜこの価格で売り出したのか、よく分からないまま任せていた」

「反響が少ないと言われ、そのまま価格を下げた」

「媒介契約の違いを十分理解せず契約した」

「購入申込みを価格だけで判断した」

「担当者から勧められたので、そのまま進めた」

といったこともあります。

後から振り返ったとき、

「結果が悪かった」

ということ以上に、

「あのとき何を判断していたのか、よく分からないまま進めてしまった」

ことが後悔として残ることがあります。

反対に、必要な説明を受け、メリットとリスクを理解したうえで自分で決めたのであれば、後からもっと良い結果があったと分かっても、受け止め方は変わります。

不動産売却では、未来を選ぶことはできません。

でも、判断の過程を整えることはできます。


不動産会社の役割と、売主が確認すること

不動産会社の役割は、単に、

「申込みが入りました」

「値下げした方がいいです」

「この価格なら売れると思います」

と結論だけを伝えることではありません。

売主が判断するために必要な背景や選択肢を説明することも重要です。

一方で、売主もすべてを担当者任せにするのではなく、分からないまま判断しないことが大切です。

重要な判断をするときは、次の5つを確認してみてください。

1.なぜ、この提案をしているのですか

価格や販売方法を変える理由を確認します。

2.現在の反響を、どう評価していますか

問い合わせ、内覧、購入希望者の反応などを聞きます。

3.この判断をしなかった場合、次に何が考えられますか

待つ場合、断る場合、現状を続ける場合の見通しを確認します。

4.ほかに選択肢はありますか

「受ける・断る」だけではなく、条件を調整する方法などがないかも確認します。

5.メリットだけでなく、リスクは何ですか

担当者の結論だけを聞くのではなく、その理由まで理解してから判断します。


査定額よりも「判断の前に説明してくれるか」

不動産会社を選ぶとき、査定額や会社の知名度は分かりやすい比較材料です。

ただ、売却が始まってから本当に重要になるのは、重要な判断の前に、必要な情報を説明してくれる担当者かどうかだと思います。

売出価格。

購入申込み。

価格交渉。

価格変更。

販売方法の見直し。

売却では、その都度判断が必要になります。

そのたびに、

「担当者がそう言うから」

「よく分からないけれど、そういうものなのだろう」

と流れに任せてしまうと、あとになって疑問が残ることがあります。

結果を保証できる担当者はいません。

だからこそ、売主自身が、

「なぜ今、この判断をするのか」

を理解できる説明が必要です。


この記事を読んだあとに、一つだけ変えてほしいこと

次に担当者から何か提案されたとき、すぐに「はい」「いいえ」を決める前に、

「なぜ、そう考えるのですか?」

と一度聞いてみてください。

そして、説明を聞いても分からなければ、分からないまま進めないことです。

売却の結果を先に知ることはできません。

でも、

「どういう状況だったのか」

「どんな選択肢があったのか」

「なぜ自分はその判断をしたのか」

を理解して決めることはできます。

今回の価格交渉は、その一例にすぎません。

後悔を減らすために大切なのは、重要な場面で状況を理解せず、流れに身を任せたまま判断しないことです。

現在ほかの不動産会社へ売却を依頼していて、説明を聞いても判断材料が整理できない場合は、会社を変えることを前提にせず、現在の販売状況や価格、購入申込みなどを第三者の視点から確認する方法もあります。

現在の売却状況を整理するオンライン相談

後悔を完全になくすことはできません。

でも、「知らないまま決めた」「分からないまま任せてしまった」という後悔は減らすことができます。

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