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動機が不謹慎 【ショートショート】

「なぁおまえ、親父さんの生命保険でいくら潤うんだ?」

父さんの葬儀の場でアイツはそう切り出しました。

「いいなぁこれでこの先の人生は安泰ってやつだ。羨ましいねぇ」

わたしは咄嗟に周囲に人が少ないところにアイツを連れていきました。

「俺は知ってるんだぞ?親父さんの死の真相を」

わたしはその言い草にカッとなってしまってこう言いました。

葬儀の場でそれはあまりに不謹慎じゃないか?と。

「不謹慎?ハハハ、たしかに不謹慎かもな」

アイツは何故か笑い出しました。

「あーたしかに不謹慎だわ」

ゲラゲラと笑い続けていました。
わたしはその様子にさらに腹を立てました。
いったい何がそんなにおかしいのかと怒鳴りつけました。

「そう怒るなって、不謹慎なやつだな」

アイツはそういうとさらにゲラゲラと笑い出しました。

「いやぁ傑作だなぁ」

「葬儀の場で不謹慎なことを言って、付近がシーン」

「付近がシーン」

「付近シーン」

「ふきんしん」

「不謹慎ってか」

ゲラゲラゲラとお腹を抱えて笑い出しました。

そこからわたしの記憶は曖昧ですが、アイツの笑いでよじれている腹を掻っ捌いたのは間違いありません。

刑事さん。

動機はなにかと尋ねられれば、それは「不謹慎」としか言いようがありません。

あ、そうそう。

アイツが死ぬ間際にわたしが父さんを殺したことを喚き散らしていました。

葬儀の場でほんとうに不謹慎なヤツでした。

でもね。

ほんとうに付近がシーンとなったんです。

不謹慎だから付近がシーンとなったんです。

アハ、アハハハハ。

不謹慎だから付近がシーンとなるなんて。

たしかに傑作ですね。

ねぇ刑事さん。

笑ってくださいよ。

でないと不謹慎付近シーンですよ。


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