見出し画像

毎週ショートショートnote 『ときめきトゥーシューズ』

幼い少女は、ショーウィンドウに飾られたトゥーシューズを見つめていた。
憧れる瞳。
店の主人である私は、少女に声をかける。

「あの靴が欲しいのかい?」
「うん。もう少しお小遣いを貯めたら買えるの」
「そうか。じゃあ、足りない分はおじさんからのプレゼントだ。この靴もきっと、君に履いて欲しいと思っているよ」
「ホントに?……でも、私は履かないよ?お母さんにあげるの」
「お母さんに?お母さんはバレエをやってるの?」
「……バレエ?やってないよ?この靴、大人の女性が履くんでしょ?ほら、かかとのところが高くなってて。私には履けないよ」
「ああ、君が欲しいのはハイヒールだね。これはバレエをするための靴だから、ちょっと違うんだよ」
「そうなの?……え、じゃあ、この靴は、私が履いてもいいの?」
「バレエを始めるなら、君に履いて欲しい靴だよ。帰って、お母さんに相談してみたら?ハイヒールは靴屋さんで探してごらん」

私を見上げる少女の顔が、ときめいていた。

こちらの企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

いいなと思ったら応援しよう!