自己啓発
誰も外に出ようとしない。
このままでは忘れさられてしまう。
昭和、平成と築き上げて来た我々の名声が失われてしまう。
なんとかしなければならない。
原因の究明が急務。
まずは聞き取り調査だ。
「はぁ外に出ない理由ですか?そりゃハッキリくっきりだと恥ずかしいですからね」
「私の肌はカサカサで…とても人前に出られたものではありません」
「こんなネイルじゃ笑われちゃう」
「どうせ信じてもらえないですし、そもそも気がついてもらえないことも多い」
「もう我々の時代は終わりですよ」
アンケートの結果は散々だった。
みんな自己肯定感が著しく低かったのだ。
しかし原因は判明したことは僥倖だった。
次はみんなの自己肯定感を高めることが急務となった。
自己肯定感を高めるにはやはり自己啓発本を読ませるのが効果的だ。
「4K 8Kにも負けない肌作り」
「写り方のコツ100選」
「パーツモデルの流儀」
「昭和でも大丈夫、令和の思考法」
「エモい平成ポーズ大全」
「存在感の放ち方」
「バズるポーズ全集」
等の書籍が全員に配られた。
みんな水を得た魚のように本を読み漁った。
初めは懐疑的だった者もまわりにならって本を手に取った。
たちまち皆の自己肯定感は上昇していった。
「これからは我々の時代だ」
「デジタルに負ける気がしない」
「はやくこのきめ細やかな肌を見せたいです」
「めっちゃビビらせてやりますよ」
「チャンスは無限にある」
みんなは口々にポジティブな発言をしながら外へと向っていった。
これは政府提供の臨時ニュースです。
全国各地でスマホ等のデジタル機器で写真や動画を撮影すると、必ず幽霊が写ってしまう事例が報告されています。
ただちに撮影を中止してください。
心身にどのような影響があるのかわかりません。
繰り返します。
ただちに撮影を中止してください。
写る幽霊たちは一様に活力に溢れ一見すると幽霊に見えない場合があります。
過去に撮影された写真や動画に幽霊が写っている事を確認された場合は速やかに削除してください。
有識者会議を開き、今後の方針を検討中です。
どの写真や動画の幽霊もオシャレで活気があり 生き生きしておりますが「死後の世界」が安全と保証されているわけではありません。
くれぐれもあちらに行こうなどと考えないようにしてください。
繰り返します…
