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マッチ売りの少女実験 【ショートショート】

とても天気の良い昼下がり、少女はマッチを売るために都会へ出かけました。

温暖で心地よい日でした。

少女は紫外線が気になります。

しかし日傘はありません。

持っていこうと思いましたがママに見つかってしまいました。

少女はムスッとしていました。

都会は人の往来が多くすぐにマッチは売れると思っていました。

売り上げで何を買おうかと夢想ばかりして、売ろうという気持ちは全然ありませんでした。

道行く人は少女を見てもなんの感慨もなく通り過ぎていきます。


そして結局 マッチはひとつも売れませんでした。







「以上が実験結果です。皆さんはどう思われますか?」

白衣を着た女が淡々と告げる。
白で統一された殺風景な部屋には大勢の研究者が集まっていた。
童話「マッチ売りの少女」でマッチが売れなかった原因を調査する実験だった。

女の報告を聞くやいなや各々が発言した。

「電子タバコ全盛期にマッチなんて需要がない」

「売る場所が悪い。キャンプ場で売れば良い」

「売ろうという商魂が足りない」

「季節と時間が悪い。寒空で哀愁がないも売れるものも売れない」

「もっと宣伝をしないと。SNSで拡散しないとダメだ」

「ポイントが付かないと今日日の若者は買わない」

「電子決済が可能だったなら絶対に売れたはず」

「地域限定など希少価値を付与するべきだ」

などなどそれらしい様々な意見が出た。



女はそれら全てをメモに残し次の実験に臨んだ。

そして条件を変えて幾度となく実験を繰り返した。しかしマッチはただのひとつも売れなかった。

女はそれらの実験と平行して秘密裏に別の実験を試みていた。

全てはこの実験の為のカモフラージュだった。

その結果、マッチは完売だった。
他の実験の条件のまま ある一点だけ変更しただけなのにだ。






また 白で統一された殺風景な部屋には大勢の研究者が集まっていた。


女は言う。

「やはり全てはの因果関係はここに行き着くのです」
「童話でマッチが売れなかった原因もここにあります」

集まった研究者は固唾をのんで聞いている。

「全ては可愛いか、そうではないかで決まるのです」
「全ての条件で可愛いかそうではないかの差異で実験しました」
「結果は可愛い方は全て完売でした」
「もはやこれが真理であり絶対的な自然の摂理なのです」


研究者たちは愕然としていた。

全人類がうすうすは気がついていた真実をついに証明してしまったのだ。

この実験結果を世間に公表すれば、いかに真実であろうとも必ず顰蹙を買ってしまうだろう。


「そこで私は全人類同顔化計画を立案します」


と女は宣言した。

「差別のない本当の理想郷の為に全類を同じ顔に整形します。これによって個々の能力が再評価されることでしょう」

研究者たちは立ち上がり拍手した。




かくして全人類は同じ顔となった。










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