せりふ三題噺 三文作家でも温泉旅館に缶詰で執筆
■セリフ
「これしか勝たんのよ」
■三題
・温泉
・パジャマ
・頬骨
とある秘境の温泉宿の露天風呂
浮かべた桶に徳利とお猪口、軽いおつまみ
(画像はイメージです。)
「これしか勝たんのよ」
盃を傾け悦にいる男が1人、
温まった体で部屋に戻る。
「あ、先生おかえりなさい、どうでした?」
「ええ、もうバッチリです。」
宿の浴衣ではなく自前で持ち込んだ天然素材のパジャマに身を包んだ編集者に作家が聞く。
「そのパジャマが例のコルシカコットンでしたか?」
「そうです、コレを一度着たら手放せないですよ。」
「手芸で◯◯番カタン糸って用語はコットンからきてたと記憶してますが…」
「妙なこと知ってるんですね。」
「モノカキですからね。
パッとジャマにならない知識が出たりするもんですよ。」
「ほお、ヴォーネ!」
「ヴェーネ、じゃないんですか?
イタリア語の了解!的な。」
「ドイツ語と間違えました。」
「それは◯◯に住んでますの意味だったような?
たぶん違いますよ。」
噛み合ってないのか博識なんだか…?
独特なリズムの会話をしているところに美味そうなお食事が運ばれてきました!
「かあ〜、このお頭付きの頬骨に詰まった身が旨味ぎっしりでたまらない!
そこに地酒を…、くー!たまらん!
さらにこの地魚の天ぷらと新鮮な野菜のかき揚げ! ほう…、ヴォーノ!」
「ヴォーノは美味しいであってますけど…。
あの…私の夕飯は何故のり弁だけなんでしょうか?
ビールはノンアルだし…。」
「食いてえかい?
食いたかったら面白えもん書きな!
働かざる者、食うべからず!」
目の前の素晴らしい料理への思いを原稿にぶつけ、
とんでもない飯テロ作品をなんと一晩で
かき揚げ、違う、書き上げました。
タイトル
『伊周Catan(コレチカカタン)の余生』
ドイツ籍の父親を持ち、明治期に活躍した製綿実業家、事業で財を成した後は離島を開拓してインフラ事業に力を入れる。
貧困期とのギャップを十文字先生お得意のイカレ手法で書いたフィクション
父の洋食、
貧困期の苦い思い出の味、
ドイツのビールとソーセージの素晴らしさを成人した孫と共有できる素晴らしさ…
それはもう鬼神の勢いでの執筆でした。
編集部からOKをもらい、
なんとか取材費で美味しいお酒と食事にありつくことができた先生。
予想より大分早く完成したため、
滞在を延ばすか原稿料に還元するか?
選択することを許されました。
「これしか勝たんのよ…」
露天風呂で連日の桶酒をキメる先生でした。
いいなと思ったら応援しよう!
天井裏から愛をこめて!
ナイタラダメヨ
(元ネタはアンジーです、知らない方すみません…。)